6-11
「……………そういえば、彼女。天使のこと天使と言っていたな」
「そうだな」
「何故、名前で呼ばない?普通、名前を呼ぶだろう」
「そういえば、俺と話している時も天使、天使って」
ますますおかしい。
名前を付けることは原則だろうに、それに歴史上の天使にも名前がついていた。
天使に名前を付けてはいけないというのはないはずなのに何故呼ばないんだ?
「……………なあ、これってもしかするとかなりやばいんじゃないか?」
「…………………………先生たちに報告をしとこう」
自分達がとある考えに辿り着き、たらりと冷や汗が流れた。
「しかも、琴羽ちゃんが標的にされているってことだろ?」
「…………ブラッドキャットに伝えるべきか、本人に伝えるべきか」
「いやいやいやいやいや、ブラッドキャットなんかに伝えてみろよ。絶対に血祭りにあげるって!」
さぁと二人の顔が青ざめた。
「と、とりあえずあくまで可能性の話だし。先生に報告するだけ報告しよう」
「お、おう。俺も行くわ」
と二人は慌てて職員室へ向かうのであった。
「……………おやおや、やはり先生が見込んだだけのことはありますね」
くすりと柱の陰に隠れて二人の話を聞いていた冬夜が面白そうに笑う。
「さあ、どう動く?」
それはどちらの意味で呟いたことなのだろうか?
そして、時というのはあっという間に流れてテスト当日。
「……転移の術式にはsは入らない。sは入らない」
「イオウルテル、デーデルバル……………」
とブツブツと唱えている二人の姿が異様で怖く感じてしまう。
「ふ、2人とも落ち着いて。要点も覚えてきたんだし、ミニテストも満点だったんだから」
「うゔ、琴羽のおかげでテスト範囲は覚えられたけどさ。不安だよぉ」
教科書を見ながら不安そうに言う薫をなだめながら、そろそろ時間だなと時計を見た。
「時間となりました。入りなさい」
ガラッと教室のドアが開き先生が声を掛けてきた。
「それじゃあ、行ってくるね」
「ええ、頑張ってください。先生」
にこっと笑い返された。ちなみに今日の彼はワイシャツにズボンというシンプルな服装だ。
テスト中、基本的に使い魔は教室外で待機させる。
カンニング防止の為だ。
「それでは魔法学のテストを開始します」
席座り、問題用紙や答案用紙が目の前に置いてあった。
「なお、魔法の使用はカンニングとみなしますので使用しないこと。問題があれば静かに手を上げなさい。では時間となりました。―――――始めてください」
パサッと用紙を捲りシャーペンを取る。
よし、頑張るぞ!!
「うえええぇぇぇぇん!!!分かんない問題があったよぉ!!!!!」
食堂のテーブルに突っ伏す薫の悲痛な叫びは隣で頭を抱えている志乃にも影響を与えた。
「数学の文章問題を解く前に終わった…………」
「私なんて風魔法のスペルをど忘れしちゃたよぉ!!」
赤点はやだぁ!!!と嘆く二人をまあまあと宥めながら、昼食が出来るまで時間を潰す。
「古典の現代語訳がいまいち自信がないよ」
「俺も同系魔法の問題のやつって教科書にあった?」
「それは実技で言われていたことだよ」
しかも今日は創術部全員で昼食をとっている。
「遠城さんはどうだった?」
「うーん、とりあえず、全部埋められて見直しできたからそこは一安心しているんだよね」
そんなことを話しているとふと後ろから声がしてきた。
「そういえば、宮野さんいなかったよね」
「ああ、多分別室でテストやっていたんじゃないかな?」
「え、何で?」
「ほら、彼女。問題ばっか起こしているから」
とそんな話が耳に入ってきた。
「………琴羽ちゃん。今は気にしない方がいいよ」
「そうだよ。今はテストに集中しよう」
「あ、う、うん」
何でか二人にそう言われて、テストの話に戻った。




