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「……………何だったんだろうね」
「さあ?彼女、虚言癖でもあるんじゃないかな?」
「まあ、録音もしてあるし。後でデータを渡すね」
呆れたようにはあとため息をつく一同。
「えっと、皆ありがとう。それとごめんね、お昼休みなのに」
「いいっていいって。琴羽が変なことに巻き込まれたら大変だし」
「そうそう」
気にしないでと言ってくれる。うう゛、なんていい子たちなんだろう。嬉しくて泣けてくる。
「とりあえず、このことは先生に報告しといたほうがいいかもね。一応、彼女は聖女らしいし」
「だとしても、これは悪質だな」
やれやれと困ったように話す高堂君と永澤君。
本当に何だったんだろうか。
「………先生、大丈夫ですか?」
私の元に来て跪いて顔を覗き込んでくる冬夜に対して、平気だよと返す。
「あまり、ご無理をなさらないでください」
もし先生が倒れてしまったら、私がどうにかなってしまいそうですと冗談には聞こえないことを言ってくるこの猫。さては、前からいたなこいつ。
「……………(あの子ども、魔法が掛かっていたな。そんなに強く掛かっていなかったからか正気に戻ったようだが)」
冬夜は去っていった生徒の方をチラッと見た。
何者かに"洗脳"されていたようだ。まあ、掛けた者の目星が付くが。
ああ、本当に煩わしい。
その後はいつも通り授業を終えて寮に帰ろうとしたら、とある人に声を掛けられた。
「遠城」
「原田先輩」
風紀委員会での見回りだろうか私たちに近づいてくる。
「あー、遠城。これから時間あるか?」
「え、ありま」
すけどと言いかけた瞬間、後ろにいた冬夜が前に出てきて私と原田先輩の間に立った。
「申し訳ありませんが先生はお疲れのようです。用件ならこの場で伺ってもよろしいでしょうか?」
やけに刺々しい言い方にもしかして機嫌が悪いかと思ってしまう。
「そ、そうだな。まあ、ちょっとした確認だ。宮野の件で」
あ、やっぱり噂になっているようだな。
「一部で噂になっているようだがまあ、お前がやってないことは明白だろう。一応の事実確認ということで生徒会室にでも来てもらおうと思ったが悪目立ち過ぎるな。謝ろう」
………え、何故にあやっ。ああ、そうか。そんな噂が立っている中で生徒会室に風紀委員長と一緒に入ったらもしかしたら噂が本当ではと勘違いしてしまう生徒もいなくはないか。
それに後ろから視線が感じる。
「………冬夜」
「生徒が一人、カメラを持っているようですね。ですがすでに”処理”はできていますのでご安心ください」
先生に悪影響を及ぼすことはありませんとにっこりと笑うその姿が怖いのですが、冬夜さん。
なんだが普通に歩いていた生徒たちがすっごく真っ青な顔をしながらそそくさと去っていくし、原田先輩も真っ青を通り越し真っ白になっている。
え、何。冬夜さん、なんか怖いオーラでも発しているのかな?私が鈍感なだけで周りが真っ青になるレベルで何か発しているのかな?
よく分かってない私は冬夜と原田先輩を交互に見てしまった。
「これで話は終わりでしょうか?」
「あ、ああ」
「そうですか。では先生、帰りましょう」
「あ、う、うん。では先輩、失礼します」
そっと腰を抱かれて先輩に挨拶をして去っていく。
「ちょ、超怖かったぁ」
二人が去ったあとへなへなとへたり込む原田泰我。
廊下で座り込むことを風紀委員長がやっていいものかと問いたいところだか今はそれどころではない。
びっしょりと冷や汗をかいて、微かではあるが震えている。
「マジで俺一人でよかったわ」
ポツリと呟いた独り言に苦笑を漏らす。
もし他の委員が付き添っていたら絶対に失神していたに違いない。
あの時、宮野の件で話したいから時間があるかを聞いた瞬間にぞくっと悪寒が走った。
琴羽を見ていたがそれを遮るように立つ彼に息を飲んでしまった。
それは何も感情がない顔、目にはまるで虫を見るかのような感情が浮かんでいる。
S級ブラッドキャット。かの者の逆鱗に触れてはならない。
それは学園での暗黙の了解である。




