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その後は何故か皆からお菓子などを貰った。よく分からないけどすっごく温かい目で見られた。
先輩たちには頭を撫でられるし、意味が分からない。
薫ちゃ……、薫たちもお菓子を貰っていたけど顔真っ赤にして反論していたし。
やっと部屋に戻れば冬夜がお風呂の用意をして待っていた。
「お帰りなさい、先生」
「ただいま、冬夜」
微笑みながら近寄ってくる冬夜。ふと私の腕に抱え込まれているお菓子を見つめてこう言ってきた。
「………そちらは?」
「あ、なんか友達にもらったの」
「そうですか。では私の方で預かりますよ。明日以降にお出ししますので」
「うん、分かった」
素直にお菓子類を渡してどうぞお風呂へと促された。
そのままいつも通りにお風呂へ直行した。
「……………随分と舐められたものだ」
そっと腕の中にあるお菓子の一つを摘まみ上げる。
一見、ただの市販のクッキーが入った小さな包み。
そう、何かが蠢いてなければだが。
「グ……ヴィ……………ザ………」
耳障りな声がするとともに悍ましい気配が袋から漏れ出す。
「幼稚な呪いですね」
「グギャ!」
ぐしゃりと袋を握りつぶすと小さな悲鳴とともに声がしなくなり、気配も霧散した。
琴羽自身、気づいていなかったからに察すると魔法でこの中にいるナニカの存在を消して渡してきたのだろう。
彼女にこういった悪意を直接仕掛けてくるとはよっぽど命知らずかもしくは警告なのか。
どっちにしろ幼稚すぎて話にならない。
「……………生徒の中であの娘の信者でも見つけたのか?」
そうでなければ、あの羽虫がこんな分かりやすいことはしてこない。
やれやれと呆れたようにため息をつき、テーブルに置く。
「先生が出てくる前に処理をしなくてはいけませんね。このようなモノ、見る必要はありませんし」
ああ、本当に煩わしい。
いっそのこと、話をすべきだろうか?………いや、やめておこう。
彼女のことだ。きっと、何とかするために行動をするだろう。
"前から"そうだ。
「………やはり少しお仕置きが必要ですかね」
にやりと三日月のような笑みを浮かべた。
ああ、このような笑みを浮かべていたらきっと彼女は怯えてしまう。
早く直さないと。
自分の癖を直さないと。
彼女は私のことをよく分かっているから少しでも違和感を出すと怪訝そうな顔をする。
それもそれでたまらなく愛おしいのだが、彼女は笑っている方がいい。
苦しむことも泣くことも辛いことも絶望することもないようにするために今、自分がここにいるのだが。
ああ、そういえばあの少年たちも少し邪魔だな。
今は羽虫の方が第一だから、そちらは様子見にしといてあげよう。
「やれやれ、忙しい忙しい。本当に先生は縁を結ぶのがお上手なのですから」
困ったお方だ。けれど、そこも魅力的なのは分かりきっていることだ。
ふふっと先ほどの妖笑とは打って変わりとても愛おしい目で笑った。
「愛しておりますよ、琴羽様。この世界でも貴方様だけが私を見てくださるのですから」
そう呟くとその包みを処分するために手を動かした。




