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6-3

まあ、彼女自身のことだから私には関係ないっか。

それよりもテストよ!テスト!

前世ではテストの点数は平均点ではあったが、今世は高得点を取りたい。

何故かって?それは両親がいい点数取れたらご褒美に最新版の魔法書を買ってくれるっていうから頑張ります!

しかも、有名な魔法使いが書いたっていうからすっごく楽しみ!!

魔法オタクって言われたりするけどオタクで結構です!だって、楽しい!自分で魔法使えることが面白い!

「……先生?」

ふふ、魔法書のタイトルからして面白そうなんだよね。高度過ぎたら先生に聞こうっと。

「先生?」

あ、あと魔植物専門家が出版した本も欲しいな。参考書になっていて学園では取り扱ってない植物とかも載っているっていうし、読みやすいからおすすめ品だったりする。だから、結構お値段がいいんだよね。………今回、全部いい点数だったら二冊買ってくれないかな。

そう考えるとやる気が出てくるもんだわ。頑張れ、私!


「あーあー、琴羽ったらまーた自分の世界に入っちゃた」

「こうなると強制的に戻さないと戻ってこないよね」

「凄く楽しそうに笑っているね。彼女、こんな顔するんだ」

「遠城さん、何を考えているんだろう?」

「琴羽ちゃんのことだから魔法の事じゃないか?」


と彼女の顔を見ながらやれやれと息をつく部員一同。

思考の海に沈んだ彼女を引き戻すのは勿論この魔物(男)の仕事だ。

「………先生、そろそろ戻ってこないと寂しいです」

「ひょえほ!!?」

耳元で囁かれたおかげで彼女は帰還を果たした。





テスト勉強後は皆で寮に帰る。

「うう、赤点取りそうで不安だよぉ」

「薫、大丈夫だって。テスト範囲の要点は覚えたんだし、実技もなんとかなるって」

「志乃はそうだと思うけど私、実技が苦手なんだよーーー!!」

半泣きになりながらもそもそと学食を食べる薫ちゃんに呆れながら見る志乃ちゃんの姿が妹を慰めるお姉さんに見える。

「琴羽のおかげで要点とかまとめられて助かったけどさ。実技のポイントも教えてもらったけど不安だよぉ」

「あと二週間もあるから大丈夫だよ。薫ちゃん」

そう言って慰めていると薫ちゃんがふとこう言ってきた。

「琴羽ってなんで呼び捨てで呼ばないの?」

「へ?」

「中等部からずっとちゃん付けだよね」

突然そう言いだす。まあ、確かに精神年齢がもう三十超えていて、しかも社会経験があるとさん付けとか当たり前になりすぎて癖になっているんだよね。

「そういえば、そうだね」

「あー、特に理由は無いヨ」

実は前世の記憶があってぇなんて言えるわけがない。

そんなこと言ったら頭の心配をされるだけだし、なんか面倒なことが起きそうだから絶対に言わない。

「なら呼び捨てでいいじゃんかぁ」

「それもそうだ」

「えぇ」

さっきまで半泣きだった薫ちゃんがキラキラした目でこっちに見てくる。

なんだったら、志乃ちゃんも期待を込めた目で見てくる。

「呼び捨ての方がいいよぉ。琴羽、お願い」

「ゔっ、わ、分かったよ」

なんか年下を呼び捨てにするの慣れないんだよなぁ。

「ほい、じゃあ、練習で呼んで」

「急すぎない!?」

心の準備ぐらいさせてくれ!!

二人して早く早くと急かしてくる。

「………か、薫、志乃。こ、これでいい?」

は、恥ずかしい。中身が大人だとこういうのなんかムズムズするんだよね。言葉では言い表せない。

かあと頬に熱が集まるのが感じる。ちらっと二人を見ると何故か両手で顔を覆っている。

「………美人が恥ずかしがっているのパンチ強っ」

なんて?

「……生きててよかった」

なんで?

二人して顔を覆ったまま天を仰いでしまった。

いや、だからなんでよ!?

訳の分からない私はおろおろしている中、周囲が温かい目で見ていることに気づかなかった。

一同の心は。


『青春しているな、この子たち』


であった。

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