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断絶  作者: ゆにお
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4/11

(4)

お読みください〜

それ以来、家の前で挨拶こそ交わせど、軽口は利かなかった。

私から親しく話しかけるのは礼儀に反するだろう。

何と言っても、彼女にはすでに恋人がいるのだ。


最近は見かけもしなかった花奈子から、「慶太の部屋 行きたい」とLINEが来たのが昨夜だ。


眠いから明日の夜にしてくれと返信した。


そして今夜部屋に訪れた花奈子は、あの頃の素朴な花奈子の記憶とは、印象がガラリと変わっており、驚いた。

私は、花奈子の肩を抱いたままで言った。


「そうか、彼氏の趣味か。いい趣味だ。花奈子、彼氏とはうまくいっているのか」


「私、もう別れようと思う」


花奈子は鼻を啜りながら答える。


まあ、そうだろう。

私の部屋に来るという話になったときからうすうすとそうではないかと勘づいていたが、彼女が泣き出した時に確信した。


しかし、別れようとしているわけではなく、むしろ彼氏との仲を相談される可能性もある。


女性のそれに振り回されて、恥を掻かかされたという話を同級生や先輩たちから数例聞いたことがあり、私は慎重な発言を心がけていた。

花奈子は話を続けた。


「彼ってば、決めつけがすごいの。洋服は全部通販で勝手に頼んじゃうし、髪型はこれ、メイクはこれ……とか。

私、ほんとはコンタクトなんか入れたくない。だって、目にガラスだよ?」


ソフトコンタクトレンズは、厳密にはガラスではない。

樹脂だ。


そう、コンタクトと言えば、昨今では『Googleコンタクト』なるものが開発されたそうだ。

涙や体液などを読取り、体調測定するウェアラブル機能を持つという。

昨日、大学での同級生たちとの話題に登場し、大いに盛り上がった。


さて、話を花奈子に戻そう。


彼女は、彼の好みの女性になろうと自分から変わったわけではなく、全て支給されたものを身につけるように言いつけられているらしい。


その先輩はきっと非常に経済力があるのだろう。


交際女性を自分の思う通りの姿形にできるとは、なんと羨ましい。


私も今は貧乏学生だが、将来は年収三千万を目指している。


そして、年収二千万万の配偶者を貰い、共働きを続けてもらう。


世帯年収五千万円が私の目標だ。

そのためには、この四年間を実のあるものにする必要がある。


「違うの、先輩はお金持ちの息子とかじゃないわ。

必死でバイトしてる。


それで『全部かなちゃんのためだよ、俺はかなちゃんのためにお金を稼いでいるんだから』って、自分の食事とかタバコ代まで節約して。

だから先輩と別れるのに、サークルの女子が、同期から先輩までみんな反対する。


『贅沢じゃね?』『あんたみたいな規格外女子をこんな愛してくれる人もうこの先いないよ』って。


けど……。食事もテーブルいっぱいに頼まれて。全部食べ終えるまで帰れないし……。

もお、辛くて」


それはそうだ。

相手の理想通りの人間として振る舞うのは、さぞ気苦労が絶えないだろう。


つづきます!

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