↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
210/211

209.『鹿尾菜』と書いて何と読む?

欧米にはほぼ存在しない海藻食文化ですが、なぜそうなったか……実はこんな理由が有るんだそうです。そして、『鹿尾菜』と書いて何と読むか?昔ながらのあれですよ。

 はい、それではここで問題です!!


 ――漢字で『鹿尾菜』と書いて何とか読むでしょう。


 ヒントは、食べ物です。でもってほぼ通年頂けて、あと、外国では殆ど食べられてないと思います。


 それでは正解発表、『鹿尾菜』と書いて『ひじき』と読みます。って、実はラジオから聞こえて来たネタなんですが、なんでも縄文時代の遺跡からも出て来る位昔から日本人にとって無くてはならない食材なんですけど、おそらく予想出来ると思いますが、消費量は下降線の一途だそうで、次の時代の日本人は知らない食べ物になってしまうのかも知れませんね。なにしろ2006年の国内漁獲量が8,209トンだった以降の統計が無い……勿論、スーパーやコンビニのお惣菜で見かける事は多いからそれなりに表示されてるのは確かでそれが何に支えられてるかと言うと、輸入品なんですね。2018年について政府は、乾燥ひじきの輸入量が4,052トン、原藻換算で約4万トン、国内供給量全体を4~5万トン程度と推定しているんだそうです。推定値……かぁ…。


 名前に『菜』という漢字が含まれてますが鹿尾菜はれっきとした海藻です。


 正式名称はラテン語由来の学名を無理矢理英語読みすると『サルガッスム・フシフォルメ(Sargassum fusiformefusiforme)』と言うんだそうで、昆布やワカメと同じ褐藻類の海藻なんですって。だから海の中で生息している状態ではちゃんと緑色してたりなんかするんですよ。私達はひじきと言えば黒いと言うイメージが有りますが、これは収穫後に蒸したり煮たりしてから乾燥させる加工を経ることで私たちが知っている黒褐色の乾燥ひじきになるのであってこれが元の色では有りませんが、この黒いってのがイケないのかなぁ、でもこれはどうにもなりませんものね。


 ひじきの料理と言えば『ひじき+油揚げ+にんじん+大豆』の煮物を真っ先に思い浮かべると思います。お出汁の風味たっぷりで甘じょっぱいんだけど何故かビールと相性抜群。コリッとした食感と油揚げとの組み合わせが何とも心地よくてなんか知らないけど食べちゃうんですよね。おふくろの味とよく言われるんですが、亡き母はあんまり作らなかったなぁ、実家で食べた記憶が殆ど無いです。


 消費量が減ってる理由として、調理法がめんどくさいっ言うのが有るのかな。水で戻して茹でた後、茹で汁を捨てるって言う手間暇が必要ですものね。でもね、これをしないと実は鹿尾菜って食べられないって知ってました?


 鹿尾菜って『無機ヒ素』の含有量が結構多いのですよ。事実、2004年にイギリスで食品基準庁(FSA)が鹿尾菜を食べないでって勧告を出した事があるんです。じゃあ日本で食べられてるものって大丈夫なのって事になるんですが当然、日本で食べられてるものもイギリスが食べないでって言ってる物と同じ物です。


 が、先に書いた通り、水で戻して戻し汁は捨てて、更に茹でてからその茹で汁も捨てる。そう言う工程を経ると無機ヒ素は90%以上抜け出てしまうそうで人体に対する影響は無くなってしまうそうですから安心してお召し上がりくださいませ。そうでなけりゃ日本じゃとっくの昔に食べるの禁止になってますよね。毒が有って食べられる様にしてしまう日本人の食への執着心って、ひょっとしたら縄文人から脈々と受け継がれてきた『血筋』がなせる業なのでしょうかね。


 と、考えてみると、海に囲まれてる欧米の国って言うのも有って食べる習慣が有るんだから海藻系も食べる文化が有ってもいいんじゃないかって思います。でも、海藻を食べる文化ってアジア圏にしかほぼ存在しないみたいです。鹿尾菜も手に入る事は入るみたいなんですがほぼ幻と化しているみたいです。


 なぜ海藻食文化が定着しなかったのか……まず大前提として欧州にも海藻食文化はあったんですよ。もっとも紀元前6000年頃まで遡っちゃうんですけどね、そしてかなり大量に食べていた事は2023年の研究で古代人の歯石に残った化学的な痕跡から分かるんだそうです。そして海藻を採ることが社会の中で一定の重要性を持っていた地域もあって18世紀には、スコットランドの島嶼部ですら海藻が飢饉の際に食べるものという位置づけになっていた記録があります。しかしながら、農耕・牧畜が発達し小麦・ジャガイモ・肉・乳製品などが中心になって行く中、海藻は貧しい人の食べ物、飢饉食へと言う認識に変化してやがて食卓から消え去ったと言うのが欧州で海藻食文化が定着しなかった主原因みたいです。まぁ、そんな単純な話でもなさそうなんですが、大筋は外してないと思います。


 日本ではワカメ は 味噌汁・酢の物、昆布は 出汁・佃煮、海苔 はもうご飯のお供でヒジキは煮物、モズクは 酢の物、天草は寒天と言う様に用途が分化していきます。つまり海藻が『ひとまとめの雑草』にならず、それぞれが独立した食材になったのですよ。そして一番の原因はお米との相性がめちゃめちゃめちゃ良かった。これに尽きるんじゃないかしら。白飯+海苔、炊き込みご飯+昆布、ご飯+ひじき煮、おにぎり+海苔、この組み合わせに出会った事の無い日本人は皆無だと思います。これによって日本人は海藻食文化を美味しく頂いて、文化として定着させたんだと思います。


 鹿尾菜含んで海藻を食べる文化は後世に伝えて来たいですね。欧米では真っ黒な紙みたいな海苔を気持ち悪がって食べませんでしたが、ここ最近は海苔で巻いたおにぎりに夢中になる方も増えてるとか聞いてます。そして『鹿尾菜+油揚げ+人参』、この組み合わせは私、日本の宝だと思います。折角、主食・魚・だし・乾物・保存食などの食文化と結びついて、貧しいときだけ食べる食品になることを免れたんですから、これからも美味しく頂いて行きたいと私は思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。