210.酒税法改正記念
さて、酒税法が改正になりビールは値下げ発泡酒・新ジャンルは値上げになりましたね。で、この酒税法なんですが、時系列で辿っていくともう大笑いできてしまいますのですよ……いや、泣いちゃうかな…
9月30日の夜、私が良く行く何時ものスーパーで、某銘柄の発泡酒を大量に、いえもう爆買いと言っても過言でもない量をカートに載せて買い求めて行かれた方がいらっしゃって、その時点では、ああこれ大好きなんだろうなって程度の思いしか出て来なかったんですが、次の日テレビのニュース番組を見て、なるほど、そう言う事かって納得してしまいました。
そう、2026年10月01日、酒税法が改正になって発泡酒・第三のビールが値上がりしてビールの値段が下がる……これは2018年から3段階に分けて進められてきた酒税見直しの最終章と言っても良い改正と言われてて、これまで税率がバラバラだった『ビール類』の酒税が350ml缶あたり54.25円に一本化され、『ビールは値下げ(減税)』となり、『発泡酒や第3のビール(新ジャンル)、缶チューハイなどは値上げ(増税)』となったのですよ。だからお気に入りの発泡酒ユーザーの方々が改正前に爆買いした、そういう事だった訳ですよ。
バブル崩壊後の不況期である1990年代から2000年代前半にかけて発売されたのがこの発泡酒や新ジャンルのビール系飲料なのですが、当時の不景気ってぇのはもう、想像を絶するものが有って、まさに天国から地獄に突き落とされたぜぇ状態だったんですよ。
この時期、出費は一円でも押さえたいというのが庶民の切なる願いだったんですがそんな中、酒税法では『麦芽比率が67%以上』のものがビールと定義され、かなり高い税金が課されていました(1994年当時、ビールの税率は350ml缶あたり77円)。だったらという事で麦芽比率を調整してビールの味を再現しようと各飲料メーカーが試行錯誤を始めた結果、サントリーが麦芽比率を下げて税率を抑えた発泡酒『ホップス』を発売すると、これが大ヒットとなり発泡酒の時代が幕を開けると同時に各メーカーが一気に参戦、一大発泡酒ブームが起こる訳なんですがそこで発泡酒の急速な普及により税収が減ることを懸念した国が1996年(1度目の増税)に350mlあたり約18.6円だった税率を約36.7円に引き上げ、更に2003年(2度目の増税)350mlあたり46.99円に引き上げちゃったんですよ。
この税率だと発泡酒の旨味が全然無くなってしまいます。そこで飲料メーカーは更に考えた。じゃぁ、麦芽全く無しでビールっぽい物作ろうじゃんって言う事で同年11月にサッポロビールが発売したのが初代新ジャンル『ドラフトワン』だった訳です。そして新ジャンルも大ヒット致しますと、またしても国が動いてわずか3年後の2006年(平成18年)5月の酒税法改正で、早くも新ジャンルへの増税に踏み切り350mlあたり約28円だった税率を約34.2円にするという暴挙に出た訳なんですが、『庶民のささやかな楽しみが狙い撃ちされた』、『企業努力を国がつぶすのか』、『いたちごっこに付き合わされる不信感』等などの不満が爆発し政治不信に火が着くのですが、小泉純一郎氏が率いた自民党は2005年に行われた所謂、『郵政選挙』で大勝してて庶民の細かい不満なんかを気にする必要が無かったからあっさり増税出来てしまいましたとさ。
酒税って選挙と絡むことが多いみたいで与党が勝てば増税、負ければ見送りって言うパターンが繰り返されてきたんですね。こうやって時系列を辿ってみると、単なるどたばたで、政治家のエゴ丸出しが手に取る様に分かりますね。
――お酒位……自由に呑ませてくださいな政治家さん。
ここ最近、ビール業界が少し騒がしくなってて、ま、あまり良い意味ではないんですが飲料メーカー大手四社の価格談合事件でニュース番組盛り上がっておりますね。色々と事実が明るみになって来ていて、ビール以外に缶チューハイの価格調整も談合してたんじゃないかって話も出てきてて、騒ぎは暫く収まりそうにありません。
でもさ、その根っこに有るのは国に対する不信感なんじゃないかしら。だって、企業努力をあっという間に税金でチャラにしちゃうんだもん。そんなことされたら最後はメーカー間の協力で利益確保するしかなくなるじゃないですか。カルテルを肯定する訳じゃないですがそこに有るのは将来に対する不安、その不安を煽ってるのが国であり政治家であり……そういう図式が解消されない限り、ホントの意味で企業間の自由競争は成長しないんじゃないかなぁ。ほっといた方が良い物はほっといた方がいいと思うぞ、酒税の税収なんてたかが知れてるんでしょうからほっといたら?
ただ、今回の酒税法改正で、リニューアルしたり新商品が発売になったりと、悪い事ばかりでは無さそうなんですよね。実はサントリーから発売されてる『金麦』が新ジャンルから一気にビールに昇格、栗山千明さん主演の『晩酌の流儀5』でもしっかり紹介されていました……ので、私もさっそく買い求めて只今、冷蔵庫の中で冷却中です。今夜頂いてみようかしらん、グラスもしっかり冷やしてあります。つまみは鰹のたたきなんかが良いのかな?戻り鰹が旬に突入してるから絶対美味しい筈ですものね。
色々とばたばたが続いてるビール業界ですが、私は秋に向けて美味しいおつまみ頂きながら爽やかな秋空の下、ビールの喉越しを楽しみたいと思います。




