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201/210

200.串の謎を考える

そのまま焼けばいいんじゃないのって言うのがこのお話の出発点。でも、串に刺して直火で焼くのって食材にこんな影響を与えるんですってよ。室町時代の知恵は現代にも脈々と伝わってるんですね。

 さて、連載を重ねて参りました『週刊・好きなんだからいいじゃない!!』で御座いますが、めでたくもなんと今回で200回目を迎えることが出来ました。これもひとえに皆様のおかげでございます、これからも地道に書き綴って参りますのでどうかお付き合いの程、宜しくお願い致します。ちょっと理屈っぽくなりつつありますが、その辺は作者の足跡という事で御容赦頂ければと思います。


 さて、記念すべき200回目のお話は『串』で御座います。


 不思議だと思いませんか、あの串焼きって言う食べもの。勿論、皆様御存じで口にした事は有ると思います。日本人として一番親しんでるのはやっぱ『焼き鳥』でしょうかねぇ。


 竹串に鶏肉の部位を数個刺して気が利いたお店だと備長炭の高温で焼き上げるんですがあれって、串に刺さないでグリルかなんかで焼いちゃイケないものなんでしょうか。と言う訳でちょっと深堀してみました。


 国内外にかかわらず、食材を何らかの串に刺して火で炙って頂く料理って意外と沢山ありますよね。有名どころでは『シシケバブ』。これはトルコの串焼き料理で羊肉や牛肉、鶏肉等々をスパイスに漬け込んでから金属の串に刺して炭火で焼くお馴染みのあれですよ。『シシ』はトルコ語で『串』という意味なんだそうで『ケバブ』は『焼いた肉・ローストした肉』という意味なんだそうですのでシシケバブはもう見たまんまの食べ物という事になりますね。


 ブラジルでは大きな金属串に塊肉を刺して豪快に焼いて、焼き上がった表面だけを切り分けてから残りはまた火に戻すスタイルが特徴の『シュラスコ』なんてのが有りますね。専門店ではシェフがテーブルまで串を持ってきてくれて、どれがいいか聞いた上でお皿に取り分けてくれるんですって、なんか豪快で良いですね。しかも味付けが意外とシンプルで塩だけって言うお店が多くて素材で勝負するお店が結構多いんですって。そう言うの、そそられるんですよね。


 お隣中国では『羊肉串《ヤンロウチュアン》』と言う中国西部や新疆地方《しんきょうちほう》で人気の串焼き料理が有るんですって。これはクミンや唐辛子をたっぷり振りかけて焼く羊肉の串焼きなんだそうで材料を聞いた瞬間ビールとの相性抜群なのが感じ取れますよね。羊肉って独特の香りが有るからちょっとって言われる方がいらっしゃいますが、あれって昔の冷凍技術で凍らせた物を解凍すると発生する現象なんだそうで、現代の冷凍技術を適用するとそんな現象が発生する事は無いんだそうで、香り問題はほぼ完全にクリアされてると言って良いんだそうですよ。と言っても私は昔からその香りってやつが全く気にならなくて羊肉は全く問題無くいただいてましたよ。今でも羊肉大好きです。鉄・亜鉛・ビタミンB群が豊富で高蛋白・低脂肪、鉄・亜鉛が多くて赤身の旨味が強いというのはひょっとして夏バテ対策にもなるのかしらん?


 で、串のお話に戻りますが、串焼きにする理由って言うのはいくつか有るんですが一番の利点は『食べやすい』ってところにあるんじゃないかしら?串持ってそのまま齧り付く、手も汚れないし洗い物も少なくて済む。それを考えると焼き鳥は串から外してお皿に取り分けてはイケないのです……まぁ、その辺は個人の好みと場の雰囲気って事になるのでしょうか。


 そして、目に見えて来ない効果なんですが、食材を串に刺して直火で焼くという調理方法は火に対して向きを自由に変えられますから360度ま食材に火を当てることが出来るので焼きムラが出来づらくて、炭火焼に限定すると脂が炭に落ちることで煙が立って、その煙に含まれる香りが肉に付き、炭火独特の風味になって旨味が増すという効果が有るんだそうですよ。そして、串には内側から熱を加えて食材を満遍なく熱を通す効果が有ります。串って意外と熱が伝わりやすくて、金属の物にしても竹製の物にしても食材に熱を通す効果はかなり高いんですって。金属も竹も熱伝導率高いですからね、内側からも外側からも熱を加えられた食材は、めちゃめちゃ美味しく仕上がりそうです。


 日本では室町時代(14~16世紀)には既に雉《きじ》、鴨《かも》、鶉《うずら》、等々の野鳥を串に刺して焼いて食べる風習は有ったみたいですね。江戸時代に入ると現在の焼き鳥の原型となる串に刺して炭火で焼く調理法が見られるようになり始めるんですがまだ雀や鶉などの小鳥を使う事が多くて、鶏肉に特化した食べ物ではありませんでした。明治時代に入ると屋台で焼き鳥が売られるようになり、鶏肉の端肉や内臓を串焼きにしたものが人気になります。でもはまだ鶏肉が高価だったため、内臓などを無駄なく使うかなり工夫を凝らした焼き物だったそうですよ。そして、昭和30年代後半(1960年代)になってブロイラーが普及して、鶏肉が安価になると焼き鳥は一気に庶民の定番料理になりました。居酒屋や専門店が全国に広がったのはこの頃なんですって。だから、現代の焼き鳥と言う料理に限定すると意外と歴史は浅くて、串焼きと言う食べ物は約700年位前から有る事は有ったんですが現代の焼き鳥の形は意外と新参者だったりするんですね。焼き鳥に使われる部位が多いのもこの辺に由来してるんでしょうね。


 さて、こんなお話を書いていると、串焼きが食べたくなって来る訳でして、書き終わった瞬間、今夜は焼き鳥でビールにほぼ決まりになりそうです。と、言う訳で、早速買い出しに出かけたいと思います。

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