185.意外と怖かったお饅頭
お饅頭は中国から伝わりました。当初、それは食べ物として開発されたのではなくてこんな目的で作られたんです。そしてこれを考案したのがなんとあの『諸葛孔明』様なんですってよ。
落語の古典に『饅頭こわい』ってのがありますね。お話はとてもシンプルで軽妙な噺なので落語の入門編としてはとてもよいと思います。
★★★
長屋の若い衆が集まって、「この世で一番怖いものは何だ」なんて、他愛もない話をしておりましてね。ある者は『幽霊が怖い』、ある者は『雷が怖い』と、口々に言うわけでございます。
ところが一人、ちょいとひねくれた男がいる。こいつが言うには――
「俺ぁ、饅頭が怖くてたまらねぇ」
周りはなんだそりゃと笑いますが、本人は真顔。
「見ただけでゾッとする、近づけられたら気を失うかもしれねぇ」
――と来た。
それなら試してやろうじゃないかと仲間たち。こっそり饅頭を山ほど買い込んで、男の部屋に押し込める。
そしてしばらくして様子を見に行くと――
男は布団にくるまって震えている。
「どうだ、怖いか?」と聞くと、
「いやぁ……怖ぇ怖ぇ……もう勘弁してくれ……」
そう言いながらも、何やら口をもぐもぐ。
実はこの男、怖がるどころか饅頭をうまいうまいと平らげていたんでございますな。やがて全部食べ尽くしてしまい、仲間たちが呆れていると、男は一言――
「今度は、濃いお茶が怖い」
――というオチでございます。
どうも、くだらないようでいて、人の欲ってのは隠せないもんで。怖いと言いながらしっかり腹に収めるあたりがこの噺の味でございますな。おあとがよろしいようで。
★★★
週刊少年ジャンプで連載中の『あかね噺』がアニメでスタートしてとてもわくわくしている私です。そしてしかも何ともなんと主題歌があの『桑田佳祐』さんじゃあないですか。メロディが素敵だし歌詞の内容にも落語の要素が盛り込まれてて桑田さんらしい粋な作品に仕上がってて、もう一目惚れ状態です。私の部屋ではこの楽曲がエンドレス状態です。初回の放送はオープニングが最後に来てる演出だったせいもあってそのお声を耳にした時、全身鳥肌状態でお目々がしっかりハート型になっておりました。週一の楽しみが出来てめちゃめちゃ嬉しいです、今年は落語ブームが来るかもしれませんね。
さて、お話を饅頭に戻しましてですね、お饅頭って実はホントに怖かったりするんですよ。発祥は古代中国と言われてまして『饅頭』と読むのが実は正解なんですって。これは現在でも食べられている中に具が入っていない蒸しパンのような物で起源は古代中国のあの諸葛孔明が人身御供の代わりに供え物を作ったことにあるという説が有力なんですよ。三世紀の三国時代、軍師・諸葛孔明が南蛮征伐の帰路、氾濫する大河を鎮めるために『人間の頭の代わりに、小麦粉の皮で肉を包んだもの』を投げ入れたのが始まりとされています。
名称の由来なんですが、饅頭は当初、蛮人の頭を意味する『蛮頭』と呼ばれていましたが、後に食べ物を表す「饅」の字が当てられ、『饅頭』に変化したんですって。要するに、お饅頭は食べ物として開発された物では無くて元々は身代わりと言う意味で作られたものなんです。そして、儀式が終わった後に『お下がり』として食べたことで次第に食べ物として広まって行ったって考えられてるそうです。なんか怖いお話だと思いません、お饅頭って人の頭がモチーフなんですよ……。
日本に伝わったのは鎌倉から室町時代にかけてなんだそうで明確に食べ物(特に喫茶の際の点心)として伝わりましたので儀式的な背景はほぼなかったそうです。そして、伝わったのは『肉まん』なんですがこの頃の日本って肉食が禁止されてたんですよ。だから肉まんをそのまんま食べるわけにはいかなかったんですよ。そこで日本人は考えた。中身を野菜(菜饅頭)や、小豆を煮たもの(あんこ)に代えればいいじゃんって。そこまでして食べなくてもいいじゃんって思われるかもしれませんが、当時の中国は日本にとって『最先端のハイテク国家』だったんですよ。現代の日本人が欧米文化に憧れてたのと同じノリだったんでしょうね。だからそんな国の食べ物ならば法を犯さない形に落とし込んででも食べてみたいと思うじゃぁ無いですか。人間って年月を経てもあまり変わらないものなのかも知れませんね。
そして『餡まん』は『お茶と一緒に楽しむ美味しい食べ物』と言う意味で広く受け入れられて日本全国に広まっていきました。お茶飲受けに温泉饅頭なんか出てきたひにゃぁ私の目じりはだらだらに下がりっぱなしになってしまいますもの。私ってば酒にもであると同時に甘いものもイケちゃったりするんですよね、ロックのウィスキーのつまみにチョコレートなんてたまにやりますもんね。最近はブランデーはほぼ飲んでないんですが、ブランデーにチョコレートって、たまらないんですよね。
そうそう、上にお饅頭は禅寺の点心として伝わったと書きましたが、江戸時代の寄席でも、お客さんはお饅頭などの軽食をつまみながらリラックスして落語を楽しんでいたんですって、落語という文化自体が『お茶とお饅頭を楽しむひととき』の延長線上に発展してきたとも言えるんです。中国から伝わったお饅頭ですが、すっかり日本の文化に溶け込んでしまいました。そして、冬場に頂く肉まんのなんと美味しい事よ。最近は欧米からのインバウンド客にもこの美味しさがばれつつあるみたいで、ラーメン、カレー、カツ丼、鰻と来て次は肉まんかも知れませんね。
さて、最近のコンビニスイーツのお饅頭もかなりのハイクオリティです、明日のおやつはお饅頭で渋~~~い緑茶を頂きましょうか。




