20話【焼け焦げた森】
「なんだこれ、何があったらこうなるんだ???」
「例のバールってやつと神速の勇者様が戦った場所ってことかな?」
「ひえー、こんなの巻き込まれたら死ぬって、」
「巻き込まれそうになったらリーダー盾にするね」
「それは無いぜワルスちゃん!」
「、、はぁ、うるさ」
森に入って比較的浅い所に4人パーティーが居る。
話し込んでいるのはリーダーのベルンと雷撃機ワルス、その会話に呆れたようにため息を着くのは氷剣姫ローレインだ。
クザンはいつも通りマイペースに木々の影を見つめていた。
「すごい、影が揺れるほどの高熱だったんだね、怖かったね。 大丈夫、僕が支えてあげる。 ほら、安心して、」
「、、ほんっと、変人しか居ないわね、」
クザンの独り言にいつものようにローレインが愚痴を漏らす。
「レインは気にならない?」
「この森のこと?」
「そうそう! どんな火力で焼き払ったらこんなことになるんだろうな?」
「アタシの雷魔術なら1時間もすれば出来るけど、これ多分一瞬で焼き払ってるのよねぇ、ばかみたいな超高温がここにあったの。」
「ワルス、アンタでもこんな高火力は出せないのよね?」
「うん、断言する。」
「ってゆうことは、少なくともバールってやつはドラゴンより高火力ってわけね」
「うっわ、めちゃくちゃ怖いじゃん、」
「怖かったね、 ほら、影が淀んでる、恐怖が停滞しているんだ。 僕が癒さなきゃ、君たちはきっとどんどん墨色になって辛くなっていくと思う。 僕が守るよ、ね?」
「ドラゴンより強い魔物、正直想像できないよな」
「ええ、少なくとも私たちでどうこうできる相手じゃないわ」
「え、戻ってきたりしないよね、??」
「さあ?」
4人パーティーがいるのは不自然に焼き払われた森の中。
ガラスのようになった地面、チリすら残さず蒸発した木々の跡、抉れて下の柔らかい土がめくれ上がっている地面、焦げ付き1部熔けている地面もある。
そんな地獄みたいな空間で、ふとクザンが気付く。
「え、ちょっと待って、なんでこんな所に、は?ちょ、意味わからない、でも生きてる、ってことは、この子は巻き込まれて生き残ったってこと、? ちょっと待ってそれはありえない、でも影か彼を支えてるってことは、破壊を阻止しようとした、? そうなの? そうなんだ、 そっか、すごく怖いやつにお腹を蹴られて、うん、気絶しちゃったんだ、うん、分かった。 君たちが助けてって言うんだ、僕は助けるよ」
ブツブツと呟きながらクザンがのそりと立ち上がる。
立ち上がって、ベルンを見つめるクザン。
と、急にベルンの前まで歩いていき、じっと見つめ始める。
「うおっ!? ビックリした!」
「ベルン、人がいる」
「、、え、? 生きてんのか?」
「うん、生きてる。 気絶してるだけ」
「巻き込まれた人がいたのか、分かった、一旦その人を村に連れていこう」
「うん、そうしよ」
そう話し合うと、直ぐに踵を返しこの中に入っていくクザン。
いつもこんな調子でマイペースに動くやつだ。
けど、今の話的にその先に生存者がいるのはまちがいない。
それをわかっているのだろう、3人はその後を追い、焦げが少し引いている森の草の仲へと入って行ったのだった。
ーーーーー
「子供だね」
「子供だな」
「子供ね?」
「子供だよ?」
進み始めて直ぐ、それは見つかった。
年齢は4歳ぐらいだろうか?
服は黒焦げ、靴や靴下があったはずだけど、残りカスの住みみたいなのが足に着いてるだけで原型すらとどめていない。
ズボンはぎりぎり大事なところが隠れる程度、服は左半身が燃え尽きている、右半身も似たり寄ったりで服の原型が辛うじて残っている程度。
「これほんとに生きてるの?」
「うん、生きてる」
「よくこんな状態で生きてたな、このガキもしかしてすごい魔紋持ちなんじゃないか? 【神児】って魔紋に確か不死属性みたいなのがあったろ?」
「実際それくらいしか考えられないわよね、ここまで服が焼け焦げてるのに肝心の体には炭みたいなのが着いてるだけで肌が焦げた痕跡すら見当たらないわ?」
「ねえこの子、なんかおかしくない?」
「おかしいって?」
「なんて言うのかな、こう、内封してる力の密度に違和感があるってゆうか、」
「気のことか? 言われてみれば確かに、どうなってんだ、?」
謎の少年、エノワールと猛る剣の初対面は、そんな片方が無意識のうちに行われてしまった。
エノワールによって波乱万丈に巻き込まれる事になることを彼等が知っていれば、もしかするとこのときエノワールを助けるようなことはしなかったのかもしれない。
いや、知っていたとしても彼らの良心はそれを許さなかったかもしれない。
そゆうか、そもそもそんな事を察しろとゆうのは少し酷とゆうものだろう。
無事に騎士団へ送られたエノワールは直ぐに治療を受け、実に3日間もの間騎士団長のテントで眠り続けることとなるのだが、それはもう少し先の話。




