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【音魔法使い】の魔紋  作者: フリューげリュ
エノワール昏睡中
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19話【未知の最強】

「何かいるな、エレーナとトーマスは俺の合図までそこで待機だ。合図が聞こえ次第戦闘に入る、準備しておいてくれ。」

「はいっ!」

「はい!」


ところ変わりエドガー達がいた森林深部から南にかなり下ったところ。

そこにエドソンたち3人パーティーはあった。

他のメンバーはトーマスとエレーナ、トーマスはおちゃらけた雰囲気のある茶髪に細目の男、武器はナイフである。

エレーナは金髪に金色の目、整った顔立ちから嫌でも目立ちそうな女性である。

武器はメイス、見た目ではかなり細く見えるものの、かなりの力自慢でエドガーに次ぐ怪力もちであった。

そんなふたりを率いるエドソンは着くところには筋肉がつき、余計な筋肉のない極めて実用重視の体型をした男だ。

武器はロングソード、罠探知や気配察知に特化した【盗賊】の魔紋持ちである事からその戦闘センス以上にシーカーの役割を期待される男である。

そんな男の気配察知に生物が引っかかったと聞き顔が強ばる2人。

緊張感を持ったその視線に少し口角が上がるのを認識すると、エドソンはロングソードを抜き放ち構える。


「前方6匹!グレーウルフだ!」

「「はいっ、!!」」


エドソンの声とともに弾けるように飛び出す2人、それと同時に待ち伏せがバレたことを察したのだろうグレーウルフも飛び出してきた。


「グルァッ!!!」

「うおおっー!!!」


その鋭い爪を上手くナイフで受け流し懐に滑り込むのはトーマスだ。

懐に入った体制のままに上に覆い被さるようにいるグレーウルフの横腹をナイフで突き刺す!


「グルルッ!?」


痛みに行動の鈍ったグレーウルフを後ろに転がるような体制で投げ、その胸にナイフを突き刺すトーマス。

瞬間、グレーウルフは絶命、その瞳から力が抜けた。

それを確認しトーマスは次のグラーウルフに飛びかかるのだ!


「やあっ!!」

「ぐるっ!」

「ドパァンっ!!」


エレーナもエレーナで大立ち回りを繰り広げている。

得意の怪力で振られるメイスが、当たった傍から狼の頭を吹き飛ばすのだ。


「らっ!おらっ!!」


その威力に目を見張り硬直した狼の喉を正確に切り裂く男、エドソンは瞬く間に2匹の首を掻っ切ると振り向きざまエレーナにウインクを飛ばす。


「どうだい?華麗だろう?」

「そうです、ねっ!!」


最後の1匹にメイスがめり込み破裂する。

呆気ないものだった。

まあBランク冒険者が率いるパーティーだ、この程度やってのけるのはある種当たり前のことなのかもしれない。


「周囲100メートルに敵はいないな、少し休憩にしよう」

「はいっ!!」

「お紅茶入れますね!」


エドソンの宣言、既に2時間ぶっ通しで探索している2人としても否やは無い。

エレーナが魔紋【異空倉庫】からティーセットを出すのを眺めつつ、男2人は3脚のイスに座って雑談を始めた。


「この森はいいな、木がいい。 空気が美味い、人の手が入っていないからか?」

「でしょうねぇ、いやぁ落ち着きます。 これで魔物が居なければ言うことなしなんですが、」

「違いない、とは言え今どき魔物の居ない森なんて殆どないのが現実さ、あるとすれば聖地くらいか?」

「聖地も去年の今頃に魔物が出て大騒ぎになったらしいじゃないですか」

「あー、あったなそんなこと。 世の中忙しいよ、ほんと」

「エドさんゆっくりしたい人ですもんね〜」

「トーマス、それを言うなら君の方がのんびりしたやつだと思うぞ?」

「それはもう、僕はそうゆう慌ただしい人生向いてないですから」

「似たもの同士か、」

「ですねぇ、」


のんびりした顔で語らう2人、そんな2人をたまにチラチラ見ながら紅茶を入れるエレーナの横顔がすごく可憐で、ふと見つめたエドソンが少し赤くなる。


「はい、出来ましたよエドソンさん、トーマスも」

「ありがと、エレーナ」

「ありがとうエレナ」

「どういたしまして、、よっと、」

「疲れたか?」

「はい、森は思っていたより体力持っていかれますね、」

「そうか、エレーナは今まで平地での訓練ばかりだったな。 今のうちに整備されていない道での身のこなしを覚えておくといい、」

「はい、そうします」

「んっ、やっぱり美味いな、エレーナはこうゆう才能に長ける」

「ほんとっ!すごい上手いよエレナ!」

「あら、そんなに褒めても何も出ないですよ?」


ほのぼのした空気、やはり作戦行動中と言っても常に気を張っていては無駄に疲れるものだ。

特に今回は【盗賊】の魔紋を持つエドソンがいるのだ、休める時に休むのは悪い判断じゃない。


「さて、そろそろ、、」


20分ほどの休憩を終え、重い腰を上げて立ち上がろうとしたエドソンの感知範囲100メートルに、何かが入る。

何か、何かは分からない何かは、ただひたすらに強いこと、それだけが辛うじて分かった。


「っ!? エレーナ!トーマス!今すぐ戦闘態勢!!」

「「っ!? はい!!」」


エドソンの声に飛び上がり各々の武器を構えるエレーナとトーマス。

エドソンの視線の先を追い、ようやく彼らもそれが何を指した声なのか察することが出来た。

木と木の間、影になり少しくらいその先に、少しだけ明るい何かが見えるのだ。

それが何なのかは分からないものの、それがやばい存在であることは長い冒険者としての経験が物語る。


「アイスランス!!!」


突如、エドソンが足のポケットから8枚の紙を出しながら叫ぶ。

掲げられた紙には魔術陣、魔術陣が輝くとほぼ同時、空中に8本の氷の槍が出現した。

その冷気で周囲の温度が5度ほど下がる、が、エドソンにそんなことを気にする余裕は無い。


「ズドドドドドドッ!!!」


一斉に発射された8本の氷槍が木々を壊しながら感知された存在に殺到する。

槍に砕かれた木が凍ってしまっているのは、そうゆう効果が付属されているからだろうか?

1本1本が大樹を破壊する威力を持つ氷の槍、しかしエドソンはそれで安心などしない。

なぜなら、恐らくこのエネルギーを練り固めて作ったような存在が、報告にあったシルバーウルフの最上位種、バールであると察していたから。

だから即座に行動を取る。


「トーマス!エレーナ!防壁展開!!」

「「はいっ!!防壁!!!」」


2人の声が重なると同時、2人が掲げた紙が光り輝き2枚の防壁を形成している。

一般人が使っても金属の武器で何度も攻撃しないと壊れないようなものができ上がる代物だ、冒険者として生計を立てる彼らの防壁ならば軽い落石くらいわけないだろう。

常識的に考えて、これが簡単に破られるとゆうことは考えずらく、時間稼ぎくらいならこの程度のものでも十分に役目を果たすだろう。

不運だったのは、ただ相手が常識を逸脱した存在であったこと。


「よし、防壁を展開したまま草むらに隠れて、、」

「これは、魔法、ですか?」


エドソンの声を遮るように聞こえた声、エドソンにその声の聞き覚えは無い。

見ると、先程まで100メートル先で氷の槍に襲いかかられていた存在が、トーマスの防壁に触れようとしている。

一瞬の判断、エドソンは尻のポケットから青いボールを取りだし、地面に投げつける。

立ち込める青い煙、その中全力で突如現れた存在から二人を離そうとかけ出す。

2人も馬鹿じゃない、この状況のやばさを感じた瞬間バックステップで距離を取り逃げようとする。

そう、逃げようとしたのだ、実際少しだけ距離の相手いたエレーナは無事草かげに飛び込めている。

それを残り2人が知る術は無いものの、これは間違いなく青い煙のお陰だったろう。


「うあぁあああ!!!」

「トーマスっ!!!」

「柔らかい、これは、ベットに使うものですか、?」


青い煙の中、トーマスの絶叫が響き渡った。

やられたことは単純、防壁が切り刻まれ、その余波がその全身を切り刻んだだけ。

その疾風を宿す魔力がトーマスを切り刻んだ、それだけの事だった。

それを気配の察知で何となくだが理解したのだろう、エドソンが抜刀し気配の相手に切りかかる。


「おらぁああ!!!」

「ガアァンッ!!!」


抜刀と同時に刀身がバールの腹にぶち当たる。

派手な金属音を上げた刃が1ミリたりとも進まないのは、きっと種族としての絶対的な差故なのだろう。


「エレーナ! 騎士団の所へ!!!走れ!!!」

「っ!!」

「まだ居たのか、んっ?」

「行かせんっ!!!」


無言のまま草の中を走り抜けるエレーナの気配、それを感じながら追おうとするバールの前にたちはだかるエドソン。

刃は先の一撃で風を切り、そのダメージで深刻な破損をおっている。

使い物にはならない、こんなものではノコギリのように使わなければとうてい物など切れはしない。

だが、エドソンはおもうのだ。

それがどうした?と。


「邪魔だね」


その声が聞こえたか聞こえなかったのか、それは定かでは無い。

ただ、彼の無数の刃で切られたようなボロボロの体は、ことさらに握りつぶされたような不自然な破損のある顔部分が異質に際立っている。

おそらく腕にまとっていた風が顔を細切れにしてしまったのだろう。

その行動がなんらバール?の足止めになったとは思えない、だが、、


「逃がさな、、」

「俺の獲物だぞジオっ! 波紋流『絶技・五連居合』!!!」

「俺の獲物に決まってるだろレオ!!!波紋流『絶技・極滅』ッ!!!」


突如、ふたつの影が後追いしようとしたバールの左右を挟み撃ちにして現れる。

かたや斬撃は1呼吸に5発、ほぼ同時に放たれる閃光のような絶技、かたや一刀に渾身を備え圧倒的な破壊を宿す絶技。

双方、絶技の名に恥じない見事な残影を残しバールに襲いかかった。

5本の閃光はバールの硬い皮膚を深く切り裂き、5本の深手を利き腕である右腕に与える。

おそらく筋肉がやられたのだろう、バールの右手に力が入っていない。

1本の絶技はバールの左を切り飛ばした。

切り飛ばして、しかし殺しきれないエネルギーがバールの右足にも深々と傷を付けるのだ。

これでは走るなど夢のまた夢だろう。


「よくやったわ2人とも! ウインドバレット!!!」


バールの後ろに女がたつ。

その周りに舞っているのは紙だろうか?

その白い何かは光り輝き、そして空気の弾丸を形成するのだ。

その数実に100発、一つ一つが大木を砕き倒す威力を持つ。


「グガァッ!!!」


いっせいに殺到した空気の弾丸は容赦なくバールこ体を滅多打ちにするのだ。

その威力に肉体が波打っている、半端なダメージで済むとも思えない。


「ナイスだイリス! 追撃行くぞジオ!」

「任せろレオ!」


2人の剣士が殺到していた。


「油断しないでね2人とも! ウインドランス!!!」


女の方は極太の風邪で作った槍を作っている。

バールは失った左足とろくに動かない右手と右足を見つめ、唱える。


「恐らくこいつがバールよ! 細心の注意を払うように!」

「おう!任せろイリス!」

「言われずともわかってる、もう一撃入れるぞ!」

「おう!」

「ええ!」


突如現れた3人の会話を、バールは俯き暗い顔を覗かせるのみ。

いまいち何を考えているのか分からないバールのそんな様子に好機を見たのだろう、斬撃と魔術が、襲いこようとしている。

そんな3人の様子など気に求めず、バールは呟く。


「バール、? 様はどうした、? 呼び捨てだと、? なんだ、それわ、?? そんな、そんな不敬が、許されるわけなかろう、?? そう、不敬だ、!不敬だっ!!!不敬だぞ貴様らァーーーーーー!!!!!!!もう我慢ならん!!しょうもない斬撃にしょうもないそよ風、相応の攻撃もできない哀れな生物だと手を抜いてやればつけ上がりやがったな貴様ら!!! 殺す!その不遜は絶対にしてはいけないことだ!!!」


突如の激昂。

そして吹き荒れる爆風、その風が無秩序に森の木々を凪倒すが、すできそんなことに気を配れる精神状態では無い彼は叫ぶのだ。


「『原初回帰』!!」


神の声にどこか似ている、そんな不思議な響きを持つ声が静かに森を波紋する。

彼を中心にした絶望、それかま現れたのはその次の瞬間のことである。

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