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【音魔法使い】の魔紋  作者: フリューげリュ
最上位種
20/30

15話【神の声、そして衝突】

暗い世界に、1柱の神はいた。

弱々しく発光する彼の体は、それ自体が彼の力、その弱々しい輝きを表しているようだ。


『おっ!新しい到達者は君かぁエノワールくん!なかなかどうして、どうしようも無い状況だ、どうするのかな?? うん、思ってたより早かったな、僥倖だ!それでは決めゼリフと行こう。 器は成った、!!ここから歯車は回り始める!!私を受け継げ異世界の来訪者よ!私は望む!失われた魔法の最盛期を!!もう一度!!! 』


彼の神が望むのはかつての信奉、かつての力、かつての栄誉だ。

彼の神は1つの時代を統べた者。

死した神は、その再生と共にほとんどの力を失った。

彼の神は信じていた、人々は自分を待ちわびていると。

自分を亡くし、魔法を失った彼等が、どれほどの苦悩を味わうだろうか、彼の神はそれが心配でならなかった。

蘇生してみれば呆気ないものだ、彼らは既に新しい力を得ていた。

魔術に支配されたこの世界に、既に彼の居場所は無かったのだ。

彼は信仰を失う、神は信仰を失えば力を得られない、なぜなら神はあくまでも概念だからだ。

その存在を求める声が、彼の神を安定させる。

しかしこの世界のどこにも、既に彼の神の居場所は無い。

絶望した彼は、呼ぶ事にしたのだ。

異界の者を自らの加護のもとに。

彼の加護は、同時に彼の記憶を継承する。

今までそこにたどり着いた個体は居ない、この数千年の中で1度もだ。

その要因のひとつとして、彼らは彼の神を知らない。

存在は知っていても、声を知らない。

この加護は、彼の声を知る事が絶対重要だ、だから異界の者を呼んだ。

この世界の法則は、彼らに適応されない。

かくして神に呼ばれた子供たちの中に、ついに彼の神と繋がる者が現れる。

きっかけ、その最後のひとつは、異界の者がこの世界と強く繋がること、それは強く思うことだ。

神は歓喜し、そして告げるのだ、『私の記憶を覗きなさい、そして私を信じなさい。対価はあります、エノワール、君はこの瞬間から魔法を覚える。君には今、それが必要だ』と。

エノワールに、神の声は届かない。

それどころじゃないのだろう、しかし神は頷いた。


『フレイム』


エノワールの口から、神の声が漏れる。





ーーーーー





死にかけた、そう。

僕は今死にかけていた。

けど、今僕は立ってる、息を吹き返したのか、単に傷が治っただけなのか、分からないけど、分かったことも幾つかある。

なんて言ってたのか、それは覚えてない。

分かるのはあの声が転生直前に聞いたアレと同じだった、とゆう事くらいか?

あぁ、もう1つあった、僕は左手から溢れ出る炎を見つめる。


「フレイム、、うん、なるほどね」


僕は小さくつぶやくと、少しだけ火種の大きくなった炎を見つめる。

高さは僕の背の2倍はあるんじゃないかな?

この炎が神さまの声で『フレイム』と言った瞬間に発生したことは、何となく分かる。

キッカケはなんだろう、炎の魔法で焼かれたことだろうか?

そうなると別の属性を使うには都度その属性を持つ魔物に襲われて瀕死になる必要がある、とゆう事になる。

正直それはしたくないな、痛いのはそんなに好きじゃない。

僕が知らない記憶がある、感覚的にわかるんだ。

追加された記憶は2つ、1つはフレイムとゆう魔法で、もう1つは魔法を使う時の舌の使い方だ。

それだけ、けどこれが分かったことでもう1つ出来そうなことがあるんだ。

僕は薄く目を開き、気付かれないようオオカミ魔物を見た。

ボヤけた目ではよく見えないけど、奴は何かと戦っているらしかった。

押されては無いみたいだけど、かと言って追い詰めてもない、相手は相当な実力者らしかった。

僕は、やつの意識が既に僕を見てないことを察する。

と、同時にゆっくり立ち上がった。

立ち上がって、おおきな木を目指す。

僕の予想が正しければ、僕はあの火柱が使えるはずなんだ。

奴の声は聞こえてた、振動も見えてた、発音の大元は同じだと思って良さそうだった、良かったなと思う。

違うのはオオカミ寄りの口で発音する用の発音になっていて僕の口で出来るかは分からないこと。

物は試しだろう、失敗することは今はどうでもいい、そう思う事にした。

怪我自体は治っていても筋肉痛みたいなのを感じる、そのせいか対して遠くもないそこそこ太い木が、かなり遠く感じる。

やっとの思いで気にたどり着く頃には足の裏が血だらけになっていた。

靴が蒸発したのかな?

靴下もない、上着はあるけどズボンは半分ほどが焼け落ちていた。

上着もあると言っていいのか微妙なラインだ、かろうじて原型を留めている程度。

あの火柱で焼き尽くされたのだろう、幸か不幸か足元に草とかは見当たらなくて、ぎりぎり炭みたいなものが落ちているだけ、幸いにも足を草で切ったりとゆう心配はしなくて済んだ。


「グルルァヴァ」


木の幹に触れて、呟く。

発音が難しいかと思ったけど、思いの外するすらと出てきた。

多分これも【音魔法使い】の効果なんだろうね、魔法に限った発音のサポート機能か、かなり便利かもしれない。

そんなことを思いながら、僕は思い出す。

やつの動きを、あの炎の柱を伸ばした時、アイツは伸ばす数瞬前に踊っていた。

その時足が光って見えて、それを丸く引き、円を描くようにして綺麗な丸を作ったんだ、そう見えた。

僕の左目があの円と同じ幅の柱を一瞬とらえた事からも、あれがこの魔法の効果なんだろう。

僕は右足が光ってっているのを確認する。


「結構光るんだな、」


僕はつぶやくように言うと、大きな幹に足を付けて、、


「ガガガッ」


幹を削って円を描いた。

その円が薄く光っている代わりに、僕の右足からは光が消えている。

後は僕の想像どうりかどうか、、

僕はその円が発熱するのを感じると全速力で逃げる!


「ズゴオオオオオンッ!!!!!」

「うっお!あぶなっ!」


間一髪、炎の柱は少し前まで僕がいた延長線を焼き払う。

想像通り横に向けて書けば横に飛ぶんだな、良かった。

これで天高く細長い炎の線が現れても面白かったかとしれないが、やはりこうゆうのは成功してナンボだね。

少し達成感がある。

炎の柱は気に穴を開け前後を焼き払っている。


「ひゃあー、円が小さかったせいかな?さっきのより強い気がする」


数秒、炎の柱が終わるのを確認して僕は走り出す。

僕の目が捉えたアイツ、発動の瞬間までこの延長線上にいたのは確かだ。

避けた可能性もあるし、炎が効かない可能性もある。

僕はそんなことを考えながら、左手を見るんだ、燃え上がるその左手には不思議と火傷などは見えない。

たぶん自分が生成した魔法でダメージを喰らわないように調整されてるんだろう。

この焼き払われて開けた土地の上では走ってればすぐに見つかる。


「おおー?今のは、おまえ? まねしたの??」


奴は惚けた顔をしていた。

さっきまで戦っていた奴は見当たらない、街から派遣されてくる奴らの斥候だったのかな?

僕は、その思考をあえて切り離し言うんだ。


「決着つけよう!犬っころ!!」


僕はそう吠えると、魔気の生成とともに唱える。


「フレイム!」

「グルァグルール!!!」


僕と奴の声が重なると同時、僕の左手で燃えていた炎が一目でそうと分かるほど強烈な業火となる。

そして奴が唱えた魔法はどうゆう高価なのか、爪のような両手5本ずつの炎の爪が生えている。

その温度で周りの空気が歪んでいるな、それは僕も同じだ。

左手の炎を、操ってみる。

と、炎はその形を小さく小さく圧縮する。

炎どうし、拳と拳が当たる瞬間、僕の拳は薄い炎の膜と魔気の膜に覆われていた。


「ズドオオオンッ!!!」

「やるね、ちっちゃいの」

「お前もね!いいかんじだ!」


互いに吠える声が聞こえたかわ分からない。

高熱高周波の塊同士がぶつかり爆ぜた音にかき消され、しかしハッキリとわかった。

僕は今、すごく興奮している。

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