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【音魔法使い】の魔紋  作者: フリューげリュ
最上位種
16/30

11話【火柱と勇者候補】

森の中を走ること3分ほど、そこそこ深く入った、と思う。

周りの草は高さがどんどん高くなる、草の中に隠れるだけでも見えないだろうな、と思わせる高さ、これなら大人数人くらい隠れても分からないんじゃないか?

草の中に隠れて、音に集中する。


「いない、おかしいな、匂いするのに、、あ、隠れてるのか。なるほどね?」


、、、あいつ、ちょっと感じでたけど頭そんな良くないのか、?

そもそも森の中に逃げ込んだ時点で目的は戦闘じゃなくて生存だと思うんだけど、?

まあ、それはいい。

予想通り森に入ってからやつの周りは草木が発火しない程度の温度に抑えられてる、そうゆう制約になっているのか故意に温度を下げているのか、多分後者だが、前者だった場合は好都合だな。

森の中では温度が下がる代わりに障害物のない場所では温度にかなり大きなバフがある、みたいな縛りの可能性はそこそこあるんだ。

あの熱量、純粋な戦力と考えたくないってのが本音だけどね!

あんなものをこの障害物だらけかつすぐ燃え広がる場所で使われたら、それこそ一溜りも無い。


「隠れるなら燃やすよ〜? おれ〜このぐらいの湿気くらいならあんまり関係ないよー??」


、、、うーーん、どっちだ?

どっちだろうなぁ〜、あ、別にアイツが燃やすかどうかじゃないぞ?

アイツに炙り出すブラフとかの考え方、あるかなぁ〜のうーんである。

どうだろ、あるかな?

無さそうなんだよなぁ、ほんと簡単に我慢できなくなって燃やしそうな危うさがある、どうしよ?

出て行こうかな?

いや出ていってもそのうち燃やされそうな気がするんだけど、、


「はぁ、もういいや」

「やばっ!」

「あっ!いたいた。でもあれだね!ちょっと遅かった」


その声が聞こえるか聞こえないうちに、僕は走り出していた。

走る先は奴の真反対、少しでも距離をとるためのその行動は、結果から言うと全くの無駄になってしまった。


「ガルルァヴァ」


シルバーウルフに寄せた魔法、口頭法での魔法だ、間違いない。

僕の左目が奴の魔力、その高まりを感じている。

やつの周りの空気がみるみる高まる中、奴は目を見開く。

左目に写る温度の変化とともに、空間も熱気に包まれていくんだ。


「ばん」


奴のそんな声が、確かに僕の左目にうつるんだ。

次の瞬間、森の一角は焼き尽くされる。

僕の視界いっぱいを埋め尽くす光の線、無数のそれが、空間を飲み込むのにそれほどの時間はかからなかった。

今できる最大出力の魔気の膜を展開しようが焼け石に水だ、分かっていた。

薄れゆく意識の中、上がり続ける火柱の高温が、奇しくも僕の意識を瀬戸際につなぎとめていた、そんな気がする。





ーーーーー





「すごい数だな、新しいダンジョン、とゆうよりは今までなりを潜めていただけでどこかに大きなダンジョンがあって、それが見逃されてきたんだろうな。上位種のシルバーウルフが5匹に中型の3メートル級が無数、村の方も無事では済まないだろうなぁ、エノワールが無事ならいいんだけど」


男は森の中にあった。

腰に帯びた剣を抜くことも無く上位のシルバーウルフを何匹も仕留める姿はまさに鬼神、さすがはかつての勇者候補筆頭と言ったところだろう。

男の周りは血に染っている、死したシルバーウルフの臓物でかなりの異臭がしているが、男の顔に特段それを忌避するような気配は見えない。

まだダンジョン自体は見つかっていないものの、溢れ出した魔物は大半が仕留められたと見ていいのでは無いだろうか。

ただ、これだけの群れで最上位種が居ないとゆうのは少し不自然だ、とゆうのが男の解釈であった。


「ズゴオオオオオンッ!!!!!」

「!? なんだ!?」


唐突に起きた爆音が、男の耳を突き抜ける。

振り返った男の目に写るのは木の葉の間、そこで輝く炎の柱だった。

男は知っている、その炎の、あまりにも凶悪な出力を。


「ちくしょ! もう森の中心を離れてたか!!にしても、森焼き尽くすつもりか!?」


男はその柱から漂う熱風に撫でられながら疾走する。

速度は音速、勇者候補の中でも『剛腕』『雷泥』の2人とともに『神速』の2つ名で知られた男の本領発揮と言えるだろう。

音速に晒された森は空気の余波で曲がりながら一本道を形成する。

音速を作り出す瞬足、その踏み締めで地面が陥没しないのはきっと男の技術がなせる技だろう。


「新しいやつか、な? あ、なんか顔似てる、ね、? うん、あと強そう」

「っつ!!?? エノワール!!! 」


男の現着、咆哮が響き渡る。

その咆哮が向けられたのはオオカミの魔物、その最上位種だ。

そしてその足元に転がるのは、服が焼け焦げ肌に墨が付着した小さな少年。

怒りが男を包み込むのを、誰が止められよう筈もなかった。

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