10話【人型の魔物=超強い。これ】
突然だが、魔物ってやつは面白い性質を持っている。
これと言うのは全部がそうとゆう話じゃなくて、一般的にそう、とゆう話なんだが、魔物は小さければ小さいほど弱く、また小さければ小さいほど強いのだ。
誤解のないように言っておこう、これは戦いにくいから小さい可愛いやつは実質最強だとか、そうゆう話じゃない。
基本的に、魔物は個体差はありつつも大きくなり続ける生き物だ。
これは魔力を溜め込む性質のせいであり、魔力を溜め込むが故に強くなればなるほど大きな容量が必要になるのだ。
そんな訳で、魔物は基本的に巨大化し続ける、けどどの個体にも結局限界ってやつがある、さっき戦った3メートル級のオオカミ魔物、あれも大きくなり続けるけど、行っても9メートル前後、11メートルは超えないとゆう限度がある。
この個体ごとの限界に達したやつを上位個体と呼ぶ。
上位個体になると魔力の容量も限界だし気の容量も限界だ、で、どうするか。
圧縮するんだ。
魔力をより多く、気をより多く、少しでも満たすために全てを圧縮するのさ。
平均的な大人の大きさ、ないしもう少し下くらいまでね。
これは別に圧縮の限界とかじゃない、効率がいいんだ。
そのサイズが1番効率がいいからそのサイズになる。
で、この時点でもう限界なんてゆうパラメーターはガバガバだ、寿命もガバガバ、両方あってないようなもんさ。
この状態を最上位種って呼ぶ。
この個体を同じ存在だと思って扱うほど愚かな事は無い、なにせ上位種と最上位種では、それこそ3桁は強さのスケールが違うのだ。
どちらかと言えば魔族に近い存在と言える。
体のほとんどを魔力と気で構成された、概念に近い力の塊。
進化の過程で二足歩行への代わり、造形も少しずつ人間に近づいていく、オオカミの魔物が最上位種になればオオカミ耳の獣人とガワはそこまで変わらないと思っていい。
知性も人間に近いものを獲得し、高度な魔法を使う魔物、脅威以外の何物でもない。
そしてまたコイツら、そこそこ多いんだ。
生態系でそこそこの強さになればそうそう死なないとゆうのが原因だが、大きなダンジョンともなれば下層の方はほぼ最上位種なんてのもざらにある。
そしてこれが原因で人族、獣人族、虫人族との中は最悪に冷えきっていた。
人族と獣人族は虫の魔物の最上位種を嫌悪し、見た目がおなじ虫人族も嫌悪する。
人族と虫人族は獣系の魔物の最上位種を嫌悪し、同じ見た目の獣人族を嫌悪する。
獣人族と虫人族は魔族に最も容姿の近い人族に対し嫌悪する。
要するに三竦みの状況なのだ。
さて、なぜ僕がこんな話をしてのかってことについて言及していこう。
こんな状況を生み出した最上位種の一体が、今目の前にいる。
ついさっき倒したオオカミたちの親玉だったんだろうね。
このオオカミ魔物達は、種族名をシルバーウルフと言う。
その特徴はギラギラとひかる銀色の毛並みと、鋼をも跳ね返す強靭な毛、そしてオオカミ系魔物の中でもかなり上位に入る筋力。
また鋭い五感も有名で、火の魔法を得意とすることから赤鉄オオカミ、なんて愛称で呼ばれていることだろう。
そしてこれは通常個体での話、上位個体になるとその強靭な毛も肉体も魔法も満遍なく強化され、その毛は既に備わっていた耐火が強化され、熱ダメージをほとんど遮断してくれるようになる、強力な個体だとマグマに落とそうがノソリノソリと出てきて無傷で戦闘続行とかゆうイカれたのも過去確認されていた。
そんなシルバーウルフの最上位種は、銀髪に銀色のオオカミ耳、赤黒い目に170センチほどの身長、纏う気配は一級品でその漏れ出る魔力の高温は周囲を溶解させるに十分な火力を持っていた。
魔法を使わず、魔力の性質だけでこの出力、まさにバグだ。
さて、なんでこんな話を急にしているのか、、、
「うおっとっと!!! バカタレっ!気だけで地面を爆破するなド○ゴンボールかおまえっ!!!」
「なんだ?それ? うん、いいね、ちゃんと生きてる。おれ、あれなんだ。すごく強いからさ!!!」
「うわっ!あぶへっ!肋骨折れるぞそれ!」
「まかせろ!バッチリ折ってやる!」
僕は最上位種シルバーウルフに追い回されていた。
シンプルクソ強い、じっさい勝てる気がしないからそろそろ何か思いつかなきゃやばい気がしている。
あ、いま奴が踏みしめた地面爆散したな。
ありえないだろ、あれ別に魔気で強化してる訳でもないんだぜ?
さっき1回魔気使ってたけど、その時は地面とゆうかもう、空気が弾け飛んでた。
空気圧だけで地面が弾け飛ぶとかゆう不条理を見せつけられたよね、勘弁して欲しい。
さらに言うと、奴はまだ炎を使ってない。
正確に言うと故意に使っていない、とゆうのが正しいかな。
奴が使おうとしてないだけで弾け飛んだ地面は溶解してるし魔気の波動で飛ばされた空気圧は火山みたいな頭の悪い超高温になっていた、これがシンプルな魔力自体の特性なんだから笑えない。
魔法として使えばこの比にならないわけだからね。
どうしようか、、
賭けに出るしかないかなぁ、、
「逃げてるだけ、俺あきてきた! おい!こっち、みろ!」
我慢が効かなくなってきたらしいオオカミの最上位種の咆哮にも聞こえる呼びかけ、少し耳が痛くなるほどの声量だ。
耳が痛くても音は左目を通して全部見えてる、問題ない。
この目を通すと魔力に加熱された空気が高温を帯びていく様子が見える、あれじや下手に近づくだけで致命傷だ。
まあ近付かなくても致命傷だけど!
「ちょっ!まっ!って!! あほかっ、」
僕は逃げながら後ろから飛んでくる瓦礫を避けていく。
軽く後ろを振り向くと、奴は瓦礫を蹴って寄越しているらしい、走りながらの遠距離攻撃、しかも瓦礫が高温を纏っているせいで下手な魔法を飛ばされるよりも熱と高速の単純な破壊力が怖すぎる!
なかなかどうしてコスパがいいな。
「よし、もう少し!」
僕は村の外周を囲む柵、その穴が空いてるところから出つつ周りを確認した。
すぐに追いつくだろう奴の気配は、まだ背後からビンビンと感じられた。
止まっている暇はない、走りながら周りを見回す。
逃げ場は2つ、森か山だ。
山は、どちらかと言うと立山のような感じで森の奥にも山が続いていた。
1番村に近い所に接するように母さんのダンジョンがあり、さらにかなり先まで山は続いている。
この冬季、山は雪が積もっている、特に森の裏側あたりは雪が酷い、遠目でも雪化粧が見えた。
走りながら選んだのは森だった。
そこそこ大きな森だ、この季節にそうそう森が燃えることも無いだろう。
それに森の中のダンジョンから出てきたのだとすると、今森が燃えてないことから奴はこの森に入る時魔力を抑える可能性がある、と思う。
森に入る直前、後ろを振り向く。
と、飛ばす瓦礫も無くなり走ることに集中できるようになった奴が少しずつその差を詰めてきていた。
そんな奴が、少し笑っていた、そんな気がして寒気がする。
いや、実際その反応はおかしな事じゃない。
そらそうだ、だって森は奴のホームグラウンドなんだもんな。
僕は、そんなことを考えながら森の影へと隠れるのだった。




