9話【木刀を拾おう】
マシェルはすぐに眠ってしまった。
場所は僕の家、台所の下にあるシェルターの中だ。
マシェルはクロと同じベットに寝転がっている、特に外傷とかは無い、軽く確認しただけだから内側がどうなっているか心配だけど、これ以上の確認はマシェルが嫌がった。
「すぅー、すぅー、」
マシェルの寝息が小さく聞こえる。
少し疲れが出たのかもしれないし、単に眠くなった、それだけの事かもしれない。
なんと言ってもマシェルはまだ4歳なんだ。
「うん、かわいい」
マシェルの寝顔を覗き込んだら、つい声が出てしまった。
可愛いし、綺麗な寝顔だな、と思う。
マシェルは顔がおっとりしているから寝顔が良く似合うね、もちろんいつもの活発なマシェルもすごく可愛いけど、寝顔を見るとギャップ萌えのようなものがか狙えるかもしれない、さすがマシェルだ。
マシェルの眉毛にかかるかかからないか程の前髪をめくる。
と、額に魔紋が覗いた、牙のような上下の紋様と、その牙が並んだ口をもしているらしい紋様の中に6角形の少し細長い物が刻まれている。
6角形の中には何か文字が描かれている。
けど読めない、多分この魔紋ができた頃の文字なんだろう。
【地龍の気】の魔紋、諸悪の根源であり、マシェルに絶大な力を与えている源泉でもあり、そしてマシェルの身を守る鎧でもある。
魔紋は人によって色々なところに発生する、魔紋毎の一貫性とかは特に確認されていない。
僕の【音魔法使い】の魔紋は舌の裏にある。
見ようと思っても見えないようなところの魔紋をどうやって見つけたのかと不思議に思ったこともあるが、もう考えないことにした。
「じゃ、行ってくるね。マシェル、クロ」
起こさないよう静かに言って立ち上がる。
返事は無い、帰ってきたらビックリしてしまう所だった。
マシェルの前髪を戻して、最後にひと撫ですると、僕はシェルターを出る。
かけられた3メートル無い位のハシゴ。
上がって、家を出る。
今回は別に急いでない、ゆっくり行くことにして、僕は田んぼの脇道をと歩き始めた。
ーーーーー
「あれ、どこいった???」
木刀を放置してきた所まで戻ってきたけど、何故か木刀は見当たらない。
軽く見回した感じでは木刀が転がったような跡も無い、少し前まで遠目に見えていたオオカミは見当たらなかった。
おそらく何人か食われたんだろう、もうこの辺はシェルターに隠れてる人以外いないんだとおもう。
少し気になって、倒壊した家の方に歩を進める。
「酷いな、柱が真っ二つだ、」
見上げるほど高かっただろう大黒柱の残骸が転がっている。
綺麗な断面だな、爪で切ったといよりは巨大なチェンソーでも使ったような、そんな断面。
地面に刺さってる腰ほどの高さになってしまった大黒柱の断面をなぞる。
「ザラザラはしてないな、ヤスリでもかけたのか?そんなわけないか」
不思議に思いつつ、その家のシェルターを探す。
シェルターはすぐに見つかった、薄い木の扉で塞がれたシェルター、木は破壊されていない。
周りに掘られた形跡もない所からして地下を掘って侵入された、とゆうのも無さそうに思えた。
「つぎ、いこ」
僕は少しだけ安心する、シェルターのことを察知するほど知能の高い魔物は居なかったとゆう事だから。
もちろんこのシェルターに誰も居ないから見向きもされなかった、とゆう可能性だった十分にある。
だからほかの家も確認する。
「ここも、大丈夫か」
8軒目を確認して、どうにか襲われた周辺の倒壊した建物は確認できている。
扉は開けなかった。
匂いにつられてまた魔物が帰ってきても困るからだ。
確認を終えて、やっと周りを見回してみる。
と、ふと田んぼが目に付いた。
今の今まで気にしてこなかったが、この周辺の田んぼは干からびていた。
気になって入ってみる。
「稲の水分が飛んだのか、??なんだこの干からび方、まるで、、」
高温の物質に照らされて水分が蒸発してしまったみたいだ、と言おうとして、言葉が途切れる。
田んぼを3つ挟んで向こう側、そこに、何かがいたんだ。
一瞬、村人かと思った。
けど、すぐ違うことが分かる。
その存在は、2本足で立っている。
距離があるから正確には分からない、けどその身長はそこまで高いようには思えない。
せいぜいが170ちょい、そんなもん。
距離はあっても大まかな顔は分かる、その顔は普通の人そのものだ、でも何かがおかしい。
「獣人、、じゃないな、」
ふと出た言葉に、僕は苦笑する。
これは直感だ、それ以上でも以下でもない。
この存在がなんなのか、だいたい想像つく。
この存在と獣人を見分ける方法、知識としては知ってる。
まあ本物の獣人を見たことない僕としては本当にただ知識としてあるだけで、この判断基準が間違っていたなら、きっと僕はマシェルに怒られるのだろう。
でも、分かるんだ。
獣人との見分け方は簡単
耳が4つあるかどうか。
耳が4つ、獣の耳と人の耳を持っていたら、それは獣人だ。
音を聞くのは人間耳の方で、五感の拡張作用を持つのが獣耳の方。
とゆう話を父さんに聞いた。
で、もう1つの方は耳が獣耳しかなく、その耳は基本的に音を聞く力しかなく、特に五感強化などの副次的な力があるとかは聞いてない。
とゆうことは無いって前提でいいと思う。
「それ、僕のなんだ。返してくれる?」
その存在は、僕の声をしっかり聞き取ったのだろう。
オオカミの耳をピクピクとさせてから、右手に握っていたものを目線にあげて見せた。
どうやら見ているらしい、本当にただ興味が出たから見つめている、それだけに見える。
あれは僕の木刀だ、ないと思ったらあいつが持っていたらしい。
僕は警戒しながら半歩開き、言った。
「俺が見つけた、から。俺の、じゃない?」
「違うね、僕のだ」
オオカミ耳の細身で銀髪の男は、僕の答えに少しむっとしたように見えた。
次の瞬間、気付くとその存在は僕の前にいたんだ。
その存在感に気付いた時、やっとそれが何なのか確信がもてた。
と同時に、少しやばい事になったことを察する。
ふと気づく、オオカミ耳の男が木刀を振りあげようとしていたのだ。
「取ってみてよ、俺の」
「んぐっ!! いってぇなっ!!!」
反応が間に合わず、まともに腹に食らってしまう、!!
ダメージ自体は咄嗟に練り上げた魔気でどうにかなる、少し安心してしまうけど、すぐに現状を思い出す。
腹を殴られた勢いのまま何メートルか飛ばされたことを思い出し、周りを見回してみる。視界の真ん中に、それはいた。
僕は、魔気の練り上げを上げつつ近づくのさ。
「いくよっ!!」
僕は、そう言うと共に、最速を持って存在との距離を詰める。
手応えがありそうな、そんなバケモノとね戦いが始まった。




