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【音魔法使い】の魔紋  作者: フリューげリュ
狼の魔物
13/30

8話【気の真髄】

「あれ、? ああ、そっか。 潰したのか」


思ったより上手くいったな、なんて思いながら頷く。

見渡す限り血の海だ、1匹生き残ってるオオカミは小刻みに震えている。

伏せても僕より遥かにでかい頭、それが頭を垂れている。

あまり覚えてないけど、多分僕がやったんだろうと思う。

なんとなく何をしたかは分かるんだ、魔気でオオカミ共の体内の気を操って、それで、どうしたんだっけ?

あぁ、気を回して、それで運動エネルギーにしてやったんだ。

それをグルグル回して、破裂させた、そのはず。

まさかここまでの威力になるとは思わなかったけど、結果だけ見れば良かったかもしれない。

血とか油も魔気を纏えば届かない、頭を吹き飛ばした時に、何となく気付いたんだ。

全身を吹き飛ばせる威力があるなら、これはなかなか有用なのかもしれないな、などと思いつつ、仇に近付くのさ。

気ってやつは、色々な身体機能と繋がっている。

その中で1番大きく繋がってるのが重心だった。

僕はこの、気の向きを変えることで重心を限りなく前だけに向いた状態にしたんだ。

その状態で魔気での身体強化をする事でかなりの高速移動が可能なことに気付いた。

気付いたの自体はかなり前だけど、初めて使ってみた移動法だった。

でも、今は使わない。

仇なんだ、こいつは。

だから、もっともっと恐れさせなきゃいけない。


「グルルルルルル、、、」

「そんなに警戒するなよ。怒ってるのは僕なんだぜ?分かるよな犬っころ?」

「グルゥ、」


小さな声だ、言葉を介さずとも、分かるんだろうね、本能で。

刃向かってこないのは野生がそう歌っているからだと思う。

オオカミの目は座っていた。

死を悟って、死を受け入れたらしい。

別にだからどうとゆう話でもない、死を受け入れたら興が冷める?そんなことも無い。


「さ、じっくり行こう」

「グルル、、」


静かなものだな、そう思いながらその頭に触れる。

魔気を宿した手で触れると、オオカミの中身がよく分かる。

内側を巡る膨大な気の波、体躯に見合ったそこそこの量が流れているね、僕が可笑しいだけで本来この大きな体でもこの量の気は多い方なんだと思う。

さっきまでのオオカミと明らかにその密度が違っている。

まあ、どうでもいいか。


「ぐーるぐーる」


ボソボソとそんなことを言いながら、気をグルグルとかき混ぜるのさ。

魔物の体でしか出来ないことを、今からするんだ。

体内の気と、体内の魔力、それを一緒にかき混ぜていく。

そこで気付いた、このオオカミが持つ魔力は火属性のようだ。

別に体が発熱してるとか、作った魔気が燃え上がったとか、どうゆうことじゃない。

ただ分かるんだ。

そうゆうものらしい、原理は分からないながらそう思う。

魔気を回していくと少しずつオオカミの魔力と気、両方が1点に集まり始める。

まあ集めてるんだけどね。



「ううん、エノ、、」

「、? マシェル? 起きたの?」


ふと、マシェルの声が聞こえて振り返る。

そこにはずっと眠っているマシェルが居るばかり、不思議とそこに血潮のひとつも飛び散ってはいなかった。

木刀を大事そうに抱えているな、愛らしいと思う。

怒りももう湧いてこないが、このオオカミを生かす理由にもならないだろう。

僕の誕生日は6月8日だ、とゆうことは今日は9日とゆうこと、別に寒くなるような時期では無い。

けどこんな所で寝るのは体に良くないだろうな、とも思う。


「犬っころ、さっさと死んでもらうことにしたよ」

「クンッ、??」

「ドチュッ、」


僕は急ぐ事にした。

だから集めた魔気を全部抜いて、活動を止めてやろうと思ったんだ。

集めたのは額だった、だから額に指を指してみる。

指を引き抜いて、魔気を吸い上げる。

体の中には入れない、吸い上げた魔気を圧縮しながらどんどん吸い上げるのさ。


「あっ、」


気付くと、オオカミは息絶えていた。

息を引き取って直ぐに、魔気が枯渇する、とゆうことは無くきっかり2分ほどさらに吸い取ることが出来た。

全部抜ける前に致死量とゆうのがあるみたいだ、これは発見。

オオカミが死ぬと同時に、魔気は結晶化してしまったが、さらに魔気を吸い取り続けることで拡張しさらに大きくすることは可能だった、これも発見。

魔石、とゆうことになるのかな?

その石はとりあえずポケットに入れることにしたよ。

そんなに大きなポケットじゃないけど、それでも4歳児の拳より少し小さい石だ、入れようと思えば入る。


「マシェル、帰ろう」

「うう、ん、、」


マシェルの可愛い寝顔をずっと見ていたい衝動に駆られるけど、我慢する。

木刀を持ってマシェルを運ぶのは少し大変そうだから木刀は後で取りに来ることにして、マシェルをおんぶする。

帰り道、まだ何十匹もオオカミ入るけど、不思議と襲われることは無かった。

寝ているマシェルを揺らしたくなかったから少し助かった。

田んぼの外周、その少し大きな道を歩いていく。


「エノ、、おれつよい、、」

「うん? ああ、マシェルは強いよ」

「、、ん」


マシェルの寝言だと思ってたけど、どうやら起きているようだ。

返事に振り返ると目が合う。

負けて悔しいのか、泣いてるのを僕に見られて恥ずかしかったのか、その顔は少し赤い。


「おはよ、マシェル」

「ん、おはよ。 俺負けた」

「だね、魔物はまだ早かったねマシェル」

「でもエノは倒せたんでしょ?」

「分かるの?」

「エノだもん」

「そんな凄いやつじゃないぞ?僕」

「ううん、エノすごい。もっと俺強くなりたい」

「いいよ、任せて」

「、、任せる」


マシェルが甘えた期に入ったみたいだ。

たまにあるんだ、マシェルはたまにデレデレになる。

それはそれで可愛いし、頼ってくれるのは嬉しい。

もう5分も歩けば家に着く、名残惜しいなと思ってしまう僕は浅ましいな。

マシェルを降ろしたくないのは僕のエゴだ、マシェルも分かってるみたいで、降ろしてとかは言わないでくれた。

家に着くまで無言で歩くけど、悪くない時間だと思ってしまった。

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