旦那編 marito 36:森の恩恵(その4)I benefizi dalla foresta:quarto
前回:植物モンスターを倒して第二段階へ進んだけど、毒沼だった。
生暖かく、湿気の強い湿地が続く。
中央の細い道を警戒しながら進む。道とは言っても、苔が所々生えた岩が並んでいるだけだ。
打って変わってモンスターは少ない。しかし、繁茂する苔に脚を取られそうになる。
両側は濁った緑色の水が覆う毒沼の湿地帯。一面の苔は緑や茶、黄色が混じる。
ある種の苔は動き出して脚に絡みつこうとする。
「地叩!」
エドの斧スキルで苔を払い落としながら進む。
色んな種類の苔が混じっているため、どんな攻撃なのか判断するのが難しい。
「憩いの歌!」
地味に消耗しかねないが、ジョルジュの支援バフが効果的に防いでいる。
「嫌味じゃのぅ。やり難い敵じゃ」
「ワイは、こういうのは全然だめや。もっと派手なんがいい」
「風の球!」
前方の苔を吹き飛ばす。
「気を許すと、分からないうちに倒れているかも……」
「気を付けて、何か来たわよ」
細長く立った茎と先がくるっと巻いた形――ゼンマイなんだけど、高さが三メートルくらいある。それも五体!
「やり辛そうな相手じゃのぅ! 火の矢!」
はるっちの先制攻撃でお化けゼンマイが燃え上がる。
「地属性のようじゃ」
「任せぃ! 火の槍!」
ジョルジュは毒対策のため、歌は変えられない。
前衛エドの抑えと炎の壁で動きを妨害しつつ、火魔法で倒して行く。
次に在ったのは、沼に浮かぶハス。まぁ地下茎はレンコンなんだけど、ここのは食べる気がしない。
丸い葉が水面に並ぶ中、あちこちに白地にピンク色の花弁を持つ花が、ずっと並んでいる。
近付くと一斉に毒霧を吐く。仏教じゃ聖花じゃなかったのか?
密集隊形を取って、ひとつずつ火魔法で根気よく片付けて行く。
この第二段階は神経使うわ~。ジョルジュが居なかったら本当に危なかったかもしれない。
しばらくすると、道の幅は広がったが、両側は白い岸壁が続く。
よく見ると小さな花が雪のように貼り付いて居る。
「ワイは、あれ見たことあるわ! ユキヤナギみたいやな」
「嫌ねぇ~、これまでの展開から何かありそうだわ」
「ジョルジュ、防御上げて!」
「承知! 防御の歌!」
「攻めてこないようじゃな。茂っているだけか?」
「ちょち、叩いてみるわ!」
あ、サブ、止めぃ! と言う寸前
「火の槍!」
サブの火魔法がユキヤナギに当たった途端、白い花だけが空中に飛び出し、襲って来る。
「お主は~~! またやりおって!」
「はるっちさん、角は止めてや~」
和本で叩かれてるけど、まぁいつものことだ。
「石の連弾!」
飛んで来る花を地魔法で叩き落とす。
「風属性! 地で対処!」
「了解じゃ! 地の加護!」
「ワイの魔法も喰らえ~ 砂塵!」
サブ、その判断は正しいよ。さっきのがなければ良かったけどなぁ
「地纏い!」
「助かるわ~」
エドにはこれが効果的
「挑発!」
花々は一斉にエドへと向かう。
「多連断!」
エドはスキルを駆使して、叩き落して行く。
魔力に余裕がないように見えるので、魔力回復剤を投げる。
エドの頭上で瓶が割れ、青い液体が散る。
「回復の花々!」
はるっちの回復魔法で、一面に花々が咲く。
「サブやん、あれ!」
サブの幻影が叫ぶ。
「了解や、腕輪はん! 火山弾!」
周囲の地面から、炎を纏った石弾が次々に噴き上がる。
やっぱり、おかしい。幻影が戦闘指示するはずがないのに……
「頑張れ~、もう少しだ!」
わたしの指示に、全員が攻勢に移る。ジョルジュも戦いの歌に変わった。
面倒な地域を何とか突破して、苔生す岩壁が続く広場に出た。
さーて、いよいよ最後かな。中ボス居るだろうな。
予想通り、岩壁の前に集まっていたシダの葉を持つ植物が動き出す。
高さは五メートルはあるだろうか?
「ワラビみたいじゃな」
「ワラビにしか見えないわ」
「ワイは、ワラビと確信する」
「お化けワラビですな」ポロロン♪
「よし、行くよ~! 属性確認する。石の連弾!」
「拙も確認じゃ。火の矢!」
石は当たって弾けるが火は小さな炎が湧き出しただけになる。
「あ、こいつ水属性だ。サブ、降雨禁止!」
「ことねはん、古傷をいつまでも……」
まぁ、めげないのは分かってるさ。
「おっしゃ、ワラビ餅にしてやる! 地の槍!」
サブの魔法攻撃で地面から土の槍が突き上がる。
あまり大きなダメではないが効いているいるみたいだ。
その時、シダのような葉を震わせて、音波をこちらに発して来る。
耳が遠くなって頭痛が……こんなのは初めてだ。状態異常攻撃?
「なんの! 憩いの歌!」
ジョルジュの支援歌で何とか持ち直すが、影響は消えない。
ちっ! やり辛い。
「面倒な相手じゃのぅ。地の加護!」
「エド行け~ 地纏い!」
「支援ありがとね。地叩!」
いや、大変だった。
シダ状の葉を振り回すわ、音波攻撃は連続するわ、果ては若芽を伸ばして巻き取ろうとする。
しかし葉を切り刻み、芽を切り落とし、胴を削り落として何とか倒した。
薄緑の光を放ちながら消えて行くワラビさん。餅にはし損なったけどね。
生命の腕輪の効果音が響く。
“第二段階クリア:繁茂„
次回 「37:森の恩恵(その5)I benefizi dalla foresta:quinto」




