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旦那編 marito 37:森の恩恵(その5)I benefizi dalla foresta:quinto

前回:お化けワラビをやっつけた。

 第二段階は、地味に消耗する状態だったが何とか中ボスを倒した。

 お化けワラビさんは、難敵だった。ジョルジュの竪琴が無かったらかなり難しかったと思う。

 ドロップはみんな同じで、“森の綾衣„ という布だ。ワラビ餅は出なかった。

 これで装備品を造れ、ということだろうか?


 苔生す岩壁が続く広場の中、その中に一際目立つ苔の塊の部分がある。

 これが次の入口なのは間違いなさそうだ。

「エド、お願い!」

「分かったわ! 連断タッリオ・コンセクティーヴォ!」

 斧の連続攻撃で入口が開く。

「どうやら第三段階かのぅ」

「面倒や、はよ終わって欲しいわ」

「悲観するものではありませんぞ。経験値は良さそうですし、ドロップは特別ですぞ」ポロロン♪

「そうよ~、これからが本番よ!」

 次の段階(ステップ)へ進む前に、回復や装備の確認などをして、万全な状態で挑む。

 もうそれ程多くはないとは思う。

「さぁ、次行くよ! ジョルジュ、念のため防御上げて」

「承知! 防御の歌カンツォーネ・ディ・ディフェーザ!」

「行くわよ!」

 エドを先頭に入口を通過する。


「げっ! 食虫植物や」

 低い草々が拡がる大地に、一メートルを超えるハエトリソウがあちこちに群生する。

「お約束とはいえ、強そうじゃ」

「しゃーなぃ、ひとつずつ潰すよ」

「時間かかりそうだわ~」

「ワイから行くで~ 火の槍ランチァ・ディ・フォコ!」

 サブの火魔法はハエトリソウに吸い込まれるように消える。

「げっ! こいつ火属性や」

「サブ、降雨ピオッジャ、おすすめ」

「ことねはん、性格悪いわ」

「いま、気付いたんかぃ?」

 振り返りながらジョルジュへ指示する。

「素早さで!」

「承知! 俊敏の歌カンツォーネ・アージレ!」

「行くで~、降雨(ピオッジャ)!」

 近くのハエトリソウに雨粒が掛かり、嫌がるように葉を震わせる。

 それでも棘の付いた二枚の葉で挟もうと次々に襲って来る。

「これくらい平気よ。挑発(プロヴォカツィオーネ)!」

 エドに向かうハエトリソウに水魔法を叩き付け、少しずつ前進する。

 毒がないだけ楽だとは思う。


 次は、ウツボカズラの群だった。

 属性は地。火魔法で消化液の入った壺状の捕虫袋を焼き切る。

 現実(レアーレ)と違って、消化液を掛けて来る。

 躱せば問題ないけど、前衛は大変だ。エドには牽制だけを頼む。


 葉の先に細長い棘があり粘液が水玉状に付いている――モウセンゴケだよね。

 もう一つが、地面にある楕円形の葉から茎が伸び、先に可愛い赤紫の花を付けている。食虫植物みたいには見えない。

「ムシトリスミレじゃな。茎や葉に粘液が溜まっているので近付くと危険じゃ」

 はるっち詳しい。みんな物知りだなぁ

 こいつらは、水属性と地属性のコンビでとてもやり難い。

 モウセンゴケは粘液の付いた葉を振り回して来る。避ける場所を間違えるとムシトリスミレの粘液溜に嵌りそうになる。しかも粘液が付くとピリピリする。

 ジョルジュの憩いの歌カンツォーネ・リポサータで何とか耐え切るけど、これから先を考えると状態異常対策は急務だと思う。

 結局、麻痺剤ポツィオーネ・ディ・パラーリィジ使って動きを止め、ひとつずつ片付けるしかなかった。


 そして、低い草に覆われる広場に出る。

 正面には、草の意匠(ディセーニョ)をした立派な扉が見える。

 しかし、その前に立ちはだかるオレンジ色の塊がひとつ。

 中央に丸い穴が開いており、周囲を幾つかの平たい花弁が取巻く。全体に小さな突起が付く。

「ここのボスはラフレシアかぃ」

 元々、花しかない寄生植物らしい。

「いよいよボス戦よ。楽しみだわ!」

戦いの歌カンツォーネ・ディ・グエッラ!」

「先制行くで~、火の槍ランチァ・ディ・フォコ!」

 サブの火魔法の直撃を受けたラフレシアの花弁が燃え上がる。

「ワイの思うたとおり、地属性や!」

「エド、牽制しながら動き抑えて! 無理は禁物」

「分かったわ~、挑発(プロヴォカツィオーネ)!」

 エドは、ラフレシアを牽制しながら正面に立つ。相手は花弁を震わせ、威嚇するように近付く。

「ジョルジュ!」

「承知! 俊敏の歌カンツォーネ・アージレ!」

 ジョルジュの声に合わせるようにエドがスキルを放つ。

連断タッリオ・コンセクティーヴォ!」

 オレンジ色の花が、スキルを躱すようにエドに飛び掛かる。

 エドは無難に躱すが、敵の動きは予想以上に速い。お前、ホントに植物か?

麻痺剤ポツィオーネ・ディ・パラーリィジ!」

 なんとか動きを遅らせ、火の壁(ムーロ・ディ・フォコ)で閉じ込めようとする。

 上手く捕まらない――手強いわ!


 しぶとい、しぶとい!

 火魔法の集中攻撃を耐え、なおも飛び掛かって来る。終わりの方になると、花弁を飛ばして切り付けて来る。初見だからとても難しい。

 それでも最後は中央の穴の中に地獄の業火フィアンマ・インフェルナーレを叩き込んで片付けた。

 生命の腕輪の効果音エッフェット・ソノーロが響き渡る。

 “第三段階クリア:緑の反撃„


「終わったわ~」

治癒の歌カンツォーネ・ディ・グァリジオーネ!」

 なんとか倒したけど、ラフレシアって体力どれだけあるん? でもまぁ、結果オーライか。

「おつかれ~」

 ジョルジュの竪琴を聞きながら、ゆっくり息を吐く。どれくらいの時間がかかったんだろ?

「おぉ、報酬はドロップではなく、略綬じゃな」

 はるっちの声に左胸の略綬を見ると確かに増えている。

 しかし、夫々違う意匠(ディセーニョ)だ。


 エドのは、薄緑の地にシダの葉のシルエット “森の(いやし)

 はるっちのは、花緑青はなろくしょうというのだろうか、明るい青緑の地に落水のシルエット “森の泉„ 

 サブのが、薄柳色と柳色の縦縞に赤黄の諧調(グラダツィオーネ)が入る “森の(あした)„ 

 ジョルジュが、若草色に山吹色が差し込む “森の木漏れ日„ 

 そしてわたしが、浅緑の地に松葉色をした葉のシルエット “森の静寂„


 ここで貰う略綬だからステータスに影響するものだろう。終わってからゆっくり調査だな。

 焦って進んでは間違いの基なので、ゆっくり回復してから扉へと進む。

「準備いいよね。行くよ!」

 みんな笑って頷く。うん、良い顔だ。

 扉に触れると、淡い緑に光始め、次第に消えて行く。

 いよいよ最終段階(ステップ)かな?

次回 「旦那編 38:森の恩恵(その6)I benefizi dalla foresta:sesto」

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