旦那編 marito 35:森の恩恵(その3)I benefizi dalla foresta:terzo
中ボスと思われるトレントと対峙する。
「俊敏の歌!」
「火の加護!」
竪琴の音に乗せて、はるっちの防御魔法が発動する。
ジョルジュ、新技かぃ!
「こいつ意外に動き速いな。エド! 挑発しながら、動きを抑えるようにして!」
「分かったわ~ 挑発!」
「時間がかかりそうじゃのぅ 火の絨毯!」
トレントは炎に包まれながらも葉の付いた枝を振り回し、小枝は投げ付けて来る。
エドは右手の斧と左手の丸盾を巧みに操って、躱して行く。レベル上がってるなぁ。前衛がこれだけ頑張ってくれるとアタッカーはやりやすい。
「連断!」
斧で脚というか根っ子を切り裂く。トレントの移動が遅くなる。
「集中攻撃だ!」
「戦いの歌!」
「地獄の業火!」
「炎の波!」
火魔法攻撃の連続で、トレントがよろめく。
「おっしゃ、新技いくで~~炎の蛇!」
炎を纏った蛇が、うねるように現れる。
「こっちよ!」
サブの幻影が火の蛇を導く。
「腕輪はん、頼んだで!」
おぃ、そんなことができるんかぃ!
蛇は、空中を舞うフェアリーに誘われ、トレントに巻き付き、絞り上げる。
樹皮が焦がれ落ち、辺材まで燃えて行く。
「とどめよ~! 多連断!」
エドの激しい連続攻撃で心材まで切り裂かれ、トレントは倒れる。
炎に巻かれ、炭になった樹皮が零れ落ち、次第に消えて行く。
「どうやら終わった。お疲れ!」
「「「おつかれさま~~」」」
みんなの声が重なったとき、生命の腕輪の仮想画面に文字が浮かび上がる。
“第一段階クリア:緑群„
「第一段階突破じゃのぅ」
「おぉ、ワイに装備品のドロップが」
サブの声にみんな生命の腕輪を確認する。
エドには、白く輝く “力の指輪„
はるっちは、緑の葉の形をした髪飾 ”森の微風„
サブには、蔦の意匠の首飾 “森の目覚め„
ジョルジュには、小さな葉が並ぶペンダント “森の囁き„ トップは四葉のクローバー
私には、赤く光る “火の指輪„
みんなに装飾品とは大サービスだなぁ
それぞれのアイテムは隠された能力がありそうだ。
呪いがあるとも思えず、みんな直ぐに装備する。わたしは左中指、水の指輪の隣に着ける。
第二段階の入口と思える扉は、蔓と葉で閉じられていて、左右は何処までも緑の壁が続く。
おそらく他に入口はないのだろう。
次の戦いに備えて、しばらく休憩する。
時刻はどうなっているか分からない。時の流れはフィールドとは異なる。
休憩後、装備を整え直し、アイテムなども確認する。
思ったほど消耗していない。十分次に進めると判断して、扉の前に進む。
「扉が開いてないということは、こじ開けろということやな」
サブが “森の目覚め„ を装備した後、幻影はずっと彼の肩に乗っている。やっぱりサブの娘は何か異常だ。
「いくで~、火の槍!」
サブの火魔法で葉と蔦の扉は燃え落ちる。
「よし、進もう!」
扉をくぐり抜けて第二段階へと進む。
どこまでも続く湿地帯に苔が繁茂している。湿気が強い。
靄が漂い見通しが悪く、空も霞んで見える。
「今度は、水属性のようだな」
「なかなかのおもてなしぶりじゃ」
「なぁ、ワイは毒水のような気がするんやが」
確かに水は緑がかって濁っている。
「ちょっと触ってみるわ~」
エドは水の中に手を入れて確かめている。
「ピリピリするわね。強くはないけど毒気はあるわ」
厄介そうなステップだ。
「憩いの歌!」
ジョルジュが新しい歌を歌う。
「状態異常対策のバフです。毒にもある程度効果があります」
ジョルジュ、準備良過ぎ。
「中央の道は細い。左右の水に落ちないように注意して進もう。毒に侵されたら迷わず解毒剤を使うこと。大丈夫こんなこともあろうかとかなりの数持って来てるから」
「では、あたしが先ね!」
エドを先頭に、サブ、はるっち、ジョルジュ、わたしの順で進む。
さぁ、何が待ち受けているだろう。全く楽しませてくれる依頼だ。
次回 「旦那編 marito 36:森の恩恵(その4)I benefizi dalla foresta:quarto」




