旦那編 marito 27:演奏会 concerto
ポロロン♪
ということで、ジョルジュくんの演奏会をすることなった。
いや、最初は顔見知りだけで竪琴を聞ために集まる――だったのだが、フュルベールさんの勧めにより一軒の酒場で開催する。ルノー師匠の処からも資金が出ているらしい。
ジョルジュくんのお披露目と言った処じゃないかな? 人気が出るといいな。
建国2年渦月21日(21/Spirale/Auc.02)
演奏会の場所は、酒場である小夜啼鳥
結構な高級店らしい。建物も内装も立派だ。わたしたちは招待客なのでフリーパスだったけど、お値段も相当しそうだ。
第六昼刻の終わりから第一夜刻にかけて、薄い日の光と魔法の灯の交錯する舞台で詠うジョルジュの姿は眩しい。
軽やかに弾かれる竪琴の糸と伸びのある高音が紡ぎ出す優雅な旋律に引き込まれる。
甘い溜息をつく
それはしばしば愛を与える
彼女は私に言う
あなたのたくさんの言葉は、とてもお気に入り
私は考えながら見つめる
あなたの中に優雅な姿がある
私が望んだとしても
露す術を知らない
避けてしまうとしても
あなたに向かい、否とは言わないい
そうして、私はいつもあなたを願う
細やかな好意を添えて
彼女は内に美しさが輝く
私は幾度となく我を忘れる
あなたを称賛し、請うときに
……
次々と繰り出される音と言の葉に気持ちが翻弄される。
増幅装置も踊りもレーザー光もない、純粋な芸だけの詠唱
古の “歌謡„ はこんなものだったろうか? 歌が強力な支援バフになることはよく理解できる。
カタケルススは、こう言う。
――冒険も悪くはないのですが、わたしは自分の生産したものがみんなに使って貰えるのが嬉しいのです。自分の作成した薬剤が最前線で使われているって、ワクワクしませんか?――
支援中心のキャラクターたちはこんな感覚を持っているのだろうか?
時が経つに従い、聴衆は増えて行く。
求めに応え、長い長い叙事詩を謡う。
世界の始まりから、続く歴史を語る。
始まって嬉しい。戦闘は楽しい。友の退場は悲しい。現実には勝てない。
様々な事象をこなしながら、現実も仮想も留まることはない。
やはり人は “生老病死„ と “喜怒哀楽„ なのかもしれない。
やがて竪琴の音が止む。夢から醒める。
みんなから称賛され、少し恥ずかしそうに微笑むジョルジュ
良かったね。演奏会は成功だよ。
諦めなければ、君はきっと有名になる。
そして今日、彼に伝える言葉はひとつしかない。
「ありがとう」
吟遊詩人たちの歌は、数は少ないですが、現在まで伝わっています。ネットで聞くことができますので、一度聞いてみて欲しいです。
次回「旦那編 28:遺跡の調査 Indagine sulle rovine」




