第159話 遺跡ダンジョン~第五層
少し落ち着いた頃合いを見て、遺跡ダンジョンの攻略を開始することになった。
カンムのお陰で日を選ばずにダンジョンへ挑戦できるようになった為である。念のため遺跡にはあらためて入り、ゲートが使えることを確認。
遺跡というダンジョン自体を把握するため、初回はエルフィオーレの村の冒険者一行でチャレンジするようになったのだ。
「とても不思議でございますわ...とてもダンジョンには思えません」
リネアがダンジョン第三層に入ってしばらくする頃、そんな風に話し出す。
遺跡のダンジョンの第三層は、転移された付近には、ほんの数人の宝石狙いの冒険者がいるような雰囲気である。
冒険者達はそれぞれ自分達が思うポイントに散って、宝石を掘削するようなのであるが、この転移された付近は、そんな冒険者達のために、簡単なテントやいくつかの道具などが置かれていたのである。
ご丁寧に第四層へ向かう転移魔法陣の案内看板もでていたくらいだ。
とはいえ、その道のりは簡単なものではない。手入れがされているわけではないので、鬱蒼とした獣道を進むような感じである。
「あぁ。そうだな。日があるせいもあって、表の世界にいるのと変わらないからな」
第五層までは転移魔法陣のポイントについて看板がでているようなので、予定では第五層のスタート地点まで進む予定である。
麒麟のお陰で手に入れた「魔力感知」のスキルが優秀だ。探査:(サーチ)よりも索敵範囲が広く、通常の動物には反応しない。名前の通り「魔力」を持つ者が脳内に表示される感じだ。
ウィルも探査:(サーチ)を展開しているので、しばらくは危険の心配はしなくて済みそうである。
「カノン様ー!あれって小川ですかねー」
ステディが指をさすその先には、小さな川が流れていた。
「ちょっと水質を見てみようぜ?」
アローレがそういうので、小川の水を手ですくってみると、サラサラとした綺麗な水であることがわかる。
「...流石に飲む勇気はない...」
見た目は綺麗な水ではあるが、デザイアの言うとおりである。
そんなこんな、休憩も挟みつつ数時間を歩いたところで転移魔法陣を発見し、第四層へ入ることになった。
第四層も第三層とあまり変わらない。立て看板に従って獣道を進むようになる。
...
しばらく進んだところで俺の「魔力感知」に複数の反応があった。
「あそこ!あの辺に魔物がいるみたいだな!」
「ウフフ、まだ何も見えませんが...」
「あ!カノン!見えてきたよ!」
「あれは...、ポイズンフロッグ?」
「うむ。少し違うようにも見えるが...」
「よし!ウィル!行ってきなさい!」
「はいはい、ったく人使いが荒いな」
「わたしもやるよぉ」
そう言ってウィルとサナとユウリが魔物と魔物と戦闘に入る。
...
「ふぅ...。まぁこんなもんだろ」
「う~ん。ポイズンフロッグにしては色味もサイズも違うわねぇ」
「カノン様、一応お持ち帰りになられるのでしょうか?」
「うん。まぁ、ゲートで荷物にはならないし、とりあえず今日は色々確認したいしね」
俺も以前散々ぶっ倒したポイズンフロッグである、目の前の個体がポイズンフロッグではないことはよくわかった。
「うむ。ポイズンフロッグの亜種といった感じであろうか」
ゲートに個体を回収し、元の獣道をさらに進む。
...
「ウフフ、あそこ...随分特徴的な木が見えますわね」
リリルルが指さす方向は進行方向から大きく外れた先である。
「ちょっと遠いなぁ」
「でも確かに変な形の木ですわね」
「カノン!あっちあっち!あれは魔物じゃないっぽいけど」
シーアが指差す方には豚のような動物。魔力感知に反応はないので確かに魔物じゃなさそう。
「よし、あれは狩っていこうか」
「えぇ!?別にいらなくない?」
「いやいや、調査だよ調査」
そういって茂みに隠れながら豚に近づいていった。
...
「あ、死んだ?」
「あ、また」
聖弓サジタリウス 武器効果 座標指定:(コーディネイト)+★4 隠匿:(ザ・ハイド)
サジタリウスは魔力弓の発射であるが、サジタリウス自体を隠匿し、座標指定で豚の真上から直撃させたため、誰も俺の攻撃は見えないだろう。
「違うわよ!勝手に死ぬわけないんだから、どうせカノンの仕業よ!」
「ウフフ、何が起きたかわかりませんでしたわ」
「ほら!これがカノンの仕業っていう証拠ね!豚の頭部に何か撃ち込まれた痕があるでしょ?」
「あの時と一緒だな、あのジグモス討伐の時と」
「カノン様ー、素敵ー」
「まぁまぁ、詮索はいいからシーア」
「それより、個体は何か表と違う?」
「う~ん。見たところ違いはなさそうだねぇ」
「そうですわね、至って普通でございますわ」
「カノン!これも持ち帰って食うのか?」
「うん。一応調査の為に食べてみようかと」
射貫いた豚もゲートに回収、エルフィオーレの村に戻ったら解体して食べてみようと思う。
...
その後無事に第四層の終点、階下への転移魔法陣を発見し、第五層に入ったところでゲートで村にもどるようになった。
その晩、冒険者一行で打ち合わせを行うようになる。
...
「それで、今の話のとおり冒険者ギルドによれば、魔物自体はあまり持ち込まれるもんじゃないけど、亜種だろうって判断だったね」
「うむ。亜種自体が特別珍しいわけではないが、そうだろうとは思ったな」
「そうね、人の手が入っていない未開の地なんだから、亜種が多くても不思議じゃぁないわね」
「豚も普通だったんだろ?」
「うん。それは間違いないよぉ」
「他に何か感じたことはある?」
「豚が勝手に死んだ件!」
「シーアさん、却下です!」
「カノンさん!戻ってきた時にこっちは日が傾いていたろ?」
「でもあっちをでる時には日は高かったから違和感あったぜ」
「そうですわね、ちょっと不思議な感覚になりましたわ」
「まぁ、あそこは夜がないってことだしね」
「それより...」
「ん?何リネア?」
「ハイ、今日は立て看板に従ってきましたが、次回以降はダンジョン内を歩きまわるようになるのですわよね?」
「そうだね、それが何かある?」
「えぇ、確かワンフロアが二、三日って言うことでしたが、フロアの端がどうなっているのか気になりますわ」
「おぉ...確かに」
「今日歩いた範囲では空を遠目にみても、何か壁があるようにも見えませんでしたわ」
「そうかぁ...確かにそうだよな」
「ですが...目的は層の進捗にありますので、わざわざフロアの端に向かうのも手間ですし」
「あぁ、じゃぁ、そこはそれぞれが転移魔法陣を探す中で、「端」に到達した時に共有するってのでどうだ?」
「ウフフ、そうですわね」
「まぁ、考えられる要素としては「壁」か「見えない壁」ってとこだね」
「ダウラスさん?それは?」
「う~ん。ちょっと表現が悪かったかしらね?要するに結界みたいな感じね」
「はぁ、なるほど...」
「結界の内部にいる場合で、結界自体が無色透明だと「見えない壁」みたいになるってことだね」
ダウラスさんの言うとおりか...あの認識阻害の魔法と同じような理屈である。マリーナ達の村は恐らく魔法陣で認識阻害の効果が半永久的に展開されていると考えられた。
朱雀を救出した時もそうだ。朱雀の時は色つきだったが、それが無色透明であったとしたら「結界」に気づくことは出来なかったかもしれない。
もしも同じような魔法陣タイプの結界が無色透明だとすると、リネアが言ったとおり違和感に気づくこともないのだろう。
「フロアの端」に到達することができれば解決できる問題ではありそうだが、現時点の仮説としては、その線が確率的に高そうである。
「うむ。しからばフロアの探索をまた進める中で、それぞれが「フロアの端」に到達したときに確認と共有することとしよう」
やっと遺跡の攻略が開始されました。第百五十二層にいくまでにまた謎も出てくる予定です。
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