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第百七話「不気味な魔境」

「全探査しましょう」


 アンディックの持つ聖剣ディアアークス光り始める。神器は増幅と拡散の機能を持っているのだ。


「むう、おかしいですね。この階層にはまったく気配を感じません。たいした広さではありませんが……」

「下への開口は分かるか?」

「ええ、中心部にそれらしき場所がありますね」

「一応全ての場所を確認しましょう。急がなくてはなりませんが……」


 エルワンは今後のために大まかな地図を描いている。タイミングよくバスティたちとデフロットたちが下りて来た。


「手分けして確認作業に回ろうか。エルワンはアンディックたちと下への道を抑えてくれ」

「助かります」


 第三階層に散り手分けして探索をするが、やはり小物一匹確認できなかった。ここまでくると不気味である。


「本当に魔物の一匹もいないなんてな……」


 ベルナールが戻ると、エルワンはデフロットたちから様子を聞きながら階層のスケッチを描いていた。


「ええ、下へ進みましょう。目標は最下層にあります」


 続く第四階層も同様であり、一行は一戦も交えないまま第五階層へと到達した。


 再びアンディックが聖剣の力を駆使する。


「ここですよ! ここが最下層です。巨大な空間に多数の強い魔力を感じます」

やつら(・・・)はかたまっているのか?」

「ええ、こちらの突き当たりですね」


 アンディックは目的の方角へディアアークスをかざした。エルワンは逆方向を指差す。


「では、後方を確認してから進みましょう――」

「よしっ! 私が行ってくる。レディスは待っていてくれ」

「ちょっ、ちょっと――」


 エルワンの言葉にアルマが後方に飛びだした。オーウェンは慌てて後を追う。


「――上への通路があるこの場所は、押さえておかねばなりませんが……」

「さて、俺も少しは働くか。セシールたちと行ってくるよ」


 エルワン、アンディック、セシリア、レディスを残して、バスティとデフロットたちも後方確認に加わった。



 ベルナールたちは支道の一つに入って四人で歩く。この先にも魔物はいないようだ。なぜかは分からないが、意図的に一か所に集められている。


「この戦いか終われば普通の暮らしが戻る。アレットは冒険者を続けたいのか?」


 以前エルワンが他の仕事を紹介しては? と言っていたのを、ベルナールは唐突に思い出した。


「続けたいですが、皆のように強くはなれません」

「ははは……、今の強さで十分さ。今日一緒にいる連中は特別な存在だ」


 デフロットたちはAクラス匹敵するこの街のトップである。バスティたちも同様だ。アルマ、王宮騎士団(ロイヤルナイツ)も別格である。


「ほとんどの冒険者はBクラスで十分稼げている。それで十分なんだよ。アレットはもっと強くなりたいのか?」

「はい……」

「それも良いがその欲望に飲まれては、際限なく強い相手を求めることになる。そこだけ注意すれば強くなれる」

「はいっ!」


 アレットは力強く頷いた。


「ロシェルはどうだ?」

「私はよく分かりません~」

「ははっ、そうだ、まだそれで良い。道はゆっくりと探すんだ」

「はい~」


 こんなにも早くダンジョンの深部で、弟子たちとこんな話が出来るなどベルナールは思っていなかった。


 戦力外を通告された翌日に、二人は部屋にやって来た。あの日から、まだそれほどの時はたっていない。ベルナールはずいぶんと昔の出来事のように感じた。


「セシールは、これからどうするんだ?」

「もうっ、私たちのことより、ベルさんの方が大事じゃない?」

「むむ、俺は今まで通りに気ままに過ごすだけさ。おっと行き止まりだな」


 奥の小さなホールには、やはり魔物はいなかった。


「私も今まで通りよ。変なダンジョンよねえ」

「全ての魔物はゴーストによって統率されている。これからが本番だよ。戻ろうか」

「ええ」


 さりげなくも、セシールは今まで通りと言った。アレットとロシェルは顔を見合わせて笑顔になる。



 全員は最終目的地、魔物が多数待ち受ける巨大な空間に向かった。


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