「小さな幸せ」
「小さな幸せ」
会った初日ハルカは、初めての日と言うこともあって店の接客に関することなどを覚えるのでパタパタと
動き回っていたのであまり目にすることもなく時間が過ぎていた。
ハルカがようやく上がる時間になり賄いを作ってあげることになった。
毎日ちゃんとうまいと思えるものを作っているつもりだったがこの日は自然と力が入った。
この日作った賄いは豚肉を使ったポトフだった。
シンプルな味付けは俺の得意分野だったからかなり自信があった。
食べている間俺は他の仕事があったので話しかけることもできずにいたが気になって様子をチラッと見ていた。
隅っこのほうで少し小さくなっておとなしく食べていた。
なんだか凄く愛しく見えた。
が、仕事をしているうちに食べ終わってしまい帰ろうと着替えに行っていた。
この時俺は焦ったように何か話しかけなくちゃいけないと思い発注の確認を装って店の外の冷蔵庫へと急いだ。
タイミングよくハルカは着替え終わって携帯を片手に帰りだそうとしていた。
俺は「今から彼氏とデートなのか?」とよくある感じで軽い探りを入れてみた。
ハルカ「彼氏は最近うまくいってなくてもうやばいです」
「嫌いになったの?」
ハルカ「遠距離だから逢えないし」
「そうなんだぁ。ちなみにどうゆう男が好きなの?」
ハルカ「ヤンキーっぽい人で少し強引な人です」
「やっぱりなぁ。だと思った。」
こんな感じで軽く話して俺は何気ない感じで仕事に戻った。
この時はただ話ができたことに満足していた。
何か変な達成感を覚えていた。
凄く好きな声だった。
大きい声ではなくハキハキしている方でもないが俺にとってはいつまで話していても飽きない声だった。
次の日職場に行った途端に同僚から「今日もあの娘来ますよ」と告げられた。
「ふーん、そうなんだ」そっけなく答えた。
本当は聞いた途端にニヤケてしまいそうだったがばれない様にしていた。
「おはようございます」か細い声でハルカが入ってきた。
「ウィーっす」
軽く挨拶をして顔を合わせた。
相変わらず可愛かった。
多分俺はこの時すでに馬鹿になっていたんだと思う。
この日は仕事中も軽い話などはしていたがほんの数秒程度だった。
しかも賄いを食べずに帰ろうとしていた。
又慌てて外の冷蔵庫にダッシュした。
又タイミングよく帰る寸前だった。
この時何を話したかは全く覚えていない。
だが昨日よりは長い時間話していたことだけは覚えている。
帰り際に軽く手を振って「じゃあねぇ」といって店に戻る時にハルカは少し照れたように笑顔で小さくペコッとしていた。
その瞬間から俺は決めた。
(ハルカとずっと一緒にいたい。どうにかして俺の女にしよう)
一目惚れというものがこんなにも自分を突き動かすものだとは知らなかった。
ただこの時から頭の中はハルカのことでいっぱいだった。




