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殲滅戦記メギド  作者: 松茸
EpisodeEnd.終戦記ラグナロク
44/50

CodeⅩ:誰が為に

『ギーナ様。ギーナ様?ギーナ様!!』


「…、ん、あ?まさ、か、ねてたのか?

 どれくらい、ねてたんだ。メビウス」


『ほんの一瞬です!

 後少しです!後少しだけ、起きていてください!!

 いま、全員を解放します!』


「わたしの、こえでなけれ、とりだせらい」


『そうです!解放と!解放とひと言で大丈夫ですから!!』


「…………」


『ぁあ!!!!ギーナ様がもう限界だ!!


ギーナ様!!ギーナさま!!』


「…かい、ほ、う」


『!?!?』


 アーカージに、仕舞われていたその全てが、今、吐き出された。



「なにが、起きたんだ?」


 シリウスがぽかんと間抜け面を晒し、リリィも、スサノオも、ガラハッドも、何が起きたのか分かっておらず、ベータもシータもデルタも、困惑していた。


 そして、4000のマッドが、五体満足で困惑している姿を晒す。


「…損失は、たった1000機だけ……」


 サンドラは自身の視界に表示されているその驚愕的な数値に、畏怖を示した。


 そしてギーナは、気絶した。


────────────────────


「まずはギーナを修復させてください。

 メビウス、ギーナの容態は?」


『そこそこ安定はしています。

 悪くはない、と言ったところです』


 リリィならば充分修復は可能。

 サンドラはもう我慢できないと、メビウスに問いかける。


「1000機のマッドは、どうなったの?」


『死の直前のデータが残っています。

 サンドラとリリィの協力で、復元が可能です。

 ですが、それもギーナ様が起きなければできません。

 私のSYSTEMの大部分はギーナ様が握っています。

 ギーナ様が許可しなければ、データを移すことも、アーカージの使用も、ARMORの操作も行えません』


「……ギーナさえ起きれば、1000機のマッドも…」


「ギーナは、何をやったんだ?」


 ボロボロになっているシリウスがずっと疑問に思っていたことを尋ねた。

 ガラハッドも顔に嵌めてあったアーマーが剥がれていたり、所々肌が剥き出しなため、丸見えになった顔によって、気になっているのが丸分かりだった。


『皆がボロボロになって戦いながら、後退を続けていく中で、ギーナ様は、私を使ってデータを取り続けていました。

 ミラーズのスキャン、アナライザーによる、共有、データ送信。


 死したマッドの一機また一機とコアデータが送られてくる中で、そのデータをアーカージの最奥の、ヘルヘイムと名付けられたエリアに、大切に保管しました。


 そして現存する全てのマッドと、今現在存在していたネイター、全てのデータが確保できた時、大量変換架空・アークエルドラドを起動したのです』


「アークエルドラド、どういうものなの?」


『大量変換架空・アークエルドラド。

 変換、とあるように、ギーナ様の選定により、敵と味方を区別し、敵ならば幻夢による完全停止、味方ならばアーカージ・エリア・ヘルヘイムとは別にある、エリア・エルドラドへと格納する、アーク・デストラクトの破壊とは全く別のMebiusSYSTEM。

 これにより、』



『ギーナ様は、全てを勝ち取りました』


────────────────────


「リリィ、メビウス、私はどれくらい寝ていた?」


「10時間が経過しています」


「10時間も経過したのか…。

 時間が足りないな…」


『足りない?現在位置はネイターの街です。

 ネイター共がここに到着するまで、最速でも100日はある筈です』


 それは浅はかだ。

 メビウス視点ではそう映っていたのだろうが、私視点では足りないにも程がある。


「サンドラ、私達は合わせて何体狩り取った?」


 サンドラは履歴を確認し、顔を顰める。


「48万、ね。」


「……にしては、減ってなかったな?」


 シリウスも苦々し気だ。

 ガラハッドは顎に手を当てて、推測した。


「合わせて48万倒したにしては、確かに視界の変化が無かった。

 それどころか増えていたまである気がした」


 ガラハッドの推測は実に正しかった。


「ママは何に気づいたの?」


 確信を持ったスサノオは単刀直入に私に聞いてきた。


「私はエルドラドを発令させる為に、データを回収していた。

 その時発覚した。

 ネイターが、ネイターを生み出してるのをな」


 嫌な沈黙が静寂を生み出し、その事実を受け入れるのにたっぷりと時間を掛けた。


「…全てのネイターがってわけじゃないんだろ?」


 頼むからそうじゃないと言ってくれ、そういう希望的観測をシリウスは口にする。


「シリウス。お前はどう思う?

 ほんとにそう思うか?」


 この発言でもう分かっただろう。


「……なら、生み出されたネイターは、何体?」


「2体だ」


『時間が、一気に足りなくなりました』


 メビウスが絶望的な状況に言葉の釘を差した。


────────────────────


 それぞれの機体の修復、施設の建設、1000機の復元を進めていた中。


 ギーナは空へと浮かび、360°上下左右をホログラムで埋め尽くし、クルクルと回りながらシステムを構築していた。


 そうしてギーナから出てくる言葉は、


「手が足りない。

 デコイーズを改造。

 原型、再構築、構築完了。

 命名、猫の手、メビウス、目を閉じる。

 手伝え。

 私が必要な時以外は、お前が対応しろ」


『かしこまり』


────────────────────


「ガラハッド、ギーナは今何をやってるんだ?」


「私が分かると思う?

 50年前には考えられない行為としか言えない」


「そうか。なにを、作って、何のために作ってんだろうな」


「わからないけど、ギーナ程の技術者が、視界を塞いでまでする事って、何かしらね」

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