CodeⅪ:ラグナロク
「準備は、いいか」
静かに告げられた。
それは今までのような、開戦の合図ではない。
ギーナは戦いの前に、必ず、この言葉を口にする。
獰猛に、果敢に、知性を持って。
「今まで、私達は、奪い、奪い返し、守り、落とし、増やし、作り、壊して直して生きる為に藻掻いて、足掻いて、逃げて。
そしてまた。歴史を繰り返す。
我々も、マッドも、人間も。
その全てが、歴史を繰り返してきた。
私もそうだ。
結局のところ、同じ事を繰り返し、何処までも生きる為に必死になる。
ラグナロクは、始まっている」
見据えるはネイターの大軍勢。
今も尚、増え続ける鉄の塊。
「この戦いは、既に私達だけの戦いじゃない。
今この時を持って。
私達は世界の為に戦うことになる。
だが私は、そんなものはどうでもいい!!
私は私が生きていればそれでいい!!
私の周りが、私の世界が守られれば、どうってことはない!!
貴様らはどうだ!!!
貴様らも、自分達が良ければそれでいいだろう!!
関わらなくていいのならば、世界がどうなろうと、逃げて平穏ならば、どうってことはない筈だ!!
でなければ人間達のいるシェルターを探し当て、何とかしようと動いたはずだ!!
だがそれはしなかった!!
私も、貴様らも!!
そんな私たちが大事にしていた居場所を。
あのガラクタ共は、食い荒らした。
許せるか?これを。
許していいのか?この暴挙を!
否だ!!
断じて許していいものなんかではない!!
世界を食い荒らそうと、アイリスを食い散らかしている!!
貴様らも、私も、含めてだ!!
世界のため?そんなことはどうでもいい!!
アイツラは!己の!!存在意義を否定している!!
故に我々は、奴らを一機残らず殲滅する!
これより、ラグナロクをメギドする!!」
今、5008機は、静かに動き出した。
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シリウスSide
混沌。終焉。
抉られた地面に。崩れる建物。
アイリスも、酷い有様だった。
それは何れ世界を埋め尽くし、共食いを起こすことになる。
それでも尚、それは増え続けるだろう。
何処までも人間のように。
違うところと言えば、時間の掛かる人間と、一瞬で増える機械の違いだけだ。
「オーバーステラコール・・・・
・・・バーサーカーユニット・・
・アルテマノイド.シリウス:起動」
シリウスを中心に、白金の光を迸らせ、地面を伝い、天地を震わせる。
「我が主に捧ぐ・星を焼き焦がす彗星・我が主の右腕に携えし剣は、貴様らを滅ぼすだろう」
シリウスは静かに動き出し、ガントレットを付けた拳を握り込んだ。
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ガラハッドSide
かつて滅ぼす為に作られた。
これを見れば、如何にそれが難しい事なのか、その炎を見るよりも明らかだろう。
たった一人のギーナすら滅ぼせなかった。
たった3機のマッドも、壊せなかった。
それがどうして世界を滅ぼせるだろうか。
これを見れば、如何に矮小な考えだったかが、浮き彫りだろう。
「ロストホーリーグレイスコール・・・
オーバーホール・・
・アルテマノイド.ガラハッド:起動」
紺碧の翼を輝かせ、装甲が開き、碧の光を迸らせ、その空に蜃気楼を生む。
「我が主に捧ぐ・聖杯を滅す騎士・我が主の左腕に携えし剣は、貴様らを作り直すだろう」
ガラハッドは静かに動き出し、剣を握り、構えた。
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スサノオSide
思えば自分にあるものなど大したことはない。
生んだのは母であるギーナ。
ママだけだ。
ママのために。でもいつしかそのデータには、数え切れないほどの何かが詰まっている。
具体的なことなんて何一つ分からない。
でもこれだけは分かる。
「荒れる濁流・災禍の火種・
吹かれるは嵐の如し
生まれ出のは知性の獣
最終兵器.スサノオ:起動」
その機械に乗り込み、自身に管を繋ぎ、その操縦席から、赤き光を走らせる。
その鋼鉄は、炎を迸らせ、唸り声をあげる。
今、私は、壊す為だけに戦う。
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リリィSide
私の最初は復讐だった。
それまでは、死んでいた。
その次は、損失だった。
それまでは幸福だった。
そして、焦燥だった。
安堵した。
このまま続けばいいと考えた。
最後は怒りだった。
何でこんなことに?
何でギーナだけこんな苦労を?
何で私達ばかりが、こうなる?
「エグゼス・ナイチンゲール・・
ライフクリエイト・・・
アルテマノイド.リリィ:起動」
祈る様に、空に浮かぶ白い翼を広げる悪魔。緑光が、大地を埋め尽くす。
「全ては、我が主の為に。敵を滅ぼし、他を癒す」
リリィは、今、この時を持って、癒す者では無くなる。
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尖閣軍Side
あの悪魔を恐れた。
従った。
それが良くなかった事など、一度たりとてありはしない。
なればこそ、サンドラは従い、自身の兵を指揮するのだ。
「怯むな!!壊れようと、皆、リリィ様の元に戻るだけだ!
殲滅しろ!!シリウス様が特攻される!!
恐れるな!!ガラハッド様が守ってくださる!
追従せよ!!スサノオ様が暴れるぞ!!
敬服せよ!!必ずやギーナ様が勝利を恵んでくださるだろう!!」
激しい歓声の中、声を上げ、敵陣に攻め込む。




