CodeⅪ:目覚め
「……う、ああ…」
強烈で刺激的で、何よりも実感できる、光。
そして、血ではない鉄の匂い。
間違いなく、私は
「生きている……」
生き残ったんだ。
「やっぱり私は天才だった」
リリィは、一時スリープか。
スサノオは、私の横で永久スリープに入ってしまったか…。
分かる。どれだけの時間が経ったのか。
【メビウス。私が眠ってから1カ月、合っているか?】
頭の中から声を掛ける。
【……もすこしだけ、ねさせてくれよん…】
【悪いがもう少しだけ教えてくれ。
私の脳に仕込むのは本当に大変だっただろう?】
【……合ってるし、疲れてるよん。
大変だったよ。傷つけないように、リリィにはできないだろう、脳の中心に植え付けるのは。
ブラック企業め】
【許せ。もう寝ていいぞ。
そうだな…。1週間の休暇。
1週間後の仕事は1時間、それ以外は臨時以外で休暇、どうだ?】
【のった】
現金な奴め。
「さてと。体を少し動かしてから、リリィとスサノオを起こそうか。
シリウスとガラハッドは仲良くなってそうだが…、尖閣軍はどうなってるかね。
まったく。予定より5日時間が掛かってるな。
腕は…、駄目だな。
作り直すか。
メビウスと直接繋げるのは骨が折れるな。
寝ている間にしかできないのは良くない。
デコイーズは、駄目だな。使えない。
ミラーズは同期が遅いな…。
要改良。
さて、アナライズ」
地下から外まで、半径、5キロって所か。
悪くない。
全知全能になった気分だな。
足は、これも使い物にならないな。
リリィと共同すれば、いいものができるだろう。
心臓は…、流石リリィ。
いい出来だ。
内臓の類も、人工ならぬ、マッド工だが、軒並み綺麗な物に入れ替わっている。
きっと色々試してくれたんだろうな。
まぁ、そのせいでメビウスが脳とチップを繋げるのにさらに時間が掛かったんだろうが、まぁ、どうせ内臓は入れ替えるつもりだった。
その後また眠るなら、いっそ眠ったままの方がいい結果になる。
いい仕事じゃないか。
思考も早い。身体も軽い。痛みも感じない。素晴らしいな。
さて………、起こすか。
────────────────────
「……あるじ、さま…!!!」
「おいおい、どうしたその顔は。
自分で手入れぐらいしなきゃ駄目じゃないか。
デルタとシータとベータはどうしてたんだ?
私とシリウス、リリィとスサノオ、ガラハッドの世話を頼むと言っていただろうに。
システムを改良しなきゃ駄目だな。
おい。いつまで寝てるんだスサノオ!
まったく。子供じゃ、いや、子供なのか…?
ならすまないことをしたかもな…。
いやでも必要だったしなぁ…。
許せ」
「………ママのバカ!!」
「痛、痛い。痛いな!本気で叩くな!
スサノオ!
私は悪くないだろ!」
「ママが全部悪い!!」
それでも離れようとはしないスサノオに。
頭を寄せて胸に抱き寄せて。
「悪かったよ。
ほら、生きてる。
メビウスを身体に繋げるのに手間取ってたんだ。
脳を弄るのと変わらないからな。
慎重だったんだ。
許してくれ。
さて、リリィ、君の体を元に戻したら、シリウスに会いに行かせてくれ。
話したいことがあるんだ」
「はぁ…、かしこまりました」
ーーー
「…ギーナ。やっと、起きたのか?」
「見たら分かるだろう?
すまなかった。
ずっと言いたかった事があるんだ。
目覚めたら、一番最初に言いたかった事だ。いや聞きたかった事だな。
お前は、私の事をどう思っている?」
「悪魔」
「……それはなんか、やだなぁ。
私は、友、相棒だと、思っている。
これからも、相棒でいてくれるか?」
「……はいはい。魔王の右腕としてな」
スタスタと、歩いて去っていくシリウスは。
「……見えてるぞ。シリウス」
小さい声だったが、シリウスには聞こえてしまっていた。
目元を覆い、俯くシリウスを一人にさせて、ガラハッドのもとへ向かうギーナ。
「たくよぉ。マッドとはいえよぅ…」
シリウスは、背中で、帰還に喜ぶのだ。
────────────────────
「……やっと起きたのね」
「ああ。気分はどうだ?ガラハッド」
「最悪よ」
「だろうな。それは罰だガラハッド。
お前は家族を置いて自殺したんだろう?
そんな親不孝な娘は罰を受けて当然だ」
「……父さんのせいで母さんは生きていられなかったのに?」
「知らないのか?
絶劇スモッグは80年前からその存在が確認されていたんだぞ?
どうせ貴様の父も母も死ぬ運命だったさ。
人間だったんだからな」
「……じゃあ、私がこうなったのは」
「自業自得ともいえる。
貴様の父が愚かだったのは確かだが、お前が自殺しなければ、自分の娘を生き返らせようなんて考えずに、自分も天寿を全うしただろうな。
あの日記のなんと醜いことか。
どうせ誰に読まれるわけでもないのに、未だに娘を蝕む。
人間なんてそんなものなんだよ。
ガラハッド。
貴様は罰を受けていたんだ。
もういいだろう。
もうその力、事実を否定するな。
上で待っているぞ」
これ以上何かを話す必要はない。




