CodeⅣ:4
何が起きた?
全指令が、停止した?
この人間は、何をした?
未知の技術。知らないプログラム。
────────────────────
辺りは白い光に包まれ、青い電磁を周囲に撒き散らしていた。
そして膝を付く、ガラハッド。
片目と、右腕がなくなり、胸に穴が開き、心臓が丸ごと潰れている、ギーナ。
「…あ、ああ…、うそだろ…?お前は、そんなわけ…、ああァァァアアアアアア!!!!」
その時、アンバー粒子に、絶劇スモッグエネルギーによって停止していたオーバーロードが、覚醒した。
それは奇跡だった。
マッドの、機械の意思が、その壊れゆくSystemに、確かな炎を与えた、遅すぎる奇跡。
「コワス」
シリウスは、壊れた。
────────────────────
「……え。」
静かに歩むリリィ。
知らない。そんなことはあり得ない。
今更な自覚。
何度もギーナは言っていたのに、心の中で今度も何とかなると勝手に決めつけ、そして、自覚する。
ギーナはどこまで行っても、子供の女の子である事を。
「あぁ、また…、また!!!また!!!!!!」
頭を抑えて、蹲る。
だめだ。もう耐えられない。
その時、首を掴まれ、無理やり起こされ、頬に衝撃を感じとった。
「諦らめんな!!まだ!間に合うかもしれないだろうが!!」
目から、液体を流したスサノオだ。
「なんとかしろ!!癒す者なんだろうが!!
ママが!ママが死ぬだろうが!!」
私を降ろして、ガラハッドの方へ向き直って。
「ママが、何も考えてないはずがない」
その言葉を、リリィにはマッドと到底思えなかった。
リリィはギーナの容態をもう一度見つめ、その目から液体が流れるのが止まらなくなる。
どうしようもないという思いをスサノオの言葉で、反芻していた思考を吹き飛ばす。
とにかく何かしなければと、止血を始める。
その時、ギーナの血塗れになったお腹から、突如電気が迸り、リリィの脳に直接電撃が走る。
「あぁがぁ!!」
ーーーーカチ
『これを見ているということは、私は死んだのかな?
いや参ったよ。
私は死ぬつもりはないからね。
リリィ。君を起こした最大の理由をここに込めさせてもらう。
本当はこんな事を頼むのは、こんな理由で起こした事に、私は私自身が嫌悪している。
君に、君にその技術を使わせるつもりは無かったのだが…、これを見ているということは君が、使わなきゃと思ったという事だ。
兎に角、私は死んだということだな。
ああ、時間については気にしなくていいよ?これを見ている君にとっては1秒も経っていない。
人間とは脆いからね。
私の骨は簡単に折れるし、頭は簡単に潰せる。
それが、変えようもない事実だ。
困ったことに、私は私を信じ切れず、こんな物を残す事にしたというわけだな。
未来には、私が死ぬ可能性が、その枝が、無数に存在している。
それだけで、どれだけ準備しようと足りない気持ちになり、どうしてもこの不安だけは、あの世に持っていくのは不可能だ。
確率の話をしよう。
人間の女性が出産の心臓発作で死ぬ確率が0.003〜0.004%とされているらしい。
まぁ、当たり前だけど、経験したこともないし、正確に計算したこともないから分からないわけだが、私が心臓を失ったとして、君が体内に持っているその人工心臓の私の適合率は、それよりも低い。
具体的な%は0.00001%にも満たないだろう。
この計算結果に至った理由は、まずその心臓の適合率、それから、足りない血液を、スサノオから補給した時のその適合率。
そして最後に、適合した後、私が戻ってこれるかどうかの確率を計算した時。
0.00001%、若しくはその%を下回る可能性があるということだ。
これが、君という人間をマッドやドットにするプロがいながら、二の足を踏んでいた理由だ。
近い未来。私は死ぬだろう。
だが私は。
その死を受け入れられはしない。
だから、賭けに出る事にした。
リリィ。私の命は君に掛かっている。
荷が重いか?ならばこう考えたまえ。
人間である以上私の死は、必然だったのだと。
最後に。君がどうしても嫌なら、使わなくていい』
ーーーープツン
リリィは迷うこと無く、自身の胸にメスを入れた。




