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殲滅戦記メギド  作者: 松茸
Episode3.ガラハッド
26/45

CodeⅣ:4

 何が起きた?


 全指令が、停止した?


 この人間は、何をした?


 未知の技術。知らないプログラム。


────────────────────


 辺りは白い光に包まれ、青い電磁を周囲に撒き散らしていた。


 そして膝を付く、ガラハッド。


 片目と、右腕がなくなり、胸に穴が開き、心臓が丸ごと潰れている、ギーナ。


「…あ、ああ…、うそだろ…?お前は、そんなわけ…、ああァァァアアアアアア!!!!」


 その時、アンバー粒子に、絶劇スモッグエネルギーによって停止していたオーバーロードが、覚醒した。


 それは奇跡だった。


 マッドの、機械の意思が、その壊れゆくSystemに、確かな炎を与えた、遅すぎる奇跡。


「コワス」


 シリウスは、壊れた。


────────────────────


「……え。」


 静かに歩むリリィ。

 知らない。そんなことはあり得ない。

 今更な自覚。


 何度もギーナは言っていたのに、心の中で今度も何とかなると勝手に決めつけ、そして、自覚する。


 ギーナはどこまで行っても、子供の女の子である事を。


「あぁ、また…、また!!!また!!!!!!」


 頭を抑えて、蹲る。

 だめだ。もう耐えられない。


 その時、首を掴まれ、無理やり起こされ、頬に衝撃を感じとった。


「諦らめんな!!まだ!間に合うかもしれないだろうが!!」


 目から、液体を流したスサノオだ。


「なんとかしろ!!癒す者なんだろうが!!

 ママが!ママが死ぬだろうが!!」


 私を降ろして、ガラハッドの方へ向き直って。


「ママが、何も考えてないはずがない」




 その言葉を、リリィにはマッドと到底思えなかった。


 リリィはギーナの容態をもう一度見つめ、その目から液体が流れるのが止まらなくなる。


 どうしようもないという思いをスサノオの言葉で、反芻していた思考を吹き飛ばす。


 とにかく何かしなければと、止血を始める。


 その時、ギーナの血塗れになったお腹から、突如電気が迸り、リリィの脳に直接電撃が走る。


「あぁがぁ!!」


ーーーーカチ

『これを見ているということは、私は死んだのかな?


 いや参ったよ。


 私は死ぬつもりはないからね。


 リリィ。君を起こした最大の理由をここに込めさせてもらう。


 本当はこんな事を頼むのは、こんな理由で起こした事に、私は私自身が嫌悪している。


 君に、君にその技術を使わせるつもりは無かったのだが…、これを見ているということは君が、使わなきゃと思ったという事だ。


 兎に角、私は死んだということだな。


 ああ、時間については気にしなくていいよ?これを見ている君にとっては1秒も経っていない。


 人間とは脆いからね。


 私の骨は簡単に折れるし、頭は簡単に潰せる。


 それが、変えようもない事実だ。


 困ったことに、私は私を信じ切れず、こんな物を残す事にしたというわけだな。


 未来には、私が死ぬ可能性が、その枝が、無数に存在している。


 それだけで、どれだけ準備しようと足りない気持ちになり、どうしてもこの不安だけは、あの世に持っていくのは不可能だ。


 確率の話をしよう。


 人間の女性が出産の心臓発作で死ぬ確率が0.003〜0.004%とされているらしい。


 まぁ、当たり前だけど、経験したこともないし、正確に計算したこともないから分からないわけだが、私が心臓を失ったとして、君が体内に持っているその人工心臓の私の適合率は、それよりも低い。


 具体的な%は0.00001%にも満たないだろう。


 この計算結果に至った理由は、まずその心臓の適合率、それから、足りない血液を、スサノオから補給した時のその適合率。


 そして最後に、適合した後、私が戻ってこれるかどうかの確率を計算した時。


 0.00001%、若しくはその%を下回る可能性があるということだ。


 これが、君という人間をマッドやドットにするプロがいながら、二の足を踏んでいた理由だ。


 近い未来。私は死ぬだろう。


 だが私は。

 その死を受け入れられはしない。


 だから、賭けに出る事にした。


 リリィ。私の命は君に掛かっている。


 荷が重いか?ならばこう考えたまえ。


 人間である以上私の死は、必然だったのだと。


 最後に。君がどうしても嫌なら、使わなくていい』

ーーーープツン


 リリィは迷うこと無く、自身の胸にメスを入れた。

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