CodeⅦ:各々の役目を
〈シリウス〉
……話には聞いてたが…、やべぇな…。
あれがもしあたしらに向けられてきていたらと考えると……。やめだやめ。そんな考えは戦闘のノイズだ。
改良した劣核手斧を装着し、青いバーニアを吹かせ、空中を滑るように走り剣を振り、投げて、一体、また一体と壊していく。
全然足りねぇ。もっと狩りを。破壊を。
もっと速く、もっと多くのガラクタを。
ガチャン!体のなかでレバーが倒れるような音が響く。
シリウスが頼み、ギーナがシリウスに施したシリウスの強化。いや、魔改造とも言うべきSystemが起動した。
青く輝いていた目を黄色に変色させ、白目も黒に変化していく。
灰色の装甲も黒に変色し、金色の装飾が白銀に変化した。
【バーサーカーユニット・オーバーロード】
シリウスのシステムデータを変革させ、その機体の限界まで、最大出力で動くことができるようになる。(ギーナはプラチナ・トラ◯ザムと名付けようとしたが、あと一歩で踏みとどまり、名前をこれにしたそうな)
ただ問題点もあり、このシステムは、エネルギー消費が馬鹿みたいに多い。
ギーナの改造により、普通じゃありえないほどにエネルギー容量も増えたし、消費も減ったが、ただでさえフェンリルという機体はエネルギー消費が馬鹿みたいに多いのに、これを起動すれば、持つのは三分。
それまでにより多くの敵を「壊す」。
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〈リリィ〉
シリウスとは違い、ギーナはリリィに改造を施したのではなくとある物を与えていた。
臨時修機・ライドリリース。
バイクのような形をしているが、タイヤは無く、ギーナのデコイーズと同じで、強力な磁気を発し、バーニアで姿勢を制御することで空を飛ぶことを可能にする乗り物である。
欠損のような重傷レベルの高いマッドをスキャンで特定し、その場へ駆けつける事を可能にしていた。
ギーナの左手に付けているアナライザーやデコイーズが搭載されており、地図と、重症マッドの位置、それからギーナの位置までを表示しており、いち早く駆けつけられるようになっている。
この戦場で未だに堕とされたマッドが存在していない理由はリリィがこれに乗ってギーナと二人で修理を行っていたからだった。
何を隠そう、マッドの修理においてはギーナよりもリリィのほうが多くの事を理解している。
修理の時はギーナはリリィの助手になる。
このリリィとギーナというコンビは、戦場の癒やし手であり、この戦いは敵にとって、悪魔と同じであった。
そんな事はお構いなしに、次の負傷者の所に向おうとするリリィは、ギーナから見ても輝いて見えた。
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〈尖閣軍・指揮官〉
こちらにとっては敗北するはずだった戦が、たった一振りの手で、一瞬で、塗り替わった。
たった一撃だけで、叩きつけられ、煽られ、燃え上がらせ、文字通り戦況を一変させた。
逆らうなど、できようはずもない。
あれは人間などではない。
マッド?違う…。
あれは、悪魔だ。
紛うことなき、世界を壊し尽くせる、悪魔だ。
自身が今使っている装置を意図も簡単に生み出し、量産し、即座に使い方を理解させ、実戦投入実験で、戦果を上げる。
今も尚、戦果を上げ続けるギーナという人間に、指揮官・サンドラは恐れ慄いていた。
【量産型浮遊ライフル・カルカーノアルファ】
全尖閣軍マッドに支給されたそのライフルはマッドが搭乗できるように設計され、浮遊を可能にしている。
インフィニティ・バレッダーと名付けられ、その装置の根源、鉱石回機が全てのカルカーノに搭載されており、無限の弾丸を実現していた。
設計は、アイリスの地下にあった鉱石回機を元に、鉱石を限定することで、小型化に成功し、エネルギーさえあれば無限に戦えるという、最高に非常識な武器である。
※余談:これを聞いたシリウスは、やはり天を仰いだようだ。
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『MobiusSystem・ALLDown…Over.Heat.
COOL.DOWNを実行します』
ふむ。やはりたった一発打っただけでメビウスが全てダウンした。
せめてデコイーズが使えればと思ったんだが、どうやらそれも駄目だな。
アーカージもダウンしたか…、これも要改良だな。
「主様。お迎えにあがりました」
リリィが地上に降りた私を、スピードを上げて追いかけ、ライドリリースに乗せる。
「ありがとう。リリィ。
では、我々の役目を全うするとしようか」
ここから私の役目は、リリィの助手だ。
「にしても、凄まじい一撃でしたね?」
「予想通りと言ったところだな。
唯一の誤算は、私のSystemが全てダウンしたことだな。
Systemの強度を上げなければ、気軽にあれは使えない。
まぁ、私の戦場はここじゃない。
私は人間だしな」




