✒ ピクニック 2
──*──*──*── 東離
──*──*──*── 魔脊山
──*──*──*── 第一の関門
マオ
「 何でオレだけ結界の外でゾンビを倒さないといけないんだよ! 」
セロフィート
「 マオの運動不足を解消したい兄心です♪ 」
マオ
「 ♪を付けるな!
大体、七十六番も有る剣技を1時間ずつって──休憩を入れたら80時間近く此処に居るって事になるんだぞ! 」
セロフィート
「 何か問題あります? 」
マオ
「 有り過ぎだろ!
80時間も鬼鳥さんを付き合わせるつもりかよ! 」
セロフィート
「 結界の中は快適ですし、就寝用のテントも用意してます。
心配は無用です 」
マオ
「 くぅ~~~~ 」
セロフィート
「 ワタシはマオの勇姿が見たいです。
心置きなく励んでください、マオ 」
マオ
「 酷い扱い~~ 」
鬼鳥
「 《 鍛劍祠 》の番人を代々務めて来た一族──丹家伝来の剣術か──。
七十六式丹輝劍訣が直に見られるとは貴重な機会だ。
是非、拝見させてもらいたいね。
披露してもらえないかね、マオ殿 」
マオ
「 鬼鳥さんが見たいなら構わないけど…… 」
鬼鳥
「 然し、良く丹家の末裔が護印師ではないマオ殿に七十六式丹輝劍訣を教えてくれたものだね 」
セロフィート
「 剣術の手合わせをする中で見せてもらいました。
“ 恩人の頼みだから ” と言って、快く見せてくれたのです 」
マオ
「 ははは……気前の良い子だったよなーー 」
鬼鳥さんには言えない。
七十六式丹輝劍訣を見たがったセロが、洗脳魔法を使って丹翡さんに使わせたなんて、口が裂けても言えやしない!!
洗脳魔法はガチで使っちゃ駄目なヤツだった!!
セロフィート
「 休憩は10分で良いですね、マオ 」
マオ
「 はぁぁぁぁぁあ!?
10分だけぇ?
幾ら何でも短過ぎるだろ!
せめて15分とか20分とか── 」
セロフィート
「 分かりました。
マオの思いを汲みましょう 」
マオ
「 良かったぁ~~ 」
セロフィート
「 休憩は5分にします 」
マオ
「 減らすなよぉ!! 」
セロフィート
「 おや、不満です?
心外ですね、マオ 」
マオ
「 心外なのはオレの方だよ! 」
鬼鳥
「 セロ殿、流石に5分は短いと思うのだが…… 」
マオ
「 鬼鳥さぁん(////)」
セロフィート
「 マオの心配をしてくれて有り難う御座います。
でも安心してください。
この程度でヘバる様な軟弱者に鍛えてません。
マオには水分補給の5分で十分です♪ 」
鬼鳥
「 そうなのかい? 」
マオ
「 セロの妄言に騙されないでよ、鬼鳥さん! 」
セロフィート
「 妄言とは言いますね、マオ。
3分に減らしましょう 」
マオ
「 マジで止めろぉ!!
5分で良いから減らすなぁ!! 」
セロフィート
「 はいはい。
キノコン、マオの休憩時間を5分に設定しなさい 」
キノコン:本体
「 畏まりましたエリ 」
キノコンはストップウォッチを持っている。
キノコン:本体
「 セロフィート様、何時でも始められますエリ 」
セロフィート
「 始めましょう 」
セロが言うとキノコンは笠の中から鈴を取り出す。
何の鈴かは考えたくない。
キノコンが手に持った鈴を元気に鳴らすと、地面が盛り上がって来た。
遥か昔、土に溶けて地に還った筈の亡者達が、地の底から這い上がって来た。
亡者達の唸りが響く。
マオ
「 ………………何かオレの知ってるゾンビと違う?? 」
セロフィート
「 マオ、行ってらっしゃい♥️ 」
セロに背中を押されたオレは、呆気なく結界の外へ出されてしまった。
鈴の音で無理矢理に起こされた亡者達が、オレに向かって来る。
すっかりオレは亡者達に挟まれ、囲まれてしまった。
武器を持たない亡者達が容赦無く襲い掛かって来る!!
オレは重たい剣を構え、七十六式丹輝劍訣の1番を繰り出し、亡者達を薙ぎ倒す。
鬼鳥
「 セロ殿、マオ殿の背中に貼ったのは何だい 」
セロフィート
「 ゾンビコイコイを改良した亡者コイコイです♪
“ 亡者コイコイ ” を貼ると亡者はマオに引き寄せられます 」
鬼鳥
「 本当にマオ殿は大丈夫なのかね? 」
セロフィート
「 大丈夫ですよ。
マオはワタシの専属〈 守護衛士 〉ですから 」
鬼鳥
「( マオ殿も大変だ…… )」
鬼鳥は優雅に煙管を吹かしながら、亡者達に剣を振るい懸命に頑張るマオの姿を見詰める。
マオが亡者を倒し始めて、未だ15分も経っていない。
「 マオの勇姿を見たいです♥️ 」と言っていたセロフィートは、マオの勇姿を全く見ていない。
セロフィートの視線は分厚い本に注がれており、読書に耽っている。
鬼鳥は1人で亡者の相手をしているマオを不憫に思う。
胸が痛むのは何故だろうか──。
頑張るマオの姿等眼中に無いのか──、読書に耽るセロフィートを尻目に、1人で励むマオの勇姿を目に焼き付けようと鬼鳥は心の中で思う。
マオは亡者1体ずつに対し、七十六式丹輝劍訣1番を繰り出し、確実に急所を狙って倒している。
大したものだ。
結界の外ではキノコン達がキラキラと光る棒を両手に持ちながら、「 エリエリ 」と言いながら元気に振り、懸命にマオを応援している。
全く以て≪ 魔脊山 ≫には不釣り合いな光景である。




