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キズナの鬼  作者: 孔雀(弱)
第6章「玄武の位と新たな敵」
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「急襲」


「それじゃ僕はそろそろ夕飯の準備をするかな」

「ん、もうそんな時間か」

 アルテが外を見る。

「よし、ならば私も手伝おう」

「ありがと。助かるよ」

「天奈も呼んでくるか」

 というわけで夕飯の準備に取り掛かる。


 それから少ししたところでリュウが食堂にやってきて

「そろそろ夕刻だね」

「ん? ご飯ならもう少し待って。丁度今から仕上げだから」

「孔弌君、蛍君は嫌な予感がすると言っていたけど……」

「あ、うん。そうだね」

「なんかさ、今現在ヤバそうな妖怪がこの辺に集まってきているんだってさ」

「は?」

 突然何を言い出すんだ。


「いや、だからね、」

 リュウの言葉はそこで止まった。途中でパリーンなんていうガラスの割れる音がしたからだ。

「え?」

 居間から方から音がする。

「どうしたの!?」

 覗いてみると

「グルルッゥ……」

 何か凶悪そうな生物がいた。

 黒い犬みたいな? でもなんか曖昧な形で。


「うわ、せっかくいい所だったのに」

「安心しろ、スザク、石の位置なら全て覚えている」

「……アルテすごい」

「みんな、なんでそんなに冷静なの!?」

 闖入者を無視して囲碁並べ直してるし。

「ま、安心しろって孔弌」

 ポンと肩を叩いてくれるセラ。

「ガラス戸なら氷凍が直してくれるから」

「いや、そうじゃなくて現状見てさ!! なんかいるんだよ!」

 しかも何気に他人任せだし。


「うわ、もう来たのか」

 遅れてリュウもこっちに来た。

「リュウ! あれ何?」

「何って……臨戦体制の妖怪じゃない?」

「ま、要するにわしらは今襲撃を受けておるということじゃな!」

「蛍さん!」

「町中のいたる所にも同じような妖怪が現れておる。襲われておる者もおるそうじゃ」

「そんな……!」

 未曾有の危機じゃないか……。


「別に大したことはないでしょこの程度。これらは妖怪と言うより、意志もないただの淀みみたいなものだからさ。そういうわけで倒すのも躊躇しなくていいよ」

 いや、そういう倫理観の話じゃなくて倒せるか倒せないかという話で。

「すごい数が多いみたいなんだけど……」

 窓の外にいる犬の数だけでも相当だ。

「うん、そうだね。これは流石に全員で出動だね」

 全員で出動? 一体何をするつもりだ。

「はい。作戦会議するから皆集まってくれ」

 というリュウの号令によりワラワラと集まってくる皆。


「グルァァッ!」

 痺れを切らして襲いかかってきた敵。

「ホレッ」

 ――スパァァン

 蛍さんの一振りで煙になり消え去った。なんというか、やっぱりこの人怖いな……。

「えっと、こんなズバズバやっちゃっていいの?」

「孔弌。今わしに切り裂かれた妖怪、一瞬で消えたじゃろ」

「うん……」

「時間がない故に詳しくは説明できぬがこやつらは、思念の塊のようなものじゃ。倒しても気にやむ事はない。そして手加減も慈悲もいらぬ。ゲームの雑魚キャラを薙ぎ払うような気分で倒してゆけばよい」

 なるほど、そういうことなら僕も敵に手加減はしない。全力で戦う。

 あまり僕のゲーム脳をなめないほうがいい……僕が主人公の無双ゲーが今始まる!


「えっと作戦内容。見ての通り敵が来たからみんなで手分けして倒そう。以上」

 そんだけ!?

「二人一組作るか……」

 そういって考え出すリュウ

「天奈君・スザク君ペア、せせらぎ・氷凍君ペア、孔弌君・アルテ君ペアだな」

「リュウと蛍さんは?」

「僕はここで情報処理と留守番。蛍君は一人で動き回ったほうがいだろう」

 なるほどね。自分の戦力をよく理解した上での素晴らしい振り分けだ。

「あとアロ君もここで留守番だな。結界でも張ってくれるように頼んできてくれるかい? 僕は奴らに勝てないからさ(震え声)」

「りょーかい」





 そんなわけで僕はアルテと一緒に出かけることになった。

「うわ、家の前にもすごい数いる……」

 玄関の前にものすごい並んでるんですけど。

 こいつら僕の家を新作ゲームの発売所とかイベント会場とかと間違ってるんじゃないのか。

「こんな雑魚には構うな、孔弌」

 アルテが軍配で道を作る。


『孔弌君、君たちは小学校の近くに向かってくれ。路地裏がすごい事になってる』

『路地裏?』

『妖怪達はいくつかの集団になって固まって動いているみたいなんだ。どこもかしこも局所的に集まってる』

『そのうちの1つがそこにいるの?』

『あぁ、しかもこの町の妖怪がそこで襲われているらしい。できれば早く助けてやってくれ』

 なるほど、そうとなれば早速急行だ。





 目的地に着いたけど……。

「ものすごいうようよいるね……」

 一匹一匹の力が大したことじゃないってのはわかるけど、こう、数が多いと気押されるなぁ。

「あぁ、来てくれましたか」

 夥しい数の妖怪の中から僕たちに語りかけてくる声がした。

 そのうちひょこひょこと男の人が寄ってきた。


「いやぁ、私この町の妖怪なんですけど、突然知らない妖怪に襲われまして……かくかくしかじか……とにかくあなた達が来てくれて助かりました」

 少し怪我をしている所もある。今まで闘ってたのかな。

「よし、後は僕たちに任せてください。行くよアルテ!」

「あぁ!」

 アルテが元気よく突っ込んでいった。

 っと、僕も遅れないようにしないと。


「ほらほらぁ」

 ズバンズバンと敵が蹴散らされていく。

 今、僕の目の前ではそりゃもう見事なアルテ無双が行われている。

 はっきり言って、僕必要ないよなぁ。

 アルテは敵なんか全く寄せ付けてないし……。


 アルテがひょいと飛び上がって、扇を下に向ける

「銀花扇」

 フワフワと銀色の光が集まっていっている。うわ、やばいって、これ絶対タメ技だよ。

 光がどんどん大きくなっていって

「す、すごい霊力ですね。噂に聞いていた以上です」

 男の人もしりごんでいる。

「――はぁぁっ!」

 アルテの叫びとともにそこから光が……。

 眩しくてよく見えない……。

 ようやくまともに目を開けられるようになって、周囲を確認すると


「なんと……」

「す、すごい……。これがあの十二式神の力……」

 妖怪が粉々になって、フワフワと消えていた。なんというマップ兵器。

 まともに闘うの初めて見たけど……。

 アルテ、ちょっと強すぎるだろ……かっこいい、カッコイイタル! なんだこれ、アルテすげぇ。文化的だよ。

「てきとうに霊力をぶつけただけだ」

 なんという余裕。


「……グシャアァァアッ」

「うわ、まだいるよ」

 物陰からわらわらと妖怪が出てきた。

「ふむ、どうやらこいつらは霊力の高い者を狙っているようだな」

「どうしてそう思うの?」

「こいつらは、今の私の攻撃で集まってきたらしい」


「てことは、こいつらが集まってる所に霊力の強い人がいるってこと?」

「あぁ、恐らくな」

 ふ~む……。

「わ、私は霊力が高いものと思われたってことでしょうか……」

「あぁ、お前はどうやらこの町の中では比較的霊力の高い存在のようだからな」

「いえーい! 明日自慢しまくってやるぜ」

 この町の妖怪はみんなこんなに陽気なんだろうか。


「孔弌、ここは私に任せて、お前は次の場所に向かったほうがいいな」

 アルテの扇が刀になっていく。

「できるだけ手分けして街の妖怪を助けたほうがいいだろう」

 なるほど、確かにそうだ。そもそもリュウはなぜ二人組にわけたのか……。

「わかった。ここは任せていいんだね?」

「あぁ」


 まぁアルテなら万に一ってこともないだろうし。

『リュウ? 聞こえる?』

『どうしたんだい孔弌君?』

『他にも妖怪が集まってるところあるんでしょ? ここから一番近いのはどこ?』

『あぁ、ちょっと待ってくれよ……、襲われてるかはわからないけど、そこの近くに妖怪が集まってるって話がある』

 そのままリュウに場所を聞いて、目的地に急ぐ事に。


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