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キズナの鬼  作者: 孔雀(弱)
第5章「太裳の位と二人のなぞなぞ」
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「この作品、登場するの不審者ばっかじゃね?」



 テンちゃんと出会って、今日で七日目。つまり僕がこの事件に関わって明日で一週間か。

 んー、前フリとは全然関係ないけど、ここのところ朝はすっきりと目が覚めるなぁ。

 まぁ、もし僕が寝坊しても誰かが必ず起こしに来てくれると思うけど。

 そういえば昨日は結局式神を捕まえることはできなかったけど、今日は見つかるだろうか。


 大体そんなにすごい妖怪なら、簡単に見つかりそうなんだけどなぁ。みんなの話を聞く限り霊力ってある程度探ることができるみたいだし。

 それに行動範囲も限られてるしね。

 そもそもリュウが張った十二式神が出入りできないっていう結界はどのくらいの範囲なんだろ。

 みんなこの町、この町っていうけど曖昧なんだよなぁ……。

 ん~、あぁ、そうか!!

 みんな強いから姿を隠すのもうまいのか。

 なるほどなるほど……。

 ていうことは一般的には上手に隠れてるほど実力があるってことなのかなぁ……。


 さて、そろそろ朝食を準備するのに丁度いい時間かな。

 よし、今日も一日張り切るぞ……!

「みんな、おはよう」

 居間に入ると既にアルテとテンちゃんがソファに座ってくつろいでいた。

「あぁ、おはよう」

「孔弌、おはよう」

「今からご飯作るから少し待っててね」

 台所で簡単な調理を始める。

 う~ん、僕もなんちゃって料理じゃなくて、まじめに料理の練習したほうがいいかもなぁ……。

 食器も買いに行かないと足りなくなるなぁ、これは……。

 と、今後の生活の事を考えながら料理を進める。


「できたよー」

 食卓に料理を並べて、居間にいるみんなに来ることを促す。

「うむ、今朝も悪いな孔弌」

「エビフライが食べたいなぁ……」

 リュウと蛍さんも起きてきていた。エビフライはどうでもいい。

「アロとスザクは?」

 この場にいないのはあとはアロとスザクだけだ。



「スザク君は部屋で遊んでいたから起きているよ。もうすぐ来るだろ」

「アロは猫の世話をしておった。こっちもじき来るじゃろう」

 とのことです。

 とりあえず、席につこうか。

「う~ん、今日も残念ながらそれらしい目撃情報はなかった」

 今日もか。まぁ見つからないものはしょうがないかな。

「僕は午前中も引き続き通信室で待機してるから」

 目撃情報ってアマチュア無線で集めてたの!?

 そ、そんなに重要な部屋だったのか……う、うぅむ……?

「雑談相手待たしてるから早く戻らないと。ラグチュー、ラグチュー」

「ただ無線で遊ぶだけかい!」

 全く、結局何の役に立つのあの通信室!?


「わしは見回りにでもいくかのぅ」

「蛍さん、リュウを八つ裂きにしてもいいよ」

 なんで本来働かなきゃいけないリュウより蛍さんのほうが働いているんだ?

「そういえば、ちょっと気になる話があるのじゃが」

「ん?どうしたの?」

「今この町は不安定なせいで、邪な妖怪達が集まってきやすくなっておるのは知っておるな?」

 確かその話なら最初の日にリュウから聞いた。

 それに僕も最初の時公園で襲われたし、戦闘もしたし。


「その妖怪達なのじゃが、どんどん数が増えてきて、強さも徐々に強くなってきておった……。

 じゃがな、昨日は一匹も妖怪が現れなかった。それがわしは逆に不気味でならぬ」

 妖怪があんまり来なくなったのは蛍さんが頑張ってるからじゃないのかなとか思ってみたり。

「どんなことにしろ、急激な変化は何かしらの予兆である可能性が高い。用心に越したことはないじゃろ」

「うん、わかったよ」

 気にしすぎな気もするけど、確かに蛍さんの言うとおり用心に越したことはないね。

 何かの予兆かぁ……。いい事だといいんだけどなぁ。

 って、これ絶対よくないフラグだな。逆にかんがえよう、悪い予感しかしない!


「よし、僕も今日は散歩がてらに見回りでもしに行こうかなぁ」

 フラグ逆転法によって、今日はいい事が起こりまくるはず。

 オラわくわくしてきたぞ!

「他のみんなは今日は何するの?」

 式神各員に聞いてみる。


「読書だ」

 目をつぶって、腕を組んだまま答えるアルテ。かっこえぇ。

「昨日読んでいた本が途中でな。あと半刻もあれば読み終えられると思うが、クライマックスはゆっくり咀嚼したいからな」

「そっか、それなら邪魔しちゃいけないね」

 あんなにたくさんの本を買うぐらいだし、本当に読書好きなんだなぁ。


「僕もちょっと自分の部屋でやりたいことがあるから、今日は部屋にいるね」

 スザクもゲームがいま山場にきてるとかかな。全く、一人前のゲーマーになりおって。

「銀銃に終わりはないんだよ、兄ちゃん……」

 たった数日でゲームに対する矜持みたいなのを身につけてる!? 一体彼に何があったのか。

 ちなみにアロはさっき自分の部屋に戻っていったから、アロも今日は家かな。


「テンちゃんはどうするの? 魚の世話とか?」

「……ううん、エサとかはそんなにあげなくていいから。ボクも今日は暇だから孔弌についていく」

「そっか、じゃ一緒に散歩だね。僕の散歩テクニック魅せつけてあげるよ。凄すぎて多分ひくよ」

 これでも町ではそれなりに有名な散歩erだからね……僕は。





 早速お外に飛び出す僕達。

「出たはいいけど、どこ行こうか?」

「ボクはどこでもいい」

「んじゃまぁ、街のほうに向って適当にブラブラしますか」

 特に目的もあるわけじゃないし。


「我が家も随分とにぎやかになってきたね」

 もちろん雰囲気もだけど、そういうの抜きにしても部屋の内装的な意味でね。

 まー……うん、通信室はいらないけど……。

「……うん、ボクもこんな風に誰かと協力して暮らすのは初めて」

「それは僕もだけどね。ずっと一人暮らしだったから」

 こんなに大勢でこの家で生活するのは初めてだ。


「なんだか、みんなには半強制的に式神になってもらってるみたいで申し訳ないけど」

「そんなことない……みんなすごく楽しんでる。孔弌の式神になって幸せ。……もしも孔弌が自己満足だって思ってても、ボクにとってはwin-win」

「そっか、ありがと。……でも、なぜ取引みたいな関係なんだ……」

 何にしろみんながそう思ってくれてるなら、僕もうれしいけどさ。

「孔弌あのね……」

「ん?」

 改まって何か言いたそうだけどどうしたのかな。

「ボク……」

 と、何かを言いかけたところで急にテンちゃんの顔つきが険しくなる。


「孔弌……!」

 突然テンちゃんが抱きついてきて、僕の頭を抑えてきた。

 ロリっ子に抑え込まれる男、そう僕だ。

「急にどうしたのテンちゃん? むぐっ……」

「孔弌、静かにして」

 それから体と口を塞がれたまま、あれよあれよと近くの茂みに連れ込まれる。

 ていうか、この体格差でいともたやすく引き込まれるって……。


 しばらくして、ようやく口を塞いでいた手をどけてくれる。

「テンちゃんどうしたの?」

 声のトーンを落として話しかけると

「孔弌、あそこ」

 とテンちゃんが指をさした方向を見てみると……。

 って、なんかこんな感じのシチュエーション以前にもあったような……。


「剣術訓練にご協力くださ~い、剣術訓練にご協力くださ~い」

 向こうからなんかやけに大きな声でランニングする人が向かってきた。

 選挙演説の車か何かの音と聞き間違えそうな大声だ。

 ていうかどこが剣術訓練なんだ?

 とりあえずそのまま見ていると

「日々のタケノコ生活、霧や霞を食べるような極貧生活、このままでは俺が危ない! いや、主に俺が!」

 公園の前に立ち止まって、何やらしゃべり始めた。

「立ち上がれ、全国の親指族! 稼いだ金で救うんだ! 俺を!」

 意味不明な事をわめいている。いや、いっそ理解不能か……。

 あの人は何を言っているんだ……。


「何? 期待度★★★★★でガセだと? 負けるな諸君、俺たちみたいな限りなく闇に近い光がいるからこそ、世界は照らされる!」

 もう僕にはあの人が何を言っているのか、理解できない。

「テンちゃん、もう行こうよ……あれに関わるとろくなことないって……」

 どう考えても、厄介事の匂いがする。

 頭のねじが飛んだやばい系の人だ。君子危うきに近寄らずというやつだ。


「……あれ、大裳の位」

「え?」

「……十二式神の大裳の位」

 な、あの変なのは式神か!?

「孔弌、どうするの?」

 どうするのって、捕まえないとまずいよね?

「不安だけど、戦うしかないよね……」

 戦力的にも人格的にも近づきたくない感じで心がいっぱいですわ。


「家に戻ってみんなを呼んできたほうがいいかな?」

 援軍作戦をテンちゃん殿に具申してみる。

「……ここからだと遠いから戻ってたら見失う。孔弌、リュウの石は?」

 あ~、そういえばそんなもんあったなぁ。家に置いてきたけど。

「ちなみに携帯電話なら持ってきてるよ? リュウは持ってないけど」

 ていうか、通信室の設備用意するくらいなら、携帯の1つぐらい買えよあの野郎。

「ボク達だけで……」

「行くしかないね」

 見つめあって、頷く。



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