「めちゃ短い話になります。尺調整回とも言う」
ゲームばっかしてたら、予約更新切れてるの忘れてた(:D)
さて、そうと決まれば先にテンちゃんに聞いておかなければいけない事がある。
「テンちゃん、先に大裳の特徴教えて」
前回と同じ轍を踏まないためにも、ここは先に情報を引き出しておくのがいいだろう……。
「バカ」
「え?」
テンちゃんはよく聞く短い言葉だけを口にした。
「バカ」
「いや、そりゃ僕はバカだけど……。こんないきなり言うことじゃないよね? 流石に傷ついた」
なんでこの状況で? ちょっと泣きそう。
そういえば中学の頃帰りの会で女子に
『先生、孔弌君が今日もバカです。どうにかしてください』
って言われた事があるけど、あれは理不尽だったなぁ。しかもそのあと職員室に呼ばれたし。
「……違う、大裳の位の特徴。大裳はバカ以上でもバカ以下でもない。あえて言うなら……芸人?」
「え、そうなの?」
なんだ、てっきり自分が言われたのかと思ったよ。
っていうか、テンちゃんさりげなくひどっ!
「って、そうじゃなくて。そんなのは見ればわかるから。もっと戦闘の特徴とかだよ」
あんな、意味不明な事を言ってるんだからちょっと頭がアッパラパッパーなのは誰でもわかるよ。
「ん~、忘れた」
「忘れたって……どういう武器使うかとかも覚えてないの?」
前はそれを聞きそびれて弓で酷い目にあったからなぁ……。
「多分……刀?」
刀か……それなら遠距離でいきなり撃ち抜かれたりはしないな。
「なら、とりあえず相手はこっちに気づいてないみたいだし、奇襲でいこう」
てっとり早く、安全に済ませるにはそれが一番だ。
「うん」
と言って、静かに剣を顕現させるテンちゃん。
二人で、相手に気づかれないようにじわじわと近寄る。
そして
「ん!」
丁度いい間合いまで迫ったところでテンちゃんが一気に斬り込む。
「む……!?」
「泡……!」
剣戟音と同時に激しい水気の爆発が起こる。
「テンちゃん……!」
「ん」
僕の呼び声に頷いたテンちゃんが、一気に飛び退く。
「はぁぁぁあ!」
そして、高熱の直光を放つ。放つ、放つ、放つ……撃って撃って、撃ちまくる!
「まだまだ!」
水蒸気と爆煙の塊の周りを輪のようにした水の縄で囲んで
「とおっ!」
一気に締め付ける。
「どうだ!」
おっと、思わずフラグ台詞に近い言葉が口をついてしまった。
もっとも、その言葉が思わず漏れ出るくらいに一瞬の出来事だ。これで相手は何が起こったかわからずにのびてるに違いない。
「お前ら……殺すつもりかッ!?」
突然、そんな声が響き渡る。
「え?」
声のしたほうを見ると
「ひゅぅ……全く、このタクアンがなかったら危なかったぜ…」
「………………」
爆心地から少し離れた所に、タクアンを持ったあの人が……いや大裳の位が立っていた。
「ありがとう、八百屋の親父……」
八百屋の親父?
しかし、改めてあのセリフの生存率を認識してしまう。
「さてと……お前たち突然人を襲ってどういうつもりだ? 場合によってはこのタクアンが火を噴くぞ」
居合切りの構えのように、タクアンを構えるあの人。
「いや……あの、僕の式神になってもらおうと思って……」
「何、式神だと……お前、討魔師か?」
「うん」
「……あのな、まず話し合おうと思わなかったのかっ!?」
「はい、ごめんなさい……」
すさまじく相手のほうが正論だ。ド正論すぎて謝罪以外の言葉が出てこないよ。
確かに不意打ちは悪いと思ったけど……リュウだって不意打ち推奨してたし……。
「だがまぁ、やってしまったものはしょうがない。今度からは気を付けるんだぞ」
「はい……」
「よし、わかったなら行っていいぞ」
「はい、ありがとうございました」
よかった、許してもらえて。
「孔弌……」
「うわ、どうしたのテンちゃん?」
「……目的忘れてる」
目的…? あぁ!
「とにかく、僕の式神になってもらうからね!」
気を取り直して、振り返ると
「あれ、天后の位じゃねぇか? お前こんなところで何やってんだ?」
ようやくテンちゃんに気づいたらしい……。
「……孔弌の式神」
「何、お前人間の使い魔になったのか!?」
「いや、だから今から君にもなってもらおうと思って……」
まぁ仲間になってもらおうという相手に一方的に攻撃を打ち込みまくった後のセリフがこれである。我ながら凄い。
「なるほど、面白い。いっちょ、闘ってみようじゃねぇか……」
わぁ、ようやく戦いが始まりそうな空気になったぞ。
「ちなみに、お前の名前は?」
「僕の名前は阿保孔弌……阿保孔弌さんって呼んでくれて構わないよ」
「ふっ、いい名前だぜ。今の俺は……そうだな、名前はないから仮に渡辺とでも呼んでくれ」
渡辺!? どうして渡辺なんだ?
「どっちもバカ……」
「何? 俺よりバカな奴が存在するわけないだろ」
うわ、自分で言っちゃってるよ……。
「ふふ、そりゃ俺だって、もしかしたらみんなの言うとおりバカかもしれない……でも大丈夫だ。みんなが俺の賢い所に気づいてないだけだ……そう思っていた頃もある……」
「うんうん、それで?」
「だが、もう諦めたのさ! 俺は馬鹿だ……プライドの精算は済ませた! あとは慣れるだけだ」
どんな過程を経たのか、凄まじい心境だな。少なくとも僕はその境地にだけは何としても達したくない。
「……そんなことない、孔弌だって負けないくらいのバカ!」
えぇ、テンちゃん何言い返してんの? 別に負けてもいいでしょ? ねぇ?
「何だと……?」
「いや、負けてる負けてる。僕すっごい賢い。君と勝負にならない」
両手をあげて、降伏のサインを出す。
「孔弌、謙遜しなくてもいいよ?」
ボソボソと耳打ちしてくるテンちゃん。
いやいや、いいよ? じゃなくて僕は君たちの聡明な御主人じゃない?
「なるほど、そこまで自信があるのならいいだろう。俺とバカ度で勝負だ!」
「えぇ~」
そもそもバカ度って何すか?
「ふっ、ここに旧型仕様のバカウターがある。まずはお前の数値を見せてもらおうか」
何それ!?
なんか、ス●ウターみたいなものを取り出す渡辺さん(大裳の位)。
「バカ度…ん? -230000だと? どういうことだ……負の値が出るなんて。いや、上昇していく-13000……4700……9800……まだ上昇していくだと?」
「ちょっと待って、すごくバカにされてる気がするんだけど!?」
「いや、また-4200に戻った……。ん? 再び上昇した……何が起こっているんだ!?」
あの人一人で遊んでるだけじゃないの?
「バカ度……17000……22000……くっ、これ以上は……」
――ボンッ
お約束通り爆発する。
って爆発した!? まじあきょ(訳:まじかよ)!?
「ふっ、旧型とはいえ測りきれない男に出会ったのは久々だぜ。面白くなってきやがった」
「えっと、1人で盛り上がられても困るんですけど……」
僕もテンちゃんも置いていかれてるんだけど。
「僕たちはどうすればいいの……?」
「勝負だ! 勝負するぞ! 天后の位、お前が審判をするんだ!」
「ん!」
ん! ってテンちゃんさ、何この流れに無理矢理ついて行ってるの!?
君までそっちにいったら、ただでさえ少ない正統派キャラがまた一人絶滅することになるんだよ!?
流石に僕一人だけで全部のツッコミは無理だ。
「……今これしか持ってない」
といって懐から本を取り出すテンちゃん。
「サル人間用、超なぞなぞ&クイズ!」
「なんでそんな本を今持ってるの!? ご都合主義にもほどがあるよね?」
「流石我らが式神の一体……」
「……ブイ」
だめだ、このテンちゃんおかしい……。
やっぱり、暮らしてる環境が悪いのか!?




