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キズナの鬼  作者: 孔雀(弱)
第4章「六合の位と官憲」
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「朝からテレビゲーム三昧とか」


 部屋に近づくと中から声が聞こえてきた。

「またアルテの負けだね」

「弱い……」

「この相方が弱すぎるのだ」

「設定は最強にしてあるの……」

「むぅ、とにかくアンフェアだ。大体さっきからお前たち二人で組んでばかりではないか」

 あぁ、恐らくテレビゲームをしているんだろうか。

 ゲームで遊ぶ七百年前の凶悪妖怪達……今日も我が家は平和だなぁ。


「ただいまっと」

 ノブを捻って部屋に入る。アロも遠慮するように入ってきて、すぐに隅っこにいってしまった。

「孔弌、いいところにきた」

 アルテがゲームのコントローラーを渡してくる。

「お前と組めば勝てる!」

 戻ってそうそうゲームに参加しろってことか。


「いいだろう。僕の暴力的なプレイを見せてあげるよ……」

 ニタリと笑ってコントローラーを受け取る。

 テレビ画面を見るとどうやらテニスのゲームをしているみたいだ。

 そもそもゲーム云々の前に皆テニスのルール知ってるのかな……。

 ほんと順応が早いというかなんというか。





「ふ、私達の勝ちだな」

 勝ち誇った顔のアルテ。

「危ないところはたくさんあったけどね……」

 とりあえずアルテ、前衛に向かって温いトップスピンをポンポン打ち込むのはどう考えてもボレーの練習に付き合ってるとしか思えないよ……。

「次はボクも孔弌と同じがいい」

 別に僕は絶対に勝利をもたらすほどほど強くないと思うんだけど。ビッグマウスで参戦したけどさ。

 それにスザクも始めて間もないとは思えないぐらい強いし。


「ふむ、ならば部隊分けをするか」

 部隊って……もうちょっと言い方ないのだろうか。普通にチームとかペアとか。

「どうやって? 僕、次も兄ちゃんと敵がいいんだけど」

「少し待っていろ」

 軽く考えた後立ち上がって机で何かするアルテ。


「ここに三枚の紙切れがある。あたりは一つだけだ」

 いつの間にかクジが用意してあったのか。案外普通だった。

 でも一枚足りないと思うんだけど……。

「一人一枚ずつ引いて、あたりを引いたものが孔弌と組む」

 え~、僕はくじなしか。

「安心しろ、また私が組んでやる」

「ん……運命力を……引き寄せる」

 アルテの説明が終わるとすぐにテンちゃんがくじを引く。

 っていうか、運命力ってなんだよ!


 そしてくじの結果はというと

「…………(ジト~)」

「…………(ジィ~)」

「ハハ……兄ちゃん、よろしくね」

 二人に睨まれるスザク。正直いたたまれないよ。

 大丈夫だからね、君は何も悪くないからねスザク。

「……アルテ」

「あぁ、スザクを……殺すっ」

 殺気ごもった手でコントローラーを握る二人。

 今、デスゲームが幕を開ける!





「兄ちゃん……」

「うん……」

 普通に圧勝してしまった……。

 いや、僕は十分手を抜いたはずなんだ……。

 二人に怪しまれないところギリギリまで手を抜いた。

 スザクも手は抜いてるはずだ。同じチームでプレイしててわかるからね。


「負けた……」

「あぁ……」

 げんなりとする二人

 意気込んでいた……というより殺気を込めていた割にあっさりとやられてしまったから悔しいのかな。

 というより悔しいを通り越して消沈してるのかも。

 う~、空気が重いよぉ。

 どこに視線をやっていいかわからずにキョロキョロしていると部屋の隅で無意味に震えるアロが見えた。そりゃこの空気だもんね。


「よし……もう一回だ再戦するぞ天奈」

「ん!」

 お、二人とも気力を取り戻したみたいだ。

 しかもさっきよりやる気がアップしている。

 逆に殺気は減ったけど。いや、それでいいんだけどね?




「さてと……そろそろご飯作らないと」

 結局あのまま何回もテンちゃん&アルテと戦うことになり、僕とスザクもそれに付き合った。

 さてと、ご飯は七人分も作らないといけないから早めに準備しないとね。


「えっとお昼の報告……異状なし!」

 とリュウ。

 つまり午後からも自由にしてろってことかな。

 しかし、もうすっかりご飯の時間=会議だね。

 あ、そうだな僕も今のうちに言っておくか……。


「そういえば、今朝思ったことなんだけど……」

 金庫からお金を出してきて

「みんなの部屋が無個性だったからさ、何か家具とか装飾品とか好きなもの買ってきなよ。買物の仕方はもうみんなわかるよね?」

 それぞれの目の前に、お小遣い……というかまぁお金を出す。

「必要ないものは買わないって約束してね。食べ物とかも、まぁいいけど……それだけで使いきったりしないでね」


「孔弌や。僕の分は?」

「ないよ?」

 当り前じゃないか。

「ていうか普通賽銭箱まで爆破する? ねぇ!? なんで僕がこんな貧相な生活してるのっ!」

 逆ギレされた。

「まぁ……あんまり入ってなかったけどね……。僕の収入は年々減る一方だよ」

 今度は勝手にブルーになりだした。

 もう放っておこう。


「そうだな、部屋の表札くらい欲しいと思っていたところだ。あと書物だな、この時代についてはまだまだ知らない所が多いからな」

「ボクも本欲しい」

「なら、僕も本見に行こうかなぁ」

 と三人とも同じところに行くようだ。

 う~ん、アルテはまず普通の服を買いに行ったほうがいいんじゃ……。


「なら、僕が案内しようか? 本屋の場所わからないでしょ」

「いや、大丈夫だ。実は……その、封印が解けてから私はずっと本屋に入り浸っていてな」

 う~ん、世にも恐ろしい妖怪が封印から解き放たれて真っ先にする行動なのかな、それは。

「学生が使うという参考書というものや、雑誌などを読んだりしていたよ」

 それで、初めて会った時あんな落書きしてたんだ。

 落書きの内容はわかったけど、なんでブロック塀に書こうと思ったんだろ……。


 とにかく、本屋はむしろ僕よりアルテのほうが詳しそうなのでアルテが二人を連れていくことになった。

 というわけで手持無沙汰になる僕。

 さて、何をしようかな……。

「僕と一緒にジャ○コでもいかない?」

「いかない」

 大体お金持ってない奴と一緒にデパート行って何するんだよ。

「仕方ないなぁ、じゃ一人で行ってくるよ。蛍君お金貸してくれないか」

 こいつは、本当に人でなしろくでなし野郎だなぁ。

 いや、神でなしろくでなし野郎だなぁ……。


 久々に一人で外ブラブラしてみるかなぁ。

 運が良かったら式神に遭遇できるかもしれないし。……一人で勝てるかなぁ。

 家を出ようとしたところで

「あ……」

 アロに出会った。

「あ、アロ。丁度よかった、他のみんなには食事の時に渡したんだけど」

 食事の時に話した事と同じことを一通り話して、お金を取り出す。

「…………………」


「はい、ここに置いておくから」

 手渡しは流石にまだ無理だと思うからね。

 そもそもそんなアロが店で買い物できるかなぁ。

 凄まじく心配になってくる。

 パソコンとかがあれば、ネットショッピングができるんだけど。

 あれを買ったら、なんだか本当に人間としてダメになってしまいそうな気がする。

「あ……あの……」

 呼び止めるようにもじもじとアロが話しかけてきた。

「そ……そ、その……あの……」

 ごもごもとそれでも懸命に言葉を紡いでいるみたいだ。


「あの、あなたも一緒に!」

 緊張で今にも目が回ってしまいそうな様子でそう言ってきた。

「え……? えっと……」

 アロから思いがけない言葉が出てきて僕の方も少し戸惑う。

「えっと、僕と一緒に買い物に行きたいってこと?」

 コクリでうなずいて、そのまま顔を伏せるアロ。


「ん、いいよ。一緒にどこか行こうか」

 正直、アロから誘ってくれてすごくうれしい。

 一人じゃ買い物ができないから、たまたま都合がいい僕に頼んだだけかもしれない。

 それでも自分から誰かを頼ってくれたのは嬉しい。


「それでアロは何を見に行きたいのかな……?」

 買い物についてきてくれってことだから、何か目的があるんだよね。

「え……えっと……」

 うつむいて、もじもじするアロ。

「もしかして何も決めてない?」

 コクとうなずく。

 う~ん、無計画なところは僕と一緒だね。



「とりあえず、街に出ようか。話はそれからだね」

 というわけで、二人で家を出る。


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