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キズナの鬼  作者: 孔雀(弱)
第4章「六合の位と官憲」
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「おじさん」

 明るい日差しで目が覚めた。枕元に置いてある時計を見る。

「3時……15分……?」

 おかしいな、流石に3時はないよね。いくらなんでも早すぎる。僕がそんな時間に目覚めるはずがない。

 窓を開けて外を確認する。

「ん~」

 実にさわやかな朝の空気だ。絶叫したくなるよ。


「電池切れたのかな」

 よく観察してみたら、秒針が止まっていた。

 ふぅ~、これが学校のある日だったらやばかったかもね……。

 いや、よく考えたら携帯電話のほうも目覚ましかけてあるんだった。

 とりあえず携帯を開いて時間を確認しよう。


「あれ、メールが来てる」

 差出人は……。

「あ、おじさんだ」

 おじさんといっても僕の親戚というわけではない。

 父と母の友人だったとかで、今は僕の世話やお金の管理をしてくれている。

 仕事の都合で会える事は滅多にないんだけど。

「何のメールだろ」

 いつもの世間話かなぁ。


 ――孔弌君、元気にしているかい。

 ――私は元気だ。仕事の方も順調であともう少しで大きなプロジェクトもうまくいきそうだ。

 ――仕事の都合上、君と会える時間が出来たんだけど、今日の14時から一時間ほど、どこかでお茶でもしないかい?

 ――もし予定が空いているのなら、十時までに電話を一本かけてほしい。


「おぉ、おじさんに会えるのか」

 予定もまぁ急な用事がなければ大丈夫かな。

「電話今掛けても平気かなぁ。まだ8時前だけど……早めにかけたほうがいいよね」

 電話帳から番号を選択し、コール!(ポーカー風に)


「あ、もしもしおじさん?」

『おはよう孔弌君。このタイミングという事はメールの件だね』

「うん、今日は急な用事が入らなければ大丈夫だよ」

『そうか、それなら14時頃に駅前に来てくれるかい』

「うん」

『それじゃ、積る話はその時に。それじゃまた』

「うん、またあとでね」

 電話を切る……。





「と、いうわけで午後は出かけるから」

 食堂で説明すると

「ん、わかった」

「あぁ、そういうことなら存分に楽しんでくるといい」

「兄ちゃんって暇そうで忙しいんだね。僕達なら大丈夫だよ」

 スザクを信頼してないわけじゃないけど、任せていいものか……。


「ちょっ、誰かティッシュ! 鼻水が! 僕の鼻が氾濫して……ちょっ、マジやばいってこれ! これやばい!! ポマードポマード」

「滅多に会えぬのなら、その時その時の時間を大切にするんじゃぞ」

 そういうわけで、一応みんなの了承はもらえた。(1名除く)

 ていうか、早く鼻かめよ……。


「さて、今朝なんだが」

 鼻をかんでキリっとした表情のリュウが、気を取り直して話を始める。全然しまらない。

「実は式神発見の報告があった」

 おぉ……。

 昨日は平和な一日で物足りなかった所だしね。

「どうやら六合らしい……(ガタガタ)」

 リュウが尋常じゃない勢いで震えだした。

 全裸事件(命名:僕。そのまんまだけど)時のトラウマが発動したか……。


「それで、どこに出没したのじゃ?」

 蛍さんが詳細を尋ねる。

 あとガタガタ震えるリュウを見てたら僕もぶるぶる震えてきたぞ。

「ん~、中央大通りの交差点で怪我をしていた鳥か何かがいたから傷を治してあげてたみたいなんだが」

 傷を治す? そういう術もあるんだろうか。


「って、それって悪事でも何でもないよね!? いいの? 戦っていいの?」

 むしろいいことしてるじゃん!

「うん、それがねその時にね、マッチョの男が六合にからんできたらしいんだけど……」

 リュウが続きを話し始めた。どうしてだろう、何となく嫌な汗が噴き出してきたぞ。

「そのマッチョを一糸纏わぬ姿にしたらしい……。ネイキッドだ……」

 ………………ぅぇ。

「それは当事者のマッチョもだけど、それを見てた人も厳しいね色々と……」


 でも、退治するほどの事でもないよね、正直。

 話聞く限りだとマッチョも自業自得だし。

「とに、かく! 僕の仕事はこの町の秩序を守ること。すなわち土地の管理と問題の解決! だから、相手がどんな者であれ、一度話はつけなければいけない」

 おぉ、珍しくリュウが神っぽい事言ったぞ。

「さて、ここは全員で行って袋にしたいところだけど……」

 袋!? 袋って言ったよこの神! 博愛精神が欠片も無いのがこの町の神なのか!


「あんまり大人数で行っても目立ちすぎるから、三人か四人ぐらいで行きたいところなんだけど……」

 なるほど。逆に言うと残った二人は留守番になるってことか。

「まず孔弌君は参加確定だが」

 そりゃそうなるよね。僕の式神になってもらうんだから。

「あ、もちろんわしはパスじゃ。町の見回りと手ごわそうな妖怪を退治しなければいけないからのぅ」

 そっか、ということは……

「これで決定だな……」

「孔弌君、何が決まったんだい?」

 何ってそりゃ。


「現地に行く四人組が決まったんだよ。まず僕でしょ。天ちゃん、スザク、アルテ」

「僕は無条件で戦力外なの!?」

 いや、当たり前だと思うんだけど。

「…………よし、五人で行こうか」

「最悪だ! 自分でフォーマンセルを提案したのに!?」

 しかもリュウが加わると一気に目立つ度が2倍ぐらいになると思うんだけど。





「で、結局5人で来ちゃったわけで……」

 明らかに怪しい集団だ。主にリュウのせいで。

「ここが大通り……」

 隣を歩くテンちゃんが呟く。

 そう、ここがこの町で一般的に大通りと呼ばれる道。

 大通りといっても、この町自体がそこまで大きいわけでもないから大したことないんだけどね。


「さて、報告があったのは少し前だから移動しているかもしれない。この辺りの妖怪達には危ないので避難してもらったから、僕たちで手分けして式神を探そうか」

 というわけで五人でばらばらになって探すことに。

 手分けする場所についてはリュウが「あっち」とか「君はこっち」とか言って適当に決めた。

 あとターゲットに遭遇したら即時に例の石でリュウに連絡を入れることになっている。

「どこにいるんだろ」

 う~ん……どこにいるか全く見当もつかないなぁ。


「ここかぁ!!!」

 勢いよく開ける!

 ま、いるわけないよね。ゴミ箱の中なんて。いたら古典的すぎて逆に怒っちゃうよ。大体ごみに埋もれるキャラは間に合ってるし。

 さて次はマンホールの中でも見てみようかな。

 そう思ってマンホール探しながらしばらく一人で式神を探しまわっていると

「ぎゃぁぁっぁああああ」

 これは……!

「リュウの声!」

 まるで断末魔のような声音だ。何かが、途方も無く悪い何かががリュウの身に降り注いでいる、そんな寒気を感じさせる。

 急いで声のしたほうに向かう。無事でいろよ、リュウ!


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