7章 魔除けと魔無
「傲慢ノ剣」を背負い、街を出て再び砂漠を彷徨い始めた青年の前にそれは現れた。
突如として天を割り、砂漠のただ中に降臨した神の代行者、十枚の純白の翼を持つ「執行の天使」
『世界の秩序を乱す大罪の使徒よ。お前の存在は世界の理が許さぬ。無に帰すが良い』
天界からの神罰。天使が掲げた黄金の杖から、世界そのものを初期化するような、極大の神聖魔法と絶対的な精神汚染の波動が解き放たれた。
「理、、だと、、?」
青年は黒と赤のフードを翻し、怒りに染まった赤眼を天へと向けた。故郷が滅びた時、その秩序はどこにあった。魔王が暴虐を尽くす時、その理は何をしていた。世界が俺からすべてを奪ったというのなら、今度は俺が、世界のルールそのものを奪い尽くしてやる。
「すべてを……よこせ!!」青年の中に渦巻く底なしの「強欲」が、戦闘の合図だった
「執行の天使」が放った、脳を直接焼き切るほどの「絶対的狂気精神汚染(天使が放つ技ではないビーム)」の波動が青年に激突する。だが、青年は頭を抱えて狂い叫ぶどころか、ただ冷酷に笑った。
彼の脳内で、これまでの絶望と憎悪が黒い泥となって溢れ出し、天使の精神攻撃を逆に飲み込んでいく。【魔無の加護】——発動。いかなる幻術も、狂気も、彼のドス黒い精神を汚染することはできない。
「な、何だと……!? 神聖なる裁決が効かぬというのか!?」
焦った天使は、次なる神罰として、火・水・雷・土・光・闇、すべての属性を凝縮した、極大の複合破壊魔
法を少年の頭上へと落とした。直撃。轟音が響き、周囲の砂漠が一瞬でガラス化する。
「や、、、やったか!?」
しかし、爆煙の中から歩み出てきた青年は、無傷だった。彼の身体の周囲で、全ての魔法エネルギーが、触れた瞬間にただの無害な光の粒子へと分解されていく。【魔除けの加護】——発動。全属性の魔法が、彼という存在の前に「無効化」された瞬間だった
「馬鹿な、、天界でも使える者が少ない6属性魔法だぞ!?何故きかない!?」
天使はもっと焦った。実はこの天使は彼を執行すれば昇進できるのだが、全然効いていないため負けるかもしれないと焦っていた
「さあな、俺よりお前のほうが弱い、それだけじゃないか?だが、眩しかったのでてめえはグッバイだぁぁぁぁ!!!!」
彼は理不尽な理由で天使を処すことにした。
そうと決まれば誰も彼を止められない、彼は爆速で天使に向かって走った。
「やめろ、、くるなぁ!くるなぁぁぁぁ!!!!」
どデカい障壁を自らの前に掲げた天使だったが、そんな行動に意味はなく、羽ごと切り裂かれた。
そして、天使が放っていた光が消えた。
「眩しかった、、さて、、このまま別の村にっ゙、、、!?」
その時、青年の全身を、これまでに経験したことのない凄まじい「拒絶反応」が襲った。
「が、はっ……!?」内臓を直接灼熱の炎で焼かれるような激痛。
それと同時に、脳の奥底から底なしの強い倦怠感と、抗いようのない強烈な眠気が濁流となって押し寄せる。手にしたばかりの強大な加護が、彼の肉体の魔力を限界を超えて貪り食っていたのだ。視界が急速に狭まり、暗転していく。立っていることすらできず、青年は砂の大地へドサッ……と糸の切れた人形のように倒れ込み、そのまま深い意識の闇へと堕ちていった




