25話 正夢
―――
(あれ? ここ、どこだ?)
「おい、どうした? ヒナタ」
親友が俺に呼びかけてきた。
「…あれ? なんで学校?」
「何言ってんの? 風邪?」
「いや…なんでも無い」
「じゃあ早く帰ろ」
「…うん」
俺達は下駄箱まで降りて、靴を取り出した。
そして俺は涙を零した。
「…おい! どうしたんだ? なんかあった?」
「ッいや、なんか、懐かしくて」
「懐かしくてって、ほぼ毎日来てるだろ」
「そうだな…なんか今日、俺おかしいかも」
「そう? なんかあったらすぐに言えよ?」
「わかった」
そして俺達は、周りの人に怪訝な目を向けられながら学校をあとにした。
「なぁ、今日の昼飯覚えてるか?」
「そりゃ…あれ? 思い出せねぇな」
「他の今日のことも思い出せるか?」
「…家をでて、学校に来て、授業受けたけど」
「授業内容は? 休み時間の会話は?」
「………忘れた」
「俺もだ」
「偶々忘れただけじゃない?」
「二人同時にか?」
「…おかしいな」
「…俺さ、なんか探したい人がいて、頑張ってる途中だった気がするんだ」
「俺は、凄く悲しい思いをしてる人がいてその人を助けてる途中だった気がする」
「………」
「…お前の名前なんだっけ」
「はぁ?! 何言ってんの?! 付き合い長いだろ」
「いいから、教えてくれ」
俺は真剣に頼む。
「―――」
親友はそう言った。
俺は復唱する。
「―――」
「…認識できない?」
音としても復唱できるのに、脳が固有名詞としての認識を阻害しているような感覚だ。
「何言ってんだ?」
周りの景色が崩れ始める。
「―――俺達には思い出すべきことがあったんじゃないか?」
俺は『―――』に問いかける。
「あぁそうだった。今、思い出した。」
「俺はヒナタを探してる。でも、今別の大事なことをしてるから待ってて欲しい。」
親友は強い眼差しを向けて、俺に言った。
「分かった。俺も探してるから大丈夫だ。」
俺がそう返すと
親友の姿が見覚えのない姿に変化した。
「いつかまた会おう。」
親友はそう言って手を振った。
知らない声で。
「もちろんだ」
俺も手を振り返す。
―――そして景色が暗転した。
「ハッ」
俺は飛び起きた。
「なんだヒナタ、早いな」
寝袋に包まった、ラグナが聞いてきた。
そして俺の口から疑問が零れた。
「…夢?」




