Episode 6 記憶 20480825
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〈怠惰〉を倒したその日、俺たちは川越支部に報告に向かった。怠惰を殺せた功績が認められ、ワクチン3本の所有権が認められ、実質的に持ち逃げの罪が帳消しにされた。
そして川越支部に梅雨川悟という公安のトップが現れた。
おそらく50代前半ごろだろうか。頭のてっぺんはハゲていて、腹はいかにも中年太りといったところだろうか。ぷっくり膨れ上がっている。
彼の訪ねてきた理由は〈怠惰〉をどのようにして倒したのかという話を聞くためだった。春央は覚えている限りの話を順序だてて答えた。
春央が千秋と出会ったこと、体育館に面をつけた腐人〈怠惰〉がいたこと、分身を出して戦ってきたも千秋が背後から撃って殺せたこと。
ただ最後の記憶だけが曖昧だった。
そこで、今まで相槌しか打たなかった梅雨川は発言した「もう一人、面をつけた男が現れたかい?」その言葉を聞いた瞬間春央と千秋は頭を抱えまるで頭を金づちで撃たれたかのような痛みを感じた。
そして十秒ほど悶絶したのち春央は痛みに耐えながら口を開いた。
「あぁ…な…か、…んな…が…います(なんかそんな気がします)」
そんな答えを聞いて梅雨川は「やっぱりそうか」
と答えをまるで知っているかのようなそぶりで「君は宮崎君を助けたいんだろう?だとしたらその仮面の男はいつか君の前に立ちはだかるだろう。」さらに、「仮面の男。彼の能力はそんなことをしても周りに怪しまれることなく行動することができるというもの。だが君たちは僕という第三者に記憶の矛盾点を指摘されている。それによって彼の能力は君たちには効かなくなるはずだ。彼を捕まえたら本部へおいで。いつまでも待っているからね。」
それだけ言って梅雨川はその場を去った。
その瞬間。入り口付近から大きな悲鳴が聞こえた。それはもちろんイケメンに対する歓声でもなくコイバナに盛り上がる女の子の声でもなく、推しを見つけてサインを求める声でもなく、
「「腐人か(だな)」」
公安事務所にはたくさんの人がいる。春央や千秋のような公安狩人はもちろん戦闘技術のない受付の人や清掃員や事務員といった公安狩人ではない人も出入りする場所なのだ。
そんな中入り口に人喰のような腐人が襲撃すれば大量の人が死ぬことになるだろう。
階段を駆け下り、腐人のいる1Fロビーに駆け降りる。そこには5体の腐人と剣を持った中年太りの男…ではなく梅雨川がたっていた。そしてその腐人のうちの一人を見て春央は驚愕した。
「冬美…?」春央はほとんどだれにも聞こえないような小さな声でつぶやき驚いた。
なぜならその腐人は春央の初恋の相手だったからだ。




