表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】腐人に葬る最期の時  作者: モ虐
第Ⅰ章 インディラ・ガンディー空港

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/69

Episode 38 SLUM〈上〉 204809021005IST

 


 春央の目の前に現れたのはクロムがニッケルと混ざり合い、ニクロムを身にまとった姿だった。


 タングステンが散らばっているのにも関わらずニクロムかに集中したということはニクロムになることにかなりの意味があるからだろう。


 耐熱性強化、腐食、酸化体制、電気抵抗性強化など、金属を体として扱うクロムにとってはかなりの効果があるだろう。


 春央はタングステンを集めて拳銃とナイフを作成する。ナイフに関しては中に空洞を作り、愛用している公安ナイフと同じ重さ、形状に調整する。


 いつでも戦闘態勢に入れる準備は整っている。


「おいクロム、いやこの場合はニクロムと呼ぶべきなのか?

 お前の目的はなんだよ?金属を操って、ここで暴れまわって。

 人を喰いたいのか、それとも空港内を暴れまわってみたいだけなのか。理由を教えてくれないか?」

「まぁいいだろう。話せば長くなるがな。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺ら家族の暮らしは元々裕福なものではなかった。

 インドの山奥の小さな家屋に母親と父親と俺と双子の妹と一緒に暮らしていた。

 暮らしはいいものとは言えなかったが4人の仲はものすごくよかった。


 そんなある日の夜突然山火事が起きてうちの家は全焼して、両親は命を落とし、生き残ったのは俺と妹だけだった。

 その日はとても風が強い日で、葉がこすれあう摩擦が原因で火が生まれたのだろう。と、最初は考えていた。焼け落ちた家の周辺に散らばった写真や、妹の好きだったぬいぐるみは燃えてなくなっていた。

 その近くに何か残っていないかと調べていたら、そこには1本のライターだった。

 俺はその犯人を捜すために、いろいろな案を考えたがとにかく金が要る。

 その為には何か職に就かないと。


 それから10歳の俺と妹はムンバイにあるダーラーヴィー地区のスラム街に身を寄せて生活した。不潔で、不快で、居心地は最悪だった。


 商売はできないが今やっている靴磨きでは生きていけない、そのため彼らは物乞いも同時に行った。



 しかし気づけば、物乞いをしてもらった金や食料で生活するのがいつしか日常になっていた。

 そしてそうしている間にも、放火魔はどんどん別の家屋に放火を続けて、指名手配されても、警察に追われても絶対に捕まらなかったのだ。


 そんなある日いつものように「僕と妹のために、何か恵んでください。」と、か細い声で、異常なほどやせた体で道行く人に呼び掛ける。


 すると、一人の男が立ち止まると突然俺の体をつかみ目を潰した。

 俺は激痛に悶えながらも「何すんだよ…」と必死に声を出す。

「お前は子供、物乞いをしているなぁ。実は物乞いってよぉ、何もない健常者がやっても稼げねぇことはなぇが、こうやって部位欠損があった方が実は稼ぎやすくてなぁ!」

「だから俺の目を潰して物乞いさせて儲けようってか…」

「あぁそういうことだ。当然必要最低限の衣食住は保証してやろう。この違法ビジネスについて何も口外しないならの話だが。」


 悪い話ではなさそうだ。というか、目を潰された時点でもう選択肢は一つしか残されてはいない。

「もし口外したらどうなる?」

「お前の目の前で愛しい妹を殺してやるよ。」


 そう言われて俺は、妹を守るために、自分たちの生活を得るために物乞いを続け、収益をすべて上に差し出す。

 そうすることで報酬としてその日のメシがもらえる。

 服が破けたり小さくなったりすれば中古の服なら買ってもらえるし、スラム街の小さな家なら家賃は払ってくれる。


 そんな組織に属して3年。その男は突然現れた。

 体は細いが俺たちほどではない。健常者だ。高身長で顔立ちもいい。かなりモテそうな男だった。

 彼は自身のことを腐人王と名乗った。そして俺たちに言った。

「僕ならその目を治す方法を教えられる。そして君たちに物乞いをさせるその組織から解放することも約束しよう。」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ