Episode 34 METAL FIGHTER 204809020931IST
春央が飛ばされたのは空港のターミナルにある西側の搭乗ゲート入り口だった。
幸いにも人がいないため、思う存分に戦える。
金属を操るとわかっていても、相手がどんな手段で攻撃できるかわからない以上なめてかかることはできない。
そう思った春央は、左腕を切断し即座に「竜始祖之頭召喚」とつぶやき、竜の頭を左腕に生やし、〈左腕〉戦と同じ形態になる。
左腕は夏斗が持っているし、7大元素は冬美以外の全員が使用可能な状態だ。
恐らくあちらの戦力に問題はない。焦らず着実にクロムを倒すことだけを考える。
クロムが地面に手を当てると、春央の周り半径2メートルの地面に水銀が現れて、春央の足元を中心に固まる。クロムが何もないところから水銀を取り出したということは、エアルがすでに西側ターミナルの空間をゆがめているのだろうか。
恐らく、この空港全域の空間はエアルによってゆがめられたものと考えるべきだろう。
水銀の融点(固体が液体に変わる温度)はマイナス39度なので、水銀が春央の足元を中心に固まったということは、普通なら最高でもマイナス40度近い温度の金属に埋まった春央の足はかなりの確率で低温やけどしていたところなのだが、〈温度変化無効〉でその攻撃は効かない。
そして、クロムも3価クロムや6価クロムといった類のものなら十分な毒性があるが、春央は獣化現象化しているので彼の金属操作による毒性に自分が攻撃されることはないと思う。
さらに、春央は土元素魔法が使えるので出したり消したりはできないが、金属の操作自体はできる。
水銀を固体から液体に戻して、クロムの足元に移動させる。
クロムを覆うように液体を泳がせ、個体にさせることで水銀の繭でクロムを閉じ込める。
当然すぐにクロムが固体化を解除し、水銀は地面に流れる。
クロムが金属を出しては春央が攻撃を防ぎ、その金属を使用して反撃。
もう3分近くこの攻防戦を繰り返してきた。
「お前も金属を操れるのか(Can you manipulate metal too)?」とクロムが問いかけてくるが、
「英語で話してくれても、俺の学力は中3止まりで、しかも英語は苦手だ!日本語か、中3レベルの英語で話してくれないとわかんないぜ?」
「そうか、日本人だったのか。すまないね。ここの公用語は英語とヒンドゥー語と聞いていてね。僕が知ってる言語が日本語、英語、中国語だけだったものでね。だから僕は英語を使っていたんだよ。」
「もし次話す機会があれば、その時は日本語で話してやろう。」
その言葉を聞き終わる前に、突然大量の銃弾が何もない空間からあふれ出てきた。




