Episode EX5 調整Ⅱ 20270708
宮崎夏斗は腐人だった。だがその中でもずば抜けて知能が高かった。
本来腐人は腐った段階で脳も腐って思考能力や理性は消えて本能だけで動くようになるのだが、ごくまれに知能も残る個体がある。公安狩人たちにはこれらの腐人を災害級と呼ばれている。
そして今、祇園にいる。
そして今、横をすれ違った男とぶつかった。夏斗はぶつかってしばらくするまで彼の存在にすら気づけなかった。
そして落ちた面を拾った。
「これなんですか?これを外す前までまるで気配を感じられなくなっていたかのように何もあなたのことに気づけなかったんですが」
「まるでじゃなくてその通りなんです。魔法でできた特別な面です。返してください。」
男は意外な答えを返してきた。
「じゃあ取引しましょう。あなたが僕にこの面の仕組みを教えてくれたらこの面を返しましょう。」
「いいですよ。ただ詳しいことは僕もよくわからないので魔導書と呼ばれる魔法の教科書を見ながらでもいいでしょうか?」
「あぁ…まぁ理解できればどうでもいいや。もしその本が日本語と英語以外の何かで書かれているものなら日本語に訳してくださいよ。」
というと、「日本語…この国の公用語ですよね?」と、男はおかしな質問をしてくる。
聞くと彼は腐敗星という腐人発祥の星から来た者で、魔法はそこの技術だと教えてもらった。
そしてその星の公用語もなぜか日本語らしい。おそらくそこの王とかも日本人ではないだろうかという疑惑が浮上したがこれは腐敗星に行く手段がない今考えてどうにかなるものではないのでスルーする。
「はいそうですが…」
「私が持っている魔導書はすべて日本語で書かれていますのでご安心を。ただ、その代わりと言いますか、魔法の発動にはルーン文字を習得しなければなりません。」
話を聞いた内容をまとめると、魔法の発動には、どこかに魔法陣を描き、一時的に魔法を身に宿す方法と、自分の体にルーンで呪文を刻み、自分自身に魔法を刻む方法があって、そのどちらでも、準備が整ったら詠唱の単語を口に出すことで発動できるものらしい。
夏斗は体にルーンを刻んで魔法を覚えた。その中身が、水、炎、草、雷、氷、土、風の七大元素を扱う基礎術式。ほかにも、聖属性、魔属性の魔法も存在するのだが、習得は人間には不可能らしいので断念した。
基礎魔法とひとくくりに行ってもいろいろある。例えば水魔法なら、水を出したり撃ったりはもちろん、水製の鎧を作ったり、剣を作ったり、さらに水魔法なら回復も多少はできる。草魔法も回復ができるが、水魔法の特権の一つだ。
さらに各魔法には強化単語と言われる概念があり、例えば水属性なら「天然」という単語を本来の術式の前に付けるだけで効果が2倍以上に跳ね上がる。
例えば「水刃」という魔法を強化しようと思えば、「天然水刃」という構文になるのだ。さらに連続して魔法を撃とうと思うと、「連鎖」という単語をつけて、「連鎖天然水刃」という構文になるのだ。
基礎魔法一式の習得にはかなり時間がかかった。なんせ基礎と言っても元素を二種類以上同時に使用しなければすべて基礎魔法なので複合魔法の方がかなり少ない。そんな魔法を一式習得したのだ。かなりの時間がかかるというものだ。
魔法を覚えた夏斗は仮面をかぶってすぐに仮面の持ち主から逃げ出した。こんなに便利な仮面をわざわざ返すわけがないだろう。そう思いながら。
そして覚えたその次の日、魔法の発動の練習を行って力を完全に自分のものにした。




