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世界の 法則が 乱れる!  作者: JR
第07話 非日常な常識と非常識な日常
103/169

テスト直前に現実逃避。それが自然の摂理、みたいな?


「現地はかなり危険。

 イスラーム勢力が混乱した状態になっている」


熾天使[セラフ] がモスクを攻撃したのがきっかけらしい。

良く判らないが、それが原因でサウジアラビアに伊織が出張すると言う。




「私も少し混乱している。

 いったん皇國代理天で情報を集めないと不味い。

 管理人も予想外の出来事で対応が遅れている」

「でも、何で伊織が?」


「最悪の予測だと、裏切者がでている。かなり身近な者」

「え?何で、裏切り者?」


「熾天使[セラフ]の天使の卵[エンゲルアイ]を盗んだのは私だ。

 なのに、それが使われている。

 複数個存在するのか、ニューエルサレム以外に同じ物を使う異世界があるのか、誰かが裏切って皇國代理天から持ち出したか」

「えっと攻撃してきた熾天使[セラフ]っていうのは?」


「ニューエルサレムの、えーと、現地語……精神寄生体だ。

 ある一定条件下で肉体を完全に乗っ取り操作をする。

 雲雀がパトリオットになるだろう。あれだ」


あの変身ですか。


そーですかー。

あれは要するにボディスナッチャーってワケね。


よくも、雲雀の身体を乗っ取ろうなんて……!!

頭が沸騰する。


「皇國代理天の研究では、本来なら雲雀の精神は破壊されて、肉体は天使の物となっているはず」

「え?」


ちょっと待って。


「うん、雲雀は雲雀のままだ」

「いや、だけど、今……」

「私にも判らない」

「どういう事なんだろう?」

「以前、雲雀が言っていた。

 “よーやくバランスが取れた”と。

 時雨は何か知っている?」


僕は首を振る。

なんだいそれは?


まぁ、判らないモノは仕方ない。

寝る前にでも聞いてみよう。





「時雨、行って来る」

「うん、行ってらっしゃい」

「……」

「……?」

「……」

「うわっぷ」

伊織は僕の方に寄ると、いきなり僕を抱きしめた。


あ。

震えている。


始めて僕は伊織が震えている事に気付いた。


どうしたんだろう、聴いたらまずいかな?

とりあえず僕は伊織を抱きしめ、あやすように背中をさする。


更に伊織はしがみ付くように抱きしめてくる。

「伊織、僕にできる事は?」

「ん……帰ったら言う」

「判った」

僕も伊織を少し強めに抱くと、どちらからともなく分かれた。






「おう、キチーフ。戸隠が忙しそうだったけど大丈夫か?」

「うーん。判んない、

 その内に連絡入ると思うけど……」

「そうか。大変だな、戸隠も……」


「さて、伊織の心配は今は置いておいて、自分達の心配をしようか、武居」

「嫌だ、俺には聞こえない」

「逃げても無駄だよ、諦めよう」

「しかしよ、今、サウジに行っても入れるのか?」

「どうなんだろうね、暴徒といっても一都市だけの話でしょ?

 あ、いや違う……確かあそこって……」

ちょっと思い出す。



「サウジアラビア、首都リャド、サウード王家による絶対君主制の国家とあるがの、お主様」

「うん、ヴラド、うぃき見せてもらっていい?」

「元々、お主様の物じゃろう?」

「うん、アリガト」

僕はうぃきを流し読む。


「あー、やっぱり入国は出来ないんじゃないかな。

 観光ビザは発行されないし、多分ビザ所得に招待状が必要なんだと思う。

 それに直行便も無いから……バーレーンまで行って……」


「なんで、そんなところに行こうとしてるんだ、戸隠は?」

「うーん。仕事?」

「戸隠も謎の仕事してんなぁ」

「あはは……」

地球侵略の片棒を担いでいます、が実は裏で正反対の事をしています、なんて言えないよなぁ。


「それにしても、詳しいな、キチーフ」

「んー、記憶喪失前は色々と外国を回っていたらしいから、もしかしたら覚えている部分があるのかも」

「へぇ、そうなのかよ。

 じゃあ、質問だけどよ、南太平洋に浮かぶ島で南緯18度49分、東経169度8分にある島の名前って知ってるか?」

「エロマンガ島でしょ?正確にはイロマンゴって発音らしいよ?」

「くそ、素で返されたか!」


「じゃあ、オランダの南ホラント州にある国際スケート連盟の創設地は?」

「判らん」

「武居の事だよ?」

「俺の事?余計に判らんぞ。カッコイイなんて地名あるのか?」

「スケベニンゲンだよ」

「エロイ事ばっかり詳しいなキチーフ。ムッツリさんめ。

 どれ、辞書でも見せてもらおうか?

 大切な所にはマーキングしてあるんだろ?」

「テスト勉強しようよー」


「くふふふ」

ヴラドが笑っている。


「どうしたの?」

「いや、すまぬ。武居の言葉が微妙にはまってしまってのぅ」

「俺の?」

「いやいや、確かに主様は、ムッツリかもしれんと思うてのぅ。

 声高に純情路線を唱えては、鬼畜の所業を行う御人じゃ」

「う……」


「ふぅ、俺の友人はロリコンとかムッツリとか、異常性癖者ばかりかよ。やれやれだぜ」

「いや、男色の武居には言われたくないなぁ」

「ほぅ、武居は男色家だったのかや。良い趣味じゃのぅ」

「いえいえ、お代官様、滅相もございません。

 僕が好きなのは正真正銘の不思議っ娘です」


「それってネコミミつけてるようなのかい?」

「おう」

「尖った耳や、角があったり、尻尾に翼、1つ目だったり、ラミアにケンタウロス、スライムとかも?」

「もちろんだぜっ!!気が合うな、キチーフ」


「ズーフィリアは神話の時代からのソルジャードリームだからね。

 ゼウスにオーディーンなんかは2大巨頭じゃない。鹿とか馬とか……」

「詳しいな、さすがムッツリだ」


「ほほぉう……そうか、お主達かや。

 畜生どもと交わり、梅毒をこの世に蔓延(はや)らせたのは……!」

「え?」

「いやいや待って、ヴラド。

 ヤギから梅毒って言う話は俗説で、米国からコロンブス達が持って帰って来たというのが、主流の説だよっ!?」

「そうだぜ、ヴラドちゃん!

 ズーフィリア界に潸然と輝く犬とおばちゃんみたいな名作、金字塔を打ち立てる為ならタブーの1つや2つ……!」

「お主様たちで淫乱バグベアを作っておれば良いじゃろが!?」

「「それは簡便」」



「くふふふ、やはりお主様はムッツリであったな。

 純情路線が聞いて呆れるのじゃ」

「いや、待って、これは武居に乗せられただけでっ!」


「神話って言えば、近親相姦もそうだよな。素晴らしい行いだよな」

「いやいや、それは……」


「だけど、アブラハムの宗教の場合は、イブっていうのはアダムの肋骨だろ?

 という事はだ、あれは近親相姦でなくて高度な自慰だとは思わないか?」

「あ、言われるとそうだね……」


「くふふふ、哲学的な話じゃな?

 それを考えると処女受胎も意味が深いのぅ。

 まさに他人なぞ必要ない“1人で出来るモン”と言っておるのが“隣人を愛せ”か。片腹痛いのぅ」

「その考え方は面白いね、ヴラド」


「だからこそ、あいつらは近親相姦みたいな神事を禁止するんだ」

「神事?」

「神様が喜んでやってるんだから、素晴らしい行いだとは思わないか?」

「うぅーーん。素晴らしいかどうかは置いておくとして、優秀な人間を作るなら近親相姦の方に軍配が上がるね。

 100人の凡人か、99人の奇形児+1人の天才かって言う……」

「1人の天才の為に、99人の犠牲か……」

「その結果、妾の如き天才が生まれるのじゃ」

「自分で言うかい、ヴラド?」

「くふふふ」


「そーいやぁ、キチーフは、ヴラドちゃんと何処であったんだ?」

「元々は遠縁じゃ。

 主様の蔵にある宝を拝借しに来たのが始まりじゃな」

「へぇ」

ヴラドも、さらっと嘘をつくなぁ。




「ふむぅ。ちと訊ねるが、近親相姦はココではタブーなのかや?」

「おぅ、日本ではタブーだぜ」

「日本の法律では、三親等以内の血族との結婚は許可されていないね。

 それでも、外国に比べたら、血族婚に関してはゆるい方だと思うよ」

「ほぅ、片親違いはダメかや」

「昔はバンバンやってたけど、今はダメだね」

「近親相姦って言やぁ……話は変わるが、コゴローの事なんだけどもよ」

「ん?何の話」

何故、近親相姦から新田へと連想が飛んだのか、怖いから聞くのを止めるけど。


「アイツって実は、一卵性双生児でよ」

「え、双子なの?知らなかった」

「おぅ、姉貴の名前が翠恋(すいれん)って言ってな、新田の顔をそのまま女にした感じだ」

「……ん?」

「どうした?」

「いや、いいや。その姉さんがどうしたの?」

「行方不明でな」

「え、行方不明!?」


雲雀の家の様に、家族を疎ましく思っていたり、憎みあっているのでない限りは、家族が消えるのはとても寂しい事だ。

実は他人事ではない。

ジーちゃんは今日も帰って来ていない。

絶賛行方不明中。

最後に見たのは、4月27日だから、もう17日も帰ってきていない。

4日ぐらい家を空ける事は会ったけど、今回は異常だ。

本来なら警察に捜索願を出すべきなんだろうけど、僕は届出を出していない。


もし何かあった場合、警察に祖父の魔窟を漁られるのが嫌だからだ。

あそこには、確実にヤバイ代物が埋まっている事を知ってしまった。


この前、雲雀が使っていたワルサーP99は、日本でライセンス生産されているガス圧式ではなく、普通に9mmパラベラムを使用するタイプだ。

明らかに銃刀法に違反している。

多分、あの部屋には、他にも色々と眠っているに違いない。






僕は武居を見る。

何時に無く真面目な顔をしている。


「いつから行方不明なの?」

「もう2年ぐらい前かな……

 すまんが、少しだけ笑わずに聞いてくれ」

僕は相槌を打つ事で肯定を示す。


「ふむ、真面目な話の様じゃな。

 席を外した方が良いかや?」

ヴラドが笑顔で言ってくる。


「いや、ヴラドさんも聞いて欲しい。

 お願いしたい事ってのは、暇な時でいいから、人探しを手伝って欲しいという事なんだ」

「そうか、それなら……」

「ただ、さらわれた状況というのが、ちょっと異常でさ」

「ふむ、オカルトかや?」

「おう。もともと俺がオカルトにハマるキッカケでもあってさ」

「へぇ、そうなんだ。

 笑う事は無いと思うけど、話してみてくれない?」

おお!

なんだか友達っぽいイベントだ。

誠心誠意あたらせて貰おう。



(ぶつかり合い深まる友情、そして目覚める真実の愛、かや?)

茶化さないで。

それにね、ヴラド、そんなにライバル増やしたいの?

(くふふ、お主様が男色に走るわけなかろう?)

……。


(ん?どうしたのじゃ?)

うんにゃ、なんでも。


自分の身体を見て言って欲しいなぁ……。

その突っ込みは、心の奥底にしまいこむ。

睾丸が無いから違うと言っても、地球では少年として認識されてしまう身体だからなぁ。




「今から3年ぐらい前の話なんだけどな……たしか、中学校1年に上がる前の春休みだ。

 その日は、俺とコゴローと翠恋(すいれん)の3人で出かけてたんだ……」

少し遠い目をしながら、武居は昔を語る。


「翠恋は変わった奴でな、昔からエア友達がいたんだよ」

「そりゃ、痛いね」

「友達がいないとか言う事は、無かったんだぜ?

 仲が良かったのは、俺や偽・委員長だったが、顔でよって来る奴は多かったしな」

「うらやましいぞ。くそう」

「俺はハーレムを作れたキチーフの方が、うらやましいぜ」

「くふふふ」


「まぁ、そんなワケでな、時々の奇行を除けば、概ね、エア友達なんか要らない心理状態のはずだったんだけどな……」

「少し良いかや?」

「なんだい、ヴラドちゃん」

「エア友達というのは、脳内友達と考えて良いかや?」

「それであっていると思うぜ?

 前に翠恋にエア友達の事を聞いたら、人間に発音できない名前なので、キーちゃんって呼んでるって言っていたしな。

 だから姿とか判んないけど、人間でないのは確かだよって事も言っていた」

「思考パターンも違っていたのかのぅ……」

「そりゃまた、嫌な話だなぁ……まさかイースの偉大なる人達じゃないだろうね?」

「クトゥルーネタは判らんぜ?話を続けるな」

「ごめん」


「今思えば、翠恋はチャネラーだったのかもしれんが、あの日は、何が何でもハイキング行くって言いだしてな。

 それで俺とコゴローは、簡単に荷物をまとめて出かける事にしたんだ」

「うん」


武居の話してくれた事を要約すると、新田の双子のお姉さんが、キーちゃんという謎のエア友達に言われて、ハイキングに出かける事にしたらしい。

理由は不明。

何処の山に登ったのかも、判らないらしい。


「俺とコゴローが空手をやっていたっての知ってるか?」

「いや、武居は知っているけど……新田はなんとなくぐらいしか」

「元々は、体力馬鹿の翠恋についていく為に、始めた事でな」

「……え?」

「信じられんかもしれんが、翠恋は運動に関してだけは、ずば抜けていてなぁ。

 コゴローと出合ったのが小学3年の頃なんだけど、最初は喧嘩からでな」

「へー」

あんなに仲良さそうなのに。


あ、ティンときた。

「さっきヴラドが言っていた“ぶつかり合い深まる友情、そして目覚める真実の愛”かっ!」

「へ?そんな事、言っていたか?」

「今朝の話じゃよ、すまんの?先を続けてくれ」


そっか心話でやっていたんだったっけ。

僕はヴラドに謝罪とお礼の心話を入れておく。


少し脱線した感じだが、武居の話は続いている。

新田の姉の翠恋という人物が、並外れた運動能力の持主だという事を、これでもかと語る。

組み手をやって勝てた事が無い、ハンデ付きで走っても常に抜かれる、腕相撲で負ける、ジャンプで負ける、泳いでも負ける、ともかく負ける、いつでも負ける、etc。


(愛じゃのぅ……)

うん。愛が溢れています。


一通り翠恋さんの賛辞が終わると、話はハイキングに戻る。

その時も、翠恋さんが新田と武居を引き離して、楽々と登っていたそうだ。

それもどうやら、山道から離れた前人未到の地を。


新田と武居が、森をかき分け山頂付近の広場に着いた時には、翠恋さんの前に白いバンと4人の男達が居たらしい。

皆、どちらかというと、ちゃらけた格好で雰囲気的にも、ナンパをしているような感じの外人だったという。


翠恋の性格からして、あしらっても、しつこく引き下がる場合は、実力行使だと判っていた。

そこで2人は、すぐにでも加勢が出来るようにと、その場で息を整えてから、出て行く事にしたらしい。


「そんなに凄かったんだ?」

「おう、立てば向日葵(ひまわり)、座れば蒲公英(たんぽぽ)、歩く姿は(すみれ)の花だぜ!」

「なんだい、その力強いイメージは?」

「くふふふ、まるで雲雀みたいな奴じゃのぅ」


「雲雀?」

「あ、うん。僕の婚約s」

「主様の奴隷じゃ」

「そりゃスゲェ」

「えと……」

「奴隷じゃ。妻などと言っておるが、自称じゃ。

 何の法的権力も無いのじゃ」

「さすがハーレムだぜ」


「は、話を続けて?武居」

「そうだな、そっから先なんだけどもよ。少し寄り道するぜ」

「?」

「喧嘩のセオリーって奴でな、少数で多数を相手取る場合ってのh」

「1対1に持ち込むという話かや?」

「お、ヴラドちゃん判ってるねぇ」


「以前、主様がそれをやって、大怪我で済ませる事ができたのでのぅ。

 主様の機転が無ければ、既に死んでおったところじゃ」

「おいおい、キチーフ、お前が殴りこみに参加していたなんて聞いてないぜ?」

「え?いや、あははは……、ヴラド流の冗句(ジョーク)だよ冗句(ジョーク)



「一番安全と思っておった場所が一番危険じゃった。痛恨のミスじゃ」

「一番安全か……そうだな、実際に翠恋がさらわれた時がそれだったよ……」

うぁ、ヴラドに続いて、武居までテンションが下がっている!





「多勢に無勢な時の喧嘩のセオリーってのは、どうやって1対1に持ち込むかが問題なんだ。

 達人になれば成る程、コレが上手いと言っても過言じゃないぜ。

 そういった意味では、翠恋は世慣れた喧嘩師、天性のストリートファイターでなぁ……

 一瞬の隙をついて1対1の状態を作り出し千切っては投げ千切っては投げ、立てばホタテアオイ、座ればラフレシア、歩く姿はヒガンバナだぜ!」

「なんだい、その繁殖力とか色々と強そうな花は……」

何気に花に詳しいな。武居。

以後、延々と翠恋さんの凄さを語っているうちにテンションが回復したらしい。




「とまぁ、そんワケで、すぐに喧嘩になると思っていたんだよ、俺もコゴローも」

「と、言う事はならなかったんじゃな?」

「ああ」

武居は悔しそうに唇を噛む。


「油断があったのは確かだ。

 翠恋が負けるはずは無いと思っていたし、向こうから先に手を出させれば、こっちにも大義名分が立つと思っていた」

「そんなに相手は強かったんだ」ごく

どんな相手だよ。

武居が敵わない様な奴を、押さえつけるだけの実力って……。


「あ、よくあるクロロホルムを嗅がせるとかかな?」

「違う……」

「?」



「催眠術だよ!!」




「は?」


もしかしてエロ展開?

いやいや。

「ゴメン。武居、もう一度」


「笑う前に聞け!

 催眠術としか言いようが無いんだ!」

「あ……うん」

(お主様、催眠術とて、そう馬鹿にしたものではないぞ?

 地球でも、低レベルな催眠術ならば、世界法則[リアリティ]が許容するじゃろう?)


「悪かった。もう少し詳しく、その場の状況を教えて?」

「おぅ。とはいってもな……」


その時の事件の様子を、武居は思い出しながら語る。


男達は4人で、翠恋を囲む様に話しかけていたらしい。

翠恋の我慢が限界に近づいていると感じた2人が、森から出て加勢しようとした時に、事件が起こった。

しな垂れかかる様に男の胸に、翠恋が倒れこんだのだ。

異常を察知した新田と武居は、すぐに森を飛び出すが、2人の男に立ちふさがれてしまう。


「話の途中ゴメン、質問」

「うん?なんだ」


「1点目、倒れたのは判ったけど、薬物とか使った形跡とかはあったの?」

「いや、ない。それに気絶して倒れたわけじゃないんだ。

 どっちかって言うと立っていられなくなったみたいな感じか」


「2点目、男達の姿って?」

「日本人じゃないな。英語じゃない言葉を話していた。

 肌は浅黒い、彫りの深い顔立ちだ」

「うーん。中国人じゃないなぁ、ここら辺だとブラジル、中東方面なのかなぁ。

 もう少しヒントになりそうなのは?」

「あー、ヒントかどうか判らないが、雰囲気というか肌の色は、ドネルケバブの人に似ているぞ」

「ドネルケバブ……あの屋台か……」

うわ。嫌な事を思い出させてくれる。





2人が邪魔されている間に、翠恋は男に支えられ、フラフラとだが立ち上がっていた。

武居が言うには、翠恋らしくない仕草だそうだ。


「俺とコゴローが呼びかけても、反応が無いんだ。

 最初は薬をかがされたと思っていたから、急いで近づいて助けようとしたんだよ。

 ところが近づこうにも、近づけれなくてな」

「?」


武居は、はぁと溜息を1つ。

「相手が拳銃持ちだったんだよ。

 ……情けないけどブルッちまってなぁ」

拳銃かぁ。

じゃあ、しょうがないかもね。


だけど

「その拳銃って、どんな拳銃か判る?

 形とか……おぼえている?」

「オートぐらいしか判らんなぁ……」

「男達の銃は、みんな同じだった?色とかは?」

「いや、それは無かった、黒いのとか白いのとか色々だったぜ?

 見せびらかす様にちらつかせるから、余計に目がいっちまってよ」

「ふーん、そっか……

 ありがとう、話を続けて?」

「ああ、すまないな。やっぱりキチーフに話してみてよかったと思うよ。

 俺じゃあ拳銃から手がかりを探るなんて方法、思いつかないぜ、さすがヤクザだ」

「人の家まで来て、まだヤクザ者というのか、君は」

「冗談だ」



「ちなみに今ので判ったのは、相手が軍や国家機関でない確率が上がったぐらいだよ?」

「それでもだ。何1つ手がかりが無いんだ。

 どんな事でも良いから、取っ掛かりが欲しいんだよ」

「そっか。手がかりになるか判らないけど、中東の人の可能性は高いかもね」

「え?そうか?」

「うん、拳銃を見せびらかす習性っていうのは、トルコ辺りの人には多いからね。

 それに、トルコは色々と拳銃の種類も多いから、もしかしたら……って思ったんだ」

「おお!そうなのか!?」

「確証が無いよ。あくまでも方向性の1つとしてだよ。

 しょせん素人がしている探偵の真似事なんだ」

「それでもいいぜ」



「さて話を続けるな」

「ああ、ゴメン。また話の腰を折っていたね」

「いや。構わないぜ。え~~っと、そうだ、立ち上がったところまでだったな」

「うん」


「それでだな、フラフラと立ち上がった翠恋が言ったんだ“私は女王になる”って」

「女王?」

「おかしいだろ、行き成りだぜ?」

「まぁ、確かにネェ。脅されて言った可能性は?」

「あの状態ではないと思うぜ?

 コゴローにおっさん達が拳銃を向けていたから、それを助ける為かもしれないが……

 雰囲気とか目がよ、普通じゃないって言うか……」


「催眠術かぁ……」


何というか、ドネルケバブ屋、トルコ人と聞いて、その次に女王ですか?

嫌でも話が1本化されていってしまう。


僕の頭の奥底にこびりついた記憶が蘇る。


ヴラドが大怪我をした日。

僕は異世界・皇國代理天に行き、五十鈴さんと話をした。


そこでテクノネレイスという蟲達が支配する異世界、コクーン:マロウ101とキハ1011の話を聞いた。

その世界の不滅存在[イモータル]は“異世界の知性体に女王候補となる幼生体を寄生させる”らしい。

伊織が不滅存在[イモータル]の事を知らなかったので、機密事項に近い内容だったんだと思う。


テクノネレイスは、女王候補体を侵略世界の知性体に寄生させ、成長を待つらしい。

成長した段階で、宿主と融合した寄生体は、帰巣本能に従ってフェロモンを撒き散らし、異世界の雄型テクノネレイスを誘うという事だ。

判らないのが、これのどこが不滅存在[イモータル]なのかだ。


まさかとは思うけど……。

(転生か精神寄生体か……と言う事じゃろうな。

 最初に女王候補体を寄生させて、寄生しやすいように身体を改造していくのじゃろうな)

ああ、候補体が器を整えるって事か。


はぁ。

何の証拠もないから絶対とはいえないなぁ。

話が出来すぎているぐらいだ。

でも知らなければ、絶対に判るはずのない状況だ。

できれば間違っていて欲しい。


それに、もしも僕の推測が当たったとして、武居に異世界の侵略の話をして信じるだろうか?



「キチーフ」

「ん?」

「催眠術っての以外にも、1つ手がかりがあるんだ」

「それは?」

「あー、信じられんかもしれんが……」

「ん?」


「血が青いんだ」


「えっ!?」

(確証じゃな)


いっきに確率が高くなった。

という事は、翠恋さんはコクーン:キハ1011の不滅存在[イモータル]として連れ去られたというか、精神寄生されたとみるべきか?



「いや、マジなんだって。

 信じられんのは判っているが、それでも俺は見たんだよ。

 たまたまコゴローが撃った拳銃が、男の1人の腹に当たってな……」

「あ、ああ、うん」



「どー考えてもモスマンだろ!」



「は?」



「知らねーのかよ。モスマンって言うのはな、1966年に米国ウェストバージニア州に現れたUMA(ユーマ)でな。

 あ、UMA(ユーマ)っていうのは未確認動物の略な」

「お、おう」

「世界各地で目撃されるフライング・ヒューマノイドと呼ばれるUMA(ユーマ)の一種だ。

 身長は2m程で、特徴は赤い眼と、腕の代わりに羽根がある事、時速100kを超える飛行速度とキィキィと鳴く事だ」

「えぇっと……」

「何だ?キチーフ」


「すまないけど、トルコ人 → モスマンへの移行する過程が判らない」

「血が青い → 人間以外 → カニ、エビ、ムシ → モスマン だろ」

途中まで合ってるのが何気に嫌だなぁ。

だけど、身長は2m程で、特徴は赤い眼と、腕の代わりに羽根がある事、飛行速度とキィキィと鳴くが、全部綺麗さっぱり無くなっているんだけど?

特徴が全て一致しないんだけど?



あえて突っ込む事を控えている僕に被せるように武居は言う。


「それでだ、このモスマンが最近になって世界各地で目撃されているんだよ!!

 モスマン現れる所に災いあり、都市伝説の通りだ!」

「ナ、ナンダッテー」

「いや、マジでマジで、一番最初に渡したデータあったろ。

 特に中国、中東辺りでの目撃例が多いんだ」

(中東って言うと、サウジ、イラン、トルコの辺りかや……?)

「ああ、うん」

「それに各国での目撃証言とか集めておいたんだが……

 いろいろなタイプがあるみたいでなぁ」

うん?

あれ、もしかして。

「ねえ。今言っているモスマンっては、=フライング・ヒューマノイドと考えて良い訳かい?

 言葉の移り代わりがあった?」

「ん?あぁ、そうだ。世界的にもモスマンの方が有名だしなぁ。

 これもあれだ、言葉が毎日、進化し続けている証だ。

 やっぱり明日にゃあ、俺の言った言葉が現代国語の教科書に載ってるぜ?間違いない」


「モスマンはないよ~~」



「じゃあ、お前は何だと思うんだ?」


「え?」


「ココに来る時、青いジムニーに乗せてもらったろ?

 駐車場で下りた時にな、とある車が俺の目に入ったんだよ」

「??」

「かなり風変わりな車でな、いくら俺でも見間違うはずはない」


車、くるま?

「――――あっ!」


「駅前で不発弾の爆発があった日にな、俺はドネルケバブ屋によって、あそこの店員さんに色々と質問しようと思っていたんだが……」

「……」

「俺が帰る頃には、すでにあの事件で、駅前は酷い有様だ。

 その後も、いつか来るだろうと思っていたが、結局、あそこの店員さんには何も聴けないまま、今日に至っている」


「まぁ、そんなこんなで、手がかりも無くなっちまってなぁ。

 ところがだ……それで、なんで、ドネルケバブの屋台が、キチーフの家にあるのかと思ってな?」



「う……」

しまった。隠すの忘れていた……。


(お主様、話しても良いのではないかのぅ。

 案外、うまくいくかもしれんぞ?

 少なくとも敵にはなるまい?)



「なぁ、キチーフ。

 陰謀論なんてのは妄想と同意語だからあまり好きじゃないんだが……さすがに今回は色々とおかしいと思っている。

 お前の家での天使降臨に始まって、あるはずの無い不発弾に、直後にお前の住む村でのUMA騒ぎだ」

「うぅ」


「それにな、あの駅前の事件の時にもな、モスマンの報告例があるんだよ」

「ええっ!?」

「青い液体を撒き散らして飛んでる、手負いのモスマンを、携帯で撮った奴がいるんだ」


そう言って、武居は僕にその動画を見せる。

逃走しようとした所を、五十鈴さんがモノウィップで叩き落した場面だ。

僕と五十鈴さんが移っているのは一瞬だけだった。


「これでも黄金週間とテスト前1週間を調査にかけたんだぜ?

 色々と似た事例を探してみたり、封鎖されているお前の村近辺での情報収集とか……」


「うぅ」

やばい、ココまで証拠固めを?


(お主様……秘密にしておきたいのは判るがのぅ。

 この者は、マスコミや警察ではないのじゃろ?)


でも、どこから情報が漏れるか判らないよ。

もしもばれたら、少なくとも魔狼による惨殺事件は、僕達が加害者として祭り上げられる。

法律として、現実として説明できないから、警察だって、検察側だって捏造をする。

犯人が必要だからね。


マスコミだって、騒動が沈下しかかっているから新しい燃料、血祭りにあげる対象を欲しがっているよ。

そうなれば、駅前の事件だって……。





「キチーフ!!何か知っている事、気づいた事、何でも良い!!

 教えてくれ。俺は翠恋を助けたいんだ!」

土下座。

日本人の心。

謝罪以外にも使えます。




「くっ」


逡巡したのはほんの僅かだ。

後戻りは出来ないよ。

毒を食う以上、皿まで食ってもらうよ。

共犯者になるんだよ。

等々、僕はとりあえず、一通りの事は言った。

だが、武居の答えも、判っている、遊びじゃない、真剣なんだ、等だった。




「判った……ならば、お前のその気持ち確かめさせてもらうぞ!

 誰か誰かある!!百日行の準備をいたせっ!」


「なんだよ。そのネタ」

「いやぁ……なんとなく。

 ほら王道漫画とかだと、主人公の言う事を聞くには必ず試練を受けさせてさ、逆の場合、主人公は誰かの言葉を信じるのに試練とか与えないのが面白くなくてさ」

「ひねくれてんなぁ、キチーフ。

 お約束だからしかたないだろう?

 それよりも誤魔化さないでくれ」


ふぅ。

「判った」




「くどい様だけど、ホントにいいかい?

 話す以上は、僕達自身の身の安全もかかっているから、気軽に他人に喋って欲しくない。

 だから情報収集は今以上にやりづらくなるよ?」

「判った」


「主様の考えを見るに警察とマスコミ、自衛隊は、現時点では敵対する可能性の高い勢力に属するのじゃ。

 もし情報が漏洩すれば、どうなるか判らんから、お主に喋らせない様にする為、制約の魔法【ギアス】をかけるが良いかの?」

「魔法っ!!良く判らんが、不思議体験なら喜んで!」

「この魔法はのぅ、幾つかの事柄を禁止する魔法じゃ。

 禁止事項に背いた場合は、死ぬ事になるが本当に良いかや?

 それほどまでにして、知りたい情報かや?」

「おう!」




ヴラド、死ぬのは、いささか、やりすぎの様な気もするけど……。

(制約の魔法【ギアス】とは言ってものぅ。

 地球の世界法則[リアリティ]下では、たいした力を発揮できんじゃろ。

 せいぜいがマスコミを前に、真実を話そうとして文字通り“胸が痛んだ”ぐらいじゃろうな)


うわぁ。

それはそれで役に立たないなぁ。


(あくまでも脅しが目的じゃ)




ヴラドは制約の魔法【ギアス】をかける。

『誰であろうと、ココで聞いた事を知らせてはならない、感付かれてはならない』という内容だ。

かなり厳しいが、このレベルぐらいでやらないと、地球ではたいした効力は発揮しないんなら仕方が無い。



「撮り合えず、今から話す事を信じて欲しいよ」


僕はそもそもの発端を語りだす。

ヴラドの事、八代家の事、異界門[ゲイト] や世界法則[リアリティ]、駅前の事件の事、五十鈴さんから聞いた事、全てだ。

話す以上は状況を判って貰いたいし、こっちも手伝って欲しい。

ラパ・ヌイが攻めてくる可能性は減った。

でも、もしかしたらラパ・ヌイ以上に厄介なのが、既に地球に入り込んでいる。


お隣さんのニューエルサレム、侵入した魔狼、経済侵略真っ最中の皇國代理天、得体のそれないコクーン:キハ1011……。 


1時間、3時間、6時間。

時間は過ぎ去る。

だが、テスト勉強なんてそっちのけで話す。

疑問には答え、判らない事はないかと訊ねる。

信じてもらう為に、魔法も異界門[ゲイト] も披露する。






「大冒険だな、キチーフ」

「ありがとう、信じてもらえて何より」


あっさりと受け入れてくれて何よりだ。


「正直に言うと、行方不明の手がかりが、今までで一番進展したぜ。

 敵の事も、理由も、目的も判った」

「あくまでも皇國代理天の話だよ。

 まだ確証には至っていないからね?」

「それでもだよ!」

「まぁ武居が良いなら僕は構わないけど……」





「おう、それじゃあ頭下げついでに、もう1つ謝っておくぜ」

「謝る?」

「おぅ、実はさぁ……」

「うん」

「あの学校に入って、一番最初にキチーフに話しかけたのって偶然じゃなくてさ」

「え?」


「お前、以前テレビに出た時にさぁ、飛行機事故なのに、ハイジャック犯の事を語っていたのがあっただろう?」

「うん」

嫌な思い出だ。

吐き気をこらえる。


記憶喪失の中でも、コレだけはしっかりと覚えている。ハイジャック犯の事。

だけど、世論はそんな事より、人肉喰らい[マンイーター]の事を知りたがっていた。

日本人の考えなしの集団ヒステリーは、今に始まった事じゃないけど。

どれだけ食ったんだ人殺し、どんな味がしたんだ人殺し、おいしかったか人殺し、罪悪感は無いのか人殺し、等の質問が浴びせられる。

僕の語りたい事、言った事は、面白おかしくなる様に編集されていたらしい。


祖父の家の黒電話は、半年ぐらい鳴り続けていた。

全て内容は、何処の誰とも知らない人からの罵詈雑言だ。

もしかして祖母はノイローゼか胃潰瘍で亡くなったのだろうか?




閑話休題。


「キチーフがハイジャック犯の事を、翼の生えた悪魔とか、言っていたのを思い出してな。

 それで、当時の事を知っていたら詳しく教えてもらおうと近づいたんだよ」

「さいで」

「そしたら、あまりしっかりと覚えていないとか、ダサい事を言うから、コゴローが怒っちゃって……」

「え?」

「イッサの見立てはいつも通り使えない!オカルトなんてありはしない!あれは集団幻覚だよってなぁ」

「はぁ……そりゃあ、ゴメン」

「いや、そこはお主様の謝る所なのかや?」


「まぁ、そんな訳だ。

 下心があったわけだが、今はそんな事は関係なく思っている、すまん」


「まぁ、別にそれは構わないよ?

 話しかけてさえくれない状況を打破してもらえたのは、とっても有り難いんだ。

 僕の方からお礼を言うぐらいだよ。

 ありがとう。

 あの時話しかけてくれなかったら、まだ僕はクラスに馴染めていなかったよ」

まぁ、どんな理由であれ、僕みたいなのと友達しようというのは、珍しい人なんだ。

大事にしないと。






「お、そうそう、それから……一応、翠恋の顔写真だ。

 マジでコゴローの女版って感じだぞ?」


武居は僕に翠恋さんの写真を見せる。

「へぇ、確かに美形だね、2人ともっていうか、そっくりだ」


本当に新田そっくりだ。

新田はイケメンだけど、どちらかというと可愛い顔なんだと、再認識する。

隣を見れば、それが間違いの無い感想だと、思わず納得してしまうような美少女が写っているからだ。


新田と違う部分は、左目斜め下の泣きホクロと……眼の色だ。

碧玉の様な深い緑色の……吸い込まれそうな色だ。


ん……でも、これは……?

何か引っ掛かっているんだけど、何だ?


性別……か?

そうだ。


「一卵性双生児で、男と女の双子って、ありえないんじゃ……」

「ん?そうなのか。だけど、俺はそう聞いたぜ?」


丁度、ノートPCがあるので検索をかける。

「ほら、コレ見てよ……って、事例あるね」

「どれ?」

僕は一卵性双生児で、男と女の双子の事例を見せる。

世界でも7つか8つぐらいしか事例はないみたいだ。

自身に染色体欠落がある場合や、両親に染色体異常がある場合などに起こるのが原因らしい。


「世の中には絶対って無いんだネェ。へぇへぇへぇ~」

「ふふん。どぅだ、キチーフ!」

「なんで武居が偉そうなのさ」



それと目の色か。

「昔から翠恋さんの眼の色って、この色なの?」

「いや、俺は知らないなぁ……」

「そっか」


緑色の眼なんて、雲雀ぐらいだと思っていたけど、居るには居るんだなぁ。






結局、その日はテスト勉強なんて出来なかった。


御飯時には、リュネットさんから電話があって、グレイブさんと2人で夕御飯を食べて帰るという事だった。

何ヶ所かハシゴして帰るつもりらしい。

ハンバーガーとか牛丼とかラーメンとか、あまりデートコースでは馴染みなさそうな食事だけどね。



珍しく3人だけの食事だ。

つけっ放しのテレビからは世界情勢のニュースが流れてくる。



ーー2008年のチベット騒乱以来、小規模な暴動の絶えなかったチベット自治区ですが、今月13日再びラサ市において死者56名を超える、大規模な暴動が行なわれました。


「こりゃすげぇな。モスマン効果だ」

「それは違うと思うよ」




ーー暴動はチベット自治区各地に飛び火し……

ーーダライ・ラマ、チベット亡命政府はこの暴動とは一切関係ない事を……


「そーいやーさ、ダライ・ラマって転生するんだぜ?知っていたか」

「いや、そんな眉唾な話……」

「ふむぅ、そやつが地球の不滅存在[イモータル]かや?」

「どーなんだろうな。そんな奴らゴロゴロいるからなぁ」

「へ?うそっ!?」

「嘘なもんかよ。八尾比丘尼に富士山の薬、トキジクノカクとか、マーメイドの肉、中国の仙人思想にサンジェルマン伯爵、ウトナピシュティム、ティターン、etc」

うわ、語り始めた。


「多いのぅ……」

「どれが真実かなんてのは判らないがな」


ヴラドと武居はオカルトの事で話し始めた。

ちょっと寂しい。




悔しいから、同じ寂しい思いをしているであろう、雲雀に心話を繋げる。

忙しくなければいいんだけど……。



……。



…………。



もしもーーっし。雲雀ぃ~~。



…………。



へんじがない、ただのしかとのようだ。


って真面目に繋がらない。

どうなってんだ?


昨日のお休みの挨拶時には何もなかったんだけど……。


あ。


まさか……。

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