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第15話  人生の終着点「回想編」

今回はロキが何をやってたのか(やらかしてたのか)の種明かしとしての回想編



穴の先は薄暗い地下牢になっていた

その地下牢にロキが居て理解できない事を言い出した


シヅキは意識を手放したかった。

この状況があまりにも意味不明すぎたのだ。

だが、やらなければいけないことがある。


「……ロキ」


「なんだい?」


「……いくつか質問していい?」


「ご自由に」


「まず、なんで帰ってこなかったの?」


「出られなかったから」


「…人生の終着点ってなに?」


「適当」


「……何でそんな変なテンションなの?」


「暇だから」


……頭が痛い


「し、シヅキさま、お気を確かに」


頭を抱えてしまったシヅキをアリアが背中をさする


「……とりあえず何があったか全部話して」


「別にいいけどちょっと長くなるよ?いい?」


「話して」


「わかったよ……そうだなあ

僕はトイレに用をたしてカードの仕掛けをした後……」


ーーーーーーーーーーー


「よし、当主の部屋に行こう」


ロキはメイドから誘導尋問で聞き出した部屋に行くことにした


「当主の部屋何だからなにかあるでしょ、っとここかな?」


このお城の如く豪邸な家には珍しくもはやありえない程に質素の扉に着いた


「……本当にここか?やっぱり何かありそうだな」


ガチャ


ロキがドアノブに手を掛けるが開かない鍵がかかっている


「……」


ほんの一瞬だけ、ロキの視線が廊下の奥を確認した


誰もいない


確認するとロキは手に水を集め、鍵穴に流し込む。

凍結――形成――回す。


ガチャリ


「よし」


当然のように頷いているが完全に泥棒の技術である


キイー


質素な中と家具だけがある


「……中も質素だなあ…さてと始めるか」


ロキは辺りをぐるぐる回って何かないかを探しある場所で立ち止まった


「……ここかな?」


ロキが立ち止まったのは一見ただの壁だがよく見ると埃の積もる方が違うよく見るとそこにいくつも足跡が密集しているのが分かる

しかし暗いのもあって言われなければ気づかない程でしかない


コンコン


トントン


同じ壁を叩いてみたが明らかに音が違う


ニヤリとロキは笑った


「ビンゴ」


――隠し通路だ


だがここからが問題だ

すなわちどうやって中に入るか


「よし、壊そう」


(この隠し通路の先にに何か不味いものがあれば

シヅキ連れてついでにこの家の高そうなものかっぱらってトンズラこけばいい)


――だが何もなかったら?


(別に何もなかった場合はアリアを襲った暗殺者がやったって事にすればいい

それでもバレたら土下座して謝れば実の娘の命の恩人何だから許してくれるだろ)


そんな最低な覚悟を胸に出入り口のドアに無音の魔術結界を掛けて手に氷を纏って全力でぶん殴った


ドガアアン


壁は粉々に砕け、

木片と石片が部屋中に飛び散った


本棚は倒れ、机は割れ、床には氷の破片が散乱している


無音の結界のおかげで外に音は漏れなかったが、

当主の部屋は完全に大惨事になっていた


「よし、さー行こ行こ」


スタスタ


「これは…書斎?」


そこには数十冊ぐらいの本がある小さな書斎があった


ロキはその本を一つ手に取った


「うわあこれボロボロで使い古されてるなあ

何時のだこれ、高値で売れそう」


主に歴史的な価値で


「とりあえずここにある本読んでみるかあ」


――三十分後


「うーんここらの本大方見てみたけど存外普通の本ばっかだなあ」


魂や意識に関する考察や科学書しかない

それ以外のジャンルが一切なかった


「まいっかこれもやっとこ」


何やら魔法陣を作り出し本に何かを付与した


「……あとはあれかな」


チラリと雑多に置いてある本とはどう見ても違う

ボロボロに使い古されだが神秘的なオーラを纏った額縁に飾られている本だが

何だか懐かしい力を感じる


「なんかヤバそうだから後回しにしてたけど

この本以外粗方見ちゃったからなあ」


額縁に手を取り本を外す

いとも簡単にその本は外れてロキの手に渡った


「さて、何が書いてあるのな?」


そうしてその本を開く


――だが開けない


「は?」


力を込めても別の方法から力を入れても魔力を流してみてもどうやっても開かない


「……これってもしかして特別な人間にしか開けられないとか?めんどくさ!」


ロキがどうしようか途方にくれたその時


――瞬間、背筋に冷たい殺気が走った


瞬間投げナイフがロキ目掛けて飛んできた


「つ!?」


ロキは一瞬で手に水を集め凍結手のひらサイズの氷を作り

タイミングを合わせて投げナイフに氷を当て弾き返し一気に後ろに下がった


コッコッコッ


「……これはこれは手厚い歓迎で」


見えたのは全身黒尽くめでカラスのような仮面を被った男っだった


(なるほど、なるほど多分さっき僕が侵入してきたとこに罠があったんだな?)


すなわち侵入した者がいたら誰かに知らせ刺客を派遣するなどの物が


(……認識阻害の魔術を賭けてるのか見え方がよくわからないな)


しかし何故突然ここに来たのか


「――それに触れるな」


威圧するようにロキにそう言い放った


「へえ?第一声がそれってことはやっぱこれ重要な奴なんだ?」


対してロキはニヤニヤと笑いながらそう返した


さっき取った本を鞄に入れた


それを見た瞬間黒尽くめの男は怒気を放ち言い放った


「それをだして下に置け」


「断ったら?」


「――お前の友人がいる部屋にある爆弾で爆破する」


黒尽くめの男はそんな事を言い出した


ロキは思考を巡らせる


(ハッタリか?)


結論は――


(判断不能)


情報が足りない


今シヅキ達がいるところを爆破しないのは?


あちら側にも事情がありあまり使いたくないから使ってないだけかもしれない


爆弾自体はある可能性は否定できない


(それに目の前の男は焦っていない…いや、焦っているそぶりが全くない

動きも呼吸も一定。もしハッタリなら、もっと必死に止めるはずだ)


――つまり


(爆弾が仕掛けられている可能性は十分ある)


ここでハッタリと決めつけるのは――


愚策だ


ロキは一度だけ目を閉じた


そして、

開いた時には――


いつもの笑みが戻っていた


(――なら、やることは一つ)


情報を引き出す


ロキはゆっくりと息を吐いた


「……お前アリアを襲った暗殺者の仲間か?」


「質問に答える気はない」


「なるほど否定しないんだね」


「……」


「このまま僕が逃げ出すか君を倒そうとしたら爆破するのかい?」


「質問に答える気はないと言った筈だ」


「いいや、答えてもらうよ?

僕には君の言葉がハッタリかどうか確認しなきゃならない

答えなかったらハッタリだと断定してこの本持ってこのまま逃げ出す気だ

それは君も困るんだろ?」


「ちっ」


黒尽くめの男は煩わしそうに舌打ちした


「いいだろう質問してみろ」


「……あの時わざわざ暗殺者を馬車の御者として活動させるって回りくどい暗殺方法を取ったのに何でいきなり爆弾による爆破という乱暴な手段を取るんだ?」


「……取りたくはない

揉み消すのに不都合が生じるしな

暗殺の方がずっと割合がいいから

暗殺を狙ったがお前らが邪魔したせいで多少乱暴にでも死体を回収するしかなかったんだよ

魔物に襲われて食われた用に偽装する予定だった」


(……なるほど

こいつらが狙ってるのはアリアの伯爵家の後継者としての立場じゃなくてアリア自身か

しかも死体でも問題ないのか)


「……欲しいのはアリアが消えることか?」


「違う

あんな小娘自体はどうでもいい

生きている状態より死んでいる状態の方がいろいろ都合がいいだけだ

多少肉片が残っていれば何一つ問題はない

出来れば諍いが少ない暗殺方法を取りたかっただけでしかない」


(まいったなあ

爆弾が仕込まれてるのは本当にハッタリじゃなさそうだ)


「ここまで言うとお前なら爆弾が仕込まれてるのはハッタリではないと気づくだろう」


「さあ、まだわからないなあ」


「とぼけるな

ここまで頭が回るのなら理解できない筈がない」


「最後に一つ質問、というか確認があるんだけど」


「……なんだ?」


「僕がここまで来たから爆弾という交渉材料を無理矢理だした

つまり僕が消えたと確信すれば爆弾を使う意味はないということだよね?」


「……その通りだ」


そうその通りだ


そもそも爆弾で爆破という証拠が残りすぎるものでは使いたくない筈なのだ


あくまで保険みたいなもので

そもそも暗殺で殺すつもりだった

でもロキが隠し部屋に潜入してしまっていろいろ回収してしまった


そのためロキの相棒のシヅキがいる部屋を爆破するって渋々脅迫材料にだしただけで


ロキが消えたと男が確信すれば

爆弾で爆破何て乱暴な手段を取る必要性もなくなるってことだ


「いいよ、君の罠に嵌ってやる」


ロキは思いっきり邪悪に笑った


「最初っからそうすればいいんだ」


「まずは鞄に入れてた本を取り出し下に置け

そしてゆっくりと5歩後ろに下がって3歩右に行け」


ロキは指示通りに行動する


「そこで止まれ背筋を伸ばしてな」


黒尽くめの男は細かく指示をだし何もない場所に止まらせる


「僕をどうやって殺すつもりなの?」


「牢獄に閉じ込めて餓死させる

外傷を残したくないからな

餓死した後でそこらの土に埋めて墓を作れば疑われない」


「なるほどねえ」


ダン


その時黒尽くめの男は壁にあった隠しスイッチを勢いよく押した


パカ


ロキの足元に穴が現れ落下する


黒尽くめの男がもう一度スイッチを押すと穴が閉じた


キイー


パタリ


「……落ちたな」


黒尽くめの男はロキが置いた本を手に取る

がその本は黒尽くめの男が要求した本とは全くの別物だった


「は?」


その本は黒尽くめの男が要求した本と同じく使い古されボロボロで薄暗かった為に気づけなかった

最初のときロキが盗んでいたのだ


ボウ


ボワアアア


急に辺りの本が一気に燃え出した


「!!??」


黒尽くめの男は驚愕した


「どういうことだ!!」


黒尽くめの男が混乱している間にも炎は他の本に燃え移り一瞬で書斎は火の海と化した


(このままではまずい……煙は上に登る、仕方ないあいつが落ちた場所に俺も)


ダン


パカ


「は?」


黒尽くめの男がスイッチを押した時にはとっくに穴の中は分厚い氷塊で蓋をされていた


「……あのやろう、やりやがったな!」


初級火属性魔術


『スローファイア』


この魔術は物体に付与ができ、どの時間で発火するかを調整できる


最初に侵入した時にあらかじめ設置しておいてたのだ


「始まったねえ」


黒尽くめの男の叫びを聞きながら足と頭を引っ掛けながら楽しそうにロキは笑う


(まあ本来考えてた使い方じゃないんだけどね……)


この魔術は不味い物があった時に逃げる時の時間稼ぎ用に本に付与していたのだ


「この状態ならやらかした後だから

爆弾を爆破してもあんま意味ないしねえ?逃げ出すしかなくなる」


そう言いながら邪悪に笑った


「さてと火が鎮火した時にあいつ帰ってくるだろうから

その時の為のとびっきりの嫌がらせの罠を仕掛けておくかあ」


せっかくだから心を折る罠にしよう――


完全にシヅキが来てくれるという想定をしておらず

黒尽くめの男専用のいくつもの酷い罠を

邪悪に笑いながら仕掛け

ゆっくりと穴の下に降りていく


「ここにも作って、…お?あそこが出口かな?」


黒尽くめの男は出られない前提で穴に落としてきたから

相当な罠が待ち受けてるのは間違いない


さて降りた後はどうやって脱出するか――


そう考えながら地下牢に到達した時に何かに干渉された


「……これは」


とりあえずロキは氷を生成して操ってこの場所を壊そうとした


――出来ない


「……は?」


もう一度


出来ない


「……」


ロキは無言になった


更にもう一度地下牢を壊さないように氷を生成した


――出来た


「どういう事だ?」


さっき牢屋を壊そうと妖術で氷を生成したら発動できなかった


――違う


発動できないではなく


自分が自分で発動しようとしていないように干渉させられた?


ロキはここから出る方法を考える


具体的な方法を考える


考えようとして思考が停止した


(この地下牢からは、絶対に出られない……)


どうでもいい、出られないと思ってしまう。


自然とそう考えた


「は?」


自分は今何を考えた?


どうせ出られない?


何を根拠に?


まだ何も試してすらいないのに?


「………」


その思考を無理矢理振り切って全力で壁にぶん殴った


……壁には傷一つつかなかった


(……壁を殴っても傷ひとつつかない。

いや、殴る瞬間、力を自分から弱めた……?

思考を操作されてるのか?)


「何だこれは? ……仕方ない、いろいろ調べるか」


何度も、何度も様々な方法を試して出ようとするが無意味に終わる


この地下牢を出ようとするが何故か出られない


――否、出ようと意識すると出られなくなる


ロキがこの地下牢を調べて以下の事が分かった


閉じ込められてる場所は意識に干渉する結界が貼られている


この地下牢にいたら意識を干渉され固定される

すなわち出ないという意識に


この地下牢を壊すことも脱出することもできない

それ以前に認識できない

認識できても物理的に出ようとすると意識に干渉されて実行できない


地下牢からは絶対にでられないに等しい

なにせ意識と思考を出ないという考えに固定されている


この場所は意識を出られないに固定する特殊な結界牢獄と言える


「あれ?これ積んでね?」


いろいろ試したが結局脱出の糸口すら掴めなかった


「さて、どうしよ……ふあああ眠、そういや今深夜だったわ」


(今ここでグズグズしてても仕方ない

鎮火した後にくるかもしれない

さっきの黒尽くめの男がくる事を祈ろう)


……十中八九来ないだろうけど

本も自分が餓死した頃に回収しに来るだろう僕なら絶対そうするし


「今は本当に何もできないし

無理して起きてても体力消耗するだけだしなあ」


食糧もない状態で起きてるのはあまり上策とも言い難いし


「仕方ないから寝るかあ」


そしてロキはちょうどよくあった寝藁に横になってすぐに爆睡した


おそらく朝になった頃、

誰かが穴に飛び込んだ事を氷の糸で察知し罠を連鎖させるが

何故か避けられる

こっちにくる


(おかしいなあ

隙間なく罠を埋めた筈なのに)


仕方ないからふんぞり返って意味不明な言葉を浴びせて思考停止したとこを嵌めよう


「あああああああああ!!」


落ちて来たのはシヅキだった


「え?シヅキ?」


……そうだったシヅキにヒントのカードを仕込んでいたのだった


完全に忘れていた

寝起き特有の記憶がスッポ抜けてて頭になかった


ドガアアン


最後の氷山を突破したシヅキに反射的に話しかける


「やあ」


「ようこそ、人生の終着点へ」


そう、反射的に敵を思考停止させる為の言葉をだしてしまった


(あ、やっべ)


ーーーーーーーーーーー


「で今に至る」


シヅキとアリアはあんまりな話に頭を抱えた


「……僕が来るって思ってなかったの?」


「うんまあ、ヒントは仕込んでたけど想定も期待もしてなかったわ」


「酷!?」


「ぶっちゃけ八割方駄目だと思ってた」


「そこは嘘でも信じてたって言えないの!?」


シヅキは本気で泣き出しそうになった


「うう、でも魔術で何とか脱出できなかったの?結界を無効化するとか」


「魔術は万能だけど奇跡じゃないんだよ

というか意識をここから出られないって固定しているんだから

無効化しようとしてもその瞬間に出ようとしている判定になって鑑賞されて無意味になるし意味ないよ?」


「あ、そっか」


「それにここでは使えない」


「え?どういうこと?」


「魔力を練ってみて」


シヅキに向かってそんな事を言い出してきて

シヅキが魔力を練ろうとしたが――


「え?あれ?魔力が作れない?

いやこの地下牢魔素がない?」


「正解」


「これって結界の効力なの?」


「ん〜多分違う

副次的作用みたいなものだと思う」


「どういうこと?」


シヅキが首を傾げて聞いてきて

ロキが肩を竦めながら答えた


「神獣や神と言われる存在は知ってるよね」


「え?確か何千年も昔の魔素が生まれる前に霊素だけで構築されて産まれた存在だったよね?」


「そういうこと

この結界を発動している力が多分神や神獣何だよ」


「え?ど、どういうこと?」


「普通の妖魔の結界は魔素も多少なりとも混ざる

妖魔は霊素と魔素で構築されて産まれた存在だから

でも神や神獣は違う」


「あ!、もしかして」


「そう、神や神獣といった霊素だけで肉体を構築された存在は魔素が操れないし利用できないむしろ拒絶してしまうその力もまた然りというわけさ」


魔素が存在しない結界

魔素を拒絶している結界

神や神獣の力を使った結界


という公式が成り立つ


「な、なるほど」


「というわけでさっき黒尽くめの男が警戒したこの本開いてよ多分アリアなら開けるからさ」


「え?ちょっとロキ何が、というわけなの」


「いいから、いいから」


唐突に強引にアリアに本を押し付けた


「あ、はいわかりました」


アリアが触った瞬間

ロキの話が嘘だったかのようにあっさりと開いた


アリアが最初の文字を覗き込み読んだ


「……はくたく?って書いてます」


「へえ?白澤ねえ?」


ロキは楽しそうに笑った

ロキの意味深な「ようこそ、人生の終着点へ」が本当に何の意味もない適当だった件(笑)

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