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誰も悲しませないバッドエンド  作者: 二重名々
or truth

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231/307

解理・前

名鑑・十四


インパクトオルガン


音の反響範囲を制限する幻術。

両腕に装着する演奏装置に組み込まれている。

演奏装置は、五本の金属製の筒から生み出された音を一点に集約する事が出来る。

この幻術は音による振動を制限範囲外に伝えないようにし、範囲内に何らかの物が入ってきた場合には音波による衝撃を与える。

その際、範囲外に多少音が漏れ出すが、周囲に害は及ぼさない。

音程、つまり周波数を変化させる事によって衝撃の強さを変えられる。

音を発生させる機構は楽器と変わらず、幻術は使われていない。

使用者、開発者は石見海乃。

普段は倉庫に保管しており、転移の式で空間に穴を作り出し、腕を差し込み引き抜くようにして装着と同時に取り出す。

「秋野翔也の消滅、及びそれに付随する関係性の消滅。失われた時間を合計すると数百年は優に超えます。清算のため、一人の存在を歴史に挿入します。秋野翔也より後、周防頼我より前。一度戻って下さい。歴史を客観視するのがあなたの役目です。心ゆくまで、つまり無限に楽しんで下さい」




「こ、この子は男でも女でもな、無いみたいです」


名も知らぬ母に名も付けられぬまま手放された。

愛など期待出来ない。

理解など望めない。




「プフッ。オマエの身体は科学的にありえない構造をしている。無いだけじゃない、独自の進化を遂げている。興味深いなぁ?」


「あー、うあ」


「プフッ。呑気だな。これからオマエは誰にも理解してもらえない辛い人生を送んのに」


研究施設の中には、何人もの身体に異常のある子供がいるが、この子以上の異常はいなかった。


「そうだ、良い名前を思いついたぞ。プ、プフフッ。我ながら良いネーミングセンスだ。プフッ。理解されない、理解の逆で、解理。人間社会から乖離した存在。プフッ!プハハハッ!シャレが効いてる!ひっでえ!」


そう言うと、赤子の額に、大きく解理、と赤いペンで書いた。


「安心しな。オレ以外の誰にもひでえ事なんてさせねぇから。せいぜい研究の合間にすくすく育ちな」


研究者の男が頬をつねると、その赤子、解理は泣き出してしまった。

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