魔法祭、終了?
「っしゃあああああああああ!!!」
観客席。
僕は他の誰よりも盛り上がっていた。
魔法祭、魔法模擬戦。
それをメリーが優勝したのだ。
そう。メリーが、優勝……!
「あー勝った……あー、勝った。良かった。良かったぁ……」
僕は安堵からか体の力が抜け、椅子から滑り落ちる。
良かった。これで、確実に運命は変わった。
良かったぁ……。
……………………。
ちなみにだが、実は魔法祭での収穫はそれだけじゃない。
僕の頭の中では控えめに親指を立てるメリーの姿が無限に再生されていた。
「可愛かった……」
噛みしめるようつぶやく。
「うわぁ、なんかきめー」
そんなアリアの小言なんて僕の頭には入らない。
今はメリーが優勝したことと、親指立ててくれたことで脳みそがいっぱいだ。
「確かに、トゥメルトもあんなことするんだな……」
「ねー。ちょっと……ってかかなり意外」
デリヴェとフローレが言う。
ほんとにね。流石にあれは可愛いすぎ。
メリーが優勝できたし、新しい一面も知れたし、大満足。
最っ高だ。
「二人ともお帰りなさ~い!」
ルースが言う。
見ると、メリーとフェトムが反対側から帰ってきていた。
「お疲れぇ!!トゥメルトさんおめでとう!!」
「アクマ的優勝!おめでとうなのだ!」
「フェトムも惜しかったぜー!」
「俺なら勝てた」
魔法模擬戦が終わり、ほんわかした空気が流れる。
僕は二回戦で敗退したせいでメリーの優勝まで気が気じゃなかったけど、みんなは随分楽しそうだ。
良いことである。
「メリーさん!」
僕はこちらに歩いてくるメリーの元に駆け寄った。
メリーはなぜか少し下を向いている。
「優勝おめで……」
僕はメリーの顔を覗き込……
!?
見ると、メリーの顔がいつも以上に冷たい。
控えめに言って恐怖を感じるレベルだ。
な、なんだ……?なに?え?なに?
優勝……したよね?家で罰を受けたりはしないはず。それなのに、なんでそんな顔を……。
「あっ、メリーちゃ……ははーん……」
フローレがにちゃあと笑う。
「さてはメリーちゃん、さっきのこと照れてるねー?」
そして、駆け足でこちらまでやってきた。
……え?
照れ……てる……?
あのメリーが……?
「……違いますわ」
メリーが小さい声で言う。
「え!?トゥメルト照れてんの!?」
「あのトゥメルトさんが!?」
「マジで!?」
「あらあら~!?!?」
フローレの一言に、デリヴェやアリア、モードやルースが集まって来た。
「ち、違いますわよ……」
メリーがそっぽを向く。
「ホントにぃ~!?いつもの顔してみてよ!」
フローレ相変わらずの表情で言う。
「……別に、いつも通りですわ」
「う~そ~つ~け~!!」
フローレがメリーの頬を複数回つついた。
すると、少ししてスッとメリーが前を向く。
いつも通りの顔で。
「あ、フローレのせいだ」
デリヴェが言う。
「フローレのせいだな」
モードも同意した。
「うわあああああ!!間違えたああああ!!!!」
フローレは四つん這いになり地面を叩く。
対称的に、すんとした顔で席に着くメリー。
僕はその隣に座った。
「ヒューマ」
メリーは僕の顔を見る。
「ちゃんと、勝ちましたわよ」
そして、少し自慢げな顔でそう言った。
「はい!」
僕は満面の笑みで返す。
その時、フェトムがメリーの前まで来た。
「いい戦いだった。ありがとう、トゥメルト嬢」
「えぇ。こちらこそ」
二人が握手を交わす。
「決勝戦、流石っつーか……見ごたええぐかったなー!」
「うんうん!実に満足なのだ!」
そして、再度またみんなで感想戦を繰り広げる。
魔法祭での目的は全部達成。
改めて、最高の魔法祭だったな。
運命はいい方向に傾いている。
一学期で残った行事は……もうないか。この後は一旦夏休みに突入する。
夏休みかぁ。実家に帰省しようか迷うな……。
帰りたい気持ちはある。しかし、手紙を定期的に送っているからそこまで寂しさは感じないし、何よりめっちゃ遠いからなぁ、実家。
家族の顔も見たいし、顔を見せたい。それだけじゃなく、久しぶりにあのさっむい地域の空気を感じたい気持ちもあるけど。
クラスのみんなはどうすのだろうか。
特に、メリーは。
「で、お前ら忘れてねぇか?」
不意にモードが口を開く。
「え?なにを?」
「なんかあったっけ?」
全員が不思議そうな顔をした。
「これ、まだ魔法祭の第一競技だぜ?」
「「「「「「あ」」」」」」
その一言で、全員が口を開いた。
「では、改めまして第二競技!!紅白対抗魔法綱引き!!」
実況が叫ぶ。
魔法祭は、まだまだこれからのようだった。
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次話もお楽しみに!




