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魔法祭の続き

 次の種目は紅白対抗魔法綱引き。


 紅白に分かれて、綱を引く対決。


 なのだが……


「紅白……?」


「組み分けとかされましたっけ?」


 僕たちがざわつく。


「え?先生から聞いてんだろ。俺は赤だぜ。まぁA,B組のやつには出ねぇけど」


 コットが言う。


 そういえば、魔法祭前日になってもナヅ先生から魔法祭に関する話は一切なかったな。

 

 他のみんながサークルの友達に聞いた情報とかで闘技棟で開催することとかプログラム内容を聞いただけだし……


 もしかして、ナヅ先生はそれらを全部……。


 いやまさか。まさかね。


「すまんお前ら!」


 ナヅ先生が僕たちの前までやってくる。


 魔法を使わずに全速力で走ってきたのだろう。少しだけ息が上がっていた。


「色々忘れてたわ!!紅白も適当に分けといてくれ!!」


 そして、衝撃的な発言をする。


 え?忘れてた……?


 ありえるの?先生だよね?


「はぁ!?忘れんなよ!!」


「絶対に大事でしょ!盛り上がりに関わってくるんだよ!?」


「何やってるのだ教師ぃー!」


 生徒たちから先生への非難が飛ぶ。


 まぁ当然だ。流石の僕にもこれは擁護が……


「うっせぇ!!私は教師だ!!殺すぞ!!」


 ナヅ先生が怒鳴る。


「ごめんなさい」


「すみません」


「こいつが言ってました」


 瞬間、みんなが委縮する。


 逆ギレも甚だしいな……まぁいいけど。


「とりあえず近い人と二人一組のグッパで決めましょうか。グーが赤で」


 僕が提案する。


 急がないとだし、適当でいいだろう。


「ん-、そうすっか。めんどいし」


 そして、僕たちは急いで紅白を決めることになった。


「ヒューマ。今度は貴様と戦いたいな」


 僕の目の前に立つのはフェトム。


「負けませんよ?」


 そして、適当に紅白を分けた僕たちは急いで下へ向かう。


 この時点で、違和感はあった。


 大きな大きな違和感が……。




 一本の大きな綱を持ち、A組とB組の面々紅白に別れて向かい合う。


「っしゃ!綱引き頑張るぜ!!」


 最前列に居るアリアがご機嫌に叫ぶ。


「って、言いたかったんだけど……」


 そして、僕たちの方を向き、敵対する紅組を指さす。


「あっち有利すぎだろ!!」


 僕たちの敵、紅組。


 メンバーは、メリー、フェトム、モード、フローレ、カンネ。


 白組。僕、デリヴェ、アリア、ルース、キュナ。


「あっちのが明らかにつえーよ!!やり直しだやり直しぃ!!」


 アリアが猛抗議する。


 まぁ確かに、メリーにフェトムは過剰戦力だとしか言いようが……


 ……過剰戦力だな。明らかにおかしいだろ。


 そこは確実に分けるべきだった。完全にミスったぞ。


「ま、まぁ落ち着くのだ!こっちには次席のヒューマに、模擬戦三位(笑)のデリヴェもいるぞ!!アクマ的……だ!うん!」


「そうだよ!きっと勝て……勝てるよ!大丈夫!」


 キュナとルースが何とかアリアを励ます。


「いや……言っちゃ悪いけどな!!どっちも初見殺し専門家じゃねぇか!!勝てる訳ねぇだろ!!」


 アリアが頭を抱えて叫ぶ。


「「そこまで言わなくても……」」


 僕とデリヴェはしゅんとし、ばつが悪そうにうつむいた。


 ひどいよ、アリア……


「いやそこまで落ち込むなよ!ごめんって!でも……」


 アリアがわめこうとしたとき。


「まぁまぁ、大丈夫ですよ。A組、中間試験八位のアリア・フェベリードさん……」


 後ろから、突然声がした。


「あぁん!?誰だテメェ!!」


 アリアが奥を見る。


「くっくっく……僕は中間試験十一位、通称”イレブン”」


「同じく十二位、”トゥエルブ”」


「十三位、”サーティーン”」


「十四位、”フォーティーン”」


「十五位、”フィフティーン”」


「「「「「中間試験、B組上位五名さ」」」」」


 眼鏡をかけた七三分けの男女五人が言う。


 ……眼鏡をかけた七三分けが……五人……!?


 ありえていいのか?そんな状況。キャラデザが一緒すぎてギリギリ区別つかないだろ。制服だし。


「おぉ!中間試験上位勢か!これは期待できるぜ……!」


 アリアの顔が少し明るくなる。


「くっくっく……僕たちのデータにお任せください。全て、”ここ”に入っていますから」


 リーダーらしき男……イレブンが頭をトントンと叩く。


 …………。


 なんか……多分こいつら全員データタイプじゃないか?


 戦闘を分析するやつ。


 この魔法綱引きは、引っ張る人と相手に攻撃する人に分かれる競技だ。


 使用できる魔法が吹風ウィーユという風を吹かせる魔法で限定されていて、風に吹き飛ばされて壁にぶつかったら退場。


 そうなってくると物を言うのは魔力量と魔力放出量だ。


 データとか……なくないか?


 ていうか、中間試験の結果なら戦闘面における信頼がどうとか関係ないしな。僕も中間試験は二位だが、戦闘面ならまだまだだし。


 大前提、入学試験時の戦闘面を加味したうえで紅白のチーム分けがされたはず。ならば……。


「では、開始ィ!!」


 実況の合図で敵も味方も全員、示し合わせてもいないのに綱から手を離し、手を向け合った。


「殺し合いじゃあああ!!!」


 デリヴェが叫ぶ。


 ……あれ?こいつ魔法苦手なんだよな?じゃあ無能じゃね?


吹風ウィーユ


 色々な人の声に紛れて、フェトムの声が微かに聞こえる。

 

 あ、これまずいな。


「防御魔法」

 

 僕は急いで防御魔法を展開した。


 ビュオオオオ


 瞬間、強い風が吹く。


「「「「「うわああああああ!!!」」」」」


 後ろを見ると、フェトムの魔法でほとんど全員が吹っ飛んでいた。


「上位五名ぃぃいい!!」


 アリアが防御魔法の裏で叫ぶ。


 見ると、さっきのデータキャラのやつらは全員もれなく吹っ飛んでいた。まぁ、そうなるよね……。


「ふっ、俺はここまでのようだ……」


 暴風が吹き荒れる中、デリヴェが何かを悟る。


「俺じゃ、耐えられねぇ……」


 防御魔法を展開し風を防げているのはA組の僕らとB組の一部だけ。


 魔法が苦手なデリヴェは、体幹だけで風を耐えていた。それはそれでかなりすごいな。


「後は、任せた」


 タッ


 デリヴェの体が宙に浮く。


 そして、壁に当たり、顔をうなだれた。


「デリヴェエエエ!!!」


 デリヴェが、脱落した。


「……アクマ的?」


 その時、キュナが何かひらめいたような顔をする。


「なんだキュナ!何か思いついたのか!?」


 アリアが嬉しそうな顔でキュナを見る。


 キュナは、目を見開いていて、ゆっくりと口を開けた。


「この風に乗れば大空を羽ばたけるのでは……?」


 ……嘘だよな?キュナ。


 風に乗ったら壁に当たるのは確実だぞ。あの翼の魔法の展開が間に合うようには思えない。


 待ってくれ。やめろ。


「……ごめんなのだ。みんな」

「我は、アクマに近づきたい」


 キュナが防御魔法を解く。


「アクッ……」


 翼を展開する前に、キュナは吹っ飛び、壁に当たった。


 あぁ……。


「キュナアアアア!!!」


 アリアが叫ぶ。


 キュナが、脱落した。


 その時、ちょうど風が止む。


「今しかねぇ!!」


 僕たちは防御魔法を解除した。


 しかし、攻撃したところで勝てるかなんて……


吹風ウィーユ


 メリーの声がした。


 見ると、メリーがこちらに手を向けている。


 あっ。


 そっか、メリーがまだ……


 上限はあれど、今までずっと魔力を溜めていたであろうメリーの吹風ウィーユ


 それは、嵐かと勘違いするほどの強風だった。


 バンッ!!


 僕の背中が壁にぶち当たる。


 これ、怪我するよ……。手加減とか……なんか……まぁ、うん……。


「えー。白組、全員脱落です」


 実況が引き気味の声を出す。


 それから、玉入れも、リレーも、全部で僕たち白組は惨敗。


 そして、魔法祭の最終プログラム、二年生の魔法模擬戦。


「おい!その二人別のチームにしろよ!誰だグッパとかいうカスみてぇな提案したやつ!」


「誰も気づかなかったじゃないですか!僕だけの責任じゃないですよ!」


「喧嘩はやめなよ~」


「ハッ。負け犬が吠えてるぜ」


「あぁん!?んだとモードォ!!」


 僕たちは魔法祭の目玉である二年生の魔法模擬戦をこの配分への喧嘩という内部抗争で見逃して、魔法祭を終えたのだった。

最後まで作品を読んで下さりありがとうございました!


面白かったらぜひブックマーク、高評価、感想をよろしくお願いします!


次話もお楽しみに!

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