勝って
二回戦の最終試合であるメリーとフローレの対決が終わる。
その試合内容は一方的なものだった。
先制攻撃はフローレ。しかし、メリーはその攻撃を余裕で避けると、無限に続くかのような氷魔法を撃ち、試合は終わり。
観客席まで戻ってきたフローレは泣きべそをかいていた。
「攻撃は当たんないし、防御魔法はすぐ壊れちゃうし……うぅ、私って弱いんだぁ……」
「そ、そんなことないよぉ!相手がトゥメルトちゃんだっただけ!」
ルースはぽふぽふと頭を撫でながらフローレを慰める。
そんなフローレとは相対的に、メリーはすまし顔だった。
メリーが僕の隣の席に座る。
「すごかったですね」
「当然でしょう」
実力差は圧倒的。同じA組内とは思えないほどに。
流石主席だな。
「さぁ!次は準決勝の第三回戦!シードをくじ引きで決めるぞぉ!!」
実況が叫ぶ。
実況の手元にはくじ引きの箱らしきものがあったが、小さすぎて観客たちはろくに見えない。
まぁ……仕方ないといえば仕方ないのだけど……なんかこう、もっと上手くできなかったのだろうか?
実況がくじを引き、高々と掲げた。
「これは……フェトム・ラリエルくん!!シードはフェトム・ラリエルくんで決まりました!!」
実況が叫ぶ。
「ふむ。俺か」
「ちくしょおお!!!」
デリヴェの絶叫が聞こえてくる。
「トゥメルトォ!俺がお前を……クッ、いや、その……手加減してください……」
デリヴェがメリーに頭を下げる。
「はっ。だっさ」
モードがデリヴェをあざ笑った。
「…………」
メリーは何も答えないどころか、デリヴェの顔すら見ていない。
そして、準決勝戦。
デリヴェは敗北した。
なんていうか……話すことはない。フローレとほぼ同じ負け方だった。
攻撃して、カウンターを食らって負け。
「うぅ、やっぱり俺って弱いんだぁ……」
「そ、そんなことねぇよ!頑張ったって!善戦した!」
「あ、アクマ的な頑張りだったぞ!アクマが宿っていた!」
アリアとキュナがデリヴェを励ます。
「さて、次は……」
モードはそんな三人を無視して次対戦する二人を見た。
「主席と、王子か」
決勝戦。メリーVSフェトム。
僕が、一番懸念している戦い。
魔力量ではわずかにフェトムのが上。しかし、戦闘面における二人の実力がほとんど分からない。
先の試合を見るに、メリーの得意魔法は氷魔法だろうが……フェトムは一体どんな魔法を得意とするのだろうか。
分からない。
……頼む。なんとか勝ってくれ、メリー。
「さぁさぁお次は決勝戦!!圧倒的主席!”冷酷の令嬢”メリー・トゥメルトちゃん!!ヴァアサァス!!!才能の天才!この国の王子、フェトム・ラリエルくんだあああ!!!」
うおおおおおおおおお!!!!!!
場が一番の盛り上がりを見せる。
実況も最高に熱が入っていた。
「っしゃああああ!!二人ともやってこい!!!」
「二人とも頑張ってねー!」
A組も白熱を見せる。
フェトムが立ち上がった。
「王の矜持を見せつけてくる」
「「「おおおおお!!!」」」
面々が盛り上がり、フェトムが歩き出す。
「メリーさん!」
僕はすでに歩き出しているメリーを呼び止める。
メリーが足を止め、こちらを向く。
目が合った。
「勝ってください!」
僕は笑顔でグッドサインを送る。
「えぇ」
「任せなさい」
メリーが少し笑い、前を向いた。
(任せなさい)
じゃあ、大丈夫か。
頑張れ、メリー。
中央。
メリーとフェトムは向かい合う。
「トゥメルト嬢。やはり貴様になるのか。この俺の相手は」
「そうなりましたわね」
「悪いが、殺す気で行かせてもらう」
「奇遇ですわね。わたくしも同じ思いですわ」
フェトムは楽しそうに笑い、メリーは無表情。
正反対の二人だ。
「それでは、決勝戦!メリー・トゥメルト対フェトム・ラリエル!!」
「開始!!」
二人は手を向け合う。
しばらくの静寂。
「氷塊」
「炎槍」
ドンッッ!!!
二人の魔法が、同時に放たれた。
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