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サークル祭準備

「あぁ、困ったのであります……」


 僕とメリーとサーシアの三人しかいないサークル室。


 サーシアは机の上で頭を抱えていた。


 メリーは水の魚を作っていて、僕は体の周りで魚をビュンビュンぶん回している。


 速度の調整はまだまだ制御が難しいが、移動に関しては円の軌道を描く程度のことはできるようになってきた。


「どうしたんですか?」


 僕がサーシアに聞いてみる。


 さっきからサーシアはうなりながら教室を徘徊したり、顎に手を当てたりと、何か考え事をしているようだ。


「実は……そろそろサークル祭が始まるのでありますが、何をするか思いつかなくてですな……」


 サークル祭?


「なんですか、それ」


 聞いたこともないな。


 だが、サークル祭と言う名前であればサークルの祭りだろう。学園で主催している行事だろうか?そこらへんにはあんまり詳しくないんだよな。


「サークルごとに行う一年生への最後のアピール行事ですな。自分のサークルがどんなことをやってるのかの発表会みたいなものでございます」


 サーシアが言う。


 あー、なるほどね。そういう感じか。


 最後とも言っているし、きっとサークル勧誘を止めるための区切りとしても用意された行事でもあるのだろう。


 それで、そのサークル祭でこの魔法創造サークルが何をやるべきか考えていると。


「あぁ、もちろんお二人は変に気負わなくて大丈夫ですぞ!もともと、一年生はサークル祭を回る側ですしな。私もそこまで力を入れ気はないですし、せっかくの機会と目新しい魔法を創造したいというだけであります」


 サーシアが慌てたように言う。


 うーん、新しい魔法の創造か……。


「僕も手伝いましょうか?」


 僕が言う。


 なんか面白そうだからな。新しい魔法を創るとなれば、魔法創造サークルらしいことができそうだ。


「メリーさんも一緒にどうです?」


 僕はメリーを誘ってみる。


 みんなで一つの行事に取り組むっていうのは楽しそうだ。


「ん?」


 水の魚を作っていたメリーが僕の方を向いた。


 すると、僕の顔面に水の魚がぶっ飛んでくる。


 速っ……


 バシャァッ!!


「ブフォッ!!」


 水の当たった衝撃で椅子から転げ落ちる僕。


「あっ、す、すみません!」


 メリーがとっさに謝る。


「ゴホッ……い、いいサメですね……」


 あっぶねぇ。地上で溺れるところだった。


 魔力量が多いから威力がすごいな。


「ゴホッゴホッ……えっとですね……サークル祭があるので、一緒にみんなで新しい魔法を創るのもいいんじゃないかなって」


 僕がむせながらメリーに言う。


「新しい魔法……それに、サークル祭ですか」


 メリーが考え込む。


 まぁ多分断られるかな。元々サークルに入る気はなかったそうだし、サークル祭にも興味はないだろう。


「良いですわね。みんなでやりましょう」


 メリーが以外にも快諾する。


 えっ、乗ってくれるんだ。


 やった。絶対に断られると思ったのに。


「よ、よろしいんでありますかお二人とも……!」


 サーシアが涙目で僕たちを見つめる。


「同じサークルのメンバーですので」


 僕が答えた。


「やったぁ!それじゃあさっそく企画会議に取り掛かりましょうぞ!!」


 サーシアがホワイトボードを持ってくる。


「えー、ごほん。まず最初に、サークル祭はあくまで一年生へのアピールの場!となると、見た目が派手な魔法を創造するべきであると思うのです」


 そして、ホワイトボードに”派手に!”と書いた。


 確かに、アピールをするならインパクトが大事だしな。


 僕個人的な意見では少人数のままがいいけど。


「ですので、一発ドカン!とデカいのをやりたいんでありますが……」


 サーシアが困ったように言う。


 デカいのを一発ドカンできる魔法か……。


 うーん、想像ができないな。


 でも、僕の中で魔法創造と言えば……


「海魔法とかいいと思いますけどね。僕らでもある程度使えますし、何か転用できればいいなと」


 僕が心を惹かれたのは海魔法だからな。個人的にはかなり好きである。


「わたくしも賛成ですわね。あの魔法は綺麗でした」


 メリーも同じ意見のようだ。


「うーん。海魔法は”魔法を動かす”っていう継続ですからなぁ。魔力量の問題もあって一日中やるのは厳しいであります」


 あー、そっか。魔力量。そういう問題もあるのか。


 となるとやっぱり一発ドカン……何も思い浮かばないな。ゼロから魔法を創るって思ったより難しい。想像力が問われる行為だ。


「わたくし的には展覧型もいいと思いますの。派手さはありませんが、魔法創造らしい何かの独自性があればサークルの本質をアピールできます」


 メリーが提案する。


「ん-、まぁいいのでありますが……ただでさえ実技棟の端、誰も寄り付かない場所で物を並べても人が来るか……」


 サーシアが考え込んだ。


「欲を言えば一発ドカン。それも、他人に迷惑が掛からない範囲となると想像がなかなかできないのであります」


 うーん、確かになかなか思いつかない。


 何かないかな、そういう一発で人の目を引くような何か。


 サークルの祭りかぁ……。


(ヒュー)


(バン)


 脳内に、突然謎の音が聞こえた。


 破裂音……なんだ、これ。


「花火……?」


 なんだ、これ。


 脳に浮かび上がってくるのは前世の記憶。


 夜空に輝く、明るい何か。


 火……火だな。火ぐらい明るい。


「なんですの?それ」


 メリーが僕に聞く。


「えーっと……」


 うーん、記憶が曖昧であまり思い出せない。


 けど、概要は分かるぞ。夜の空、そして花の火となれば……


 僕は少し遠くに魔力を溜め、その魔力を球状にし、その外郭だけを火に変える。


 これ、むずいな。外郭とはいっても形を維持するための魔力の膜は必要だし、級の中を空洞にするのが難しい。


 しかし、何とか想像通りに魔法を発動させた僕は、火の内側にある魔力を爆発魔法で爆発させた。


 バンッ


 すると、外郭の火は四散し周囲に火の粉を散らす。


 普通の爆発魔法では起きない、大きな火の粉。


「お~」


 サーシアが声を上げる。


「多分こんな感じですね。爆発魔法で火を吹き飛ばすことで、大きな火の粉を舞わせます。所詮は火の粉なのですぐに消えますし、明るくて目立つかと」


 花火の詳細は全然分からない。けど、魔法で再現するとしたらこんな感じだ。多分。


「綺麗だと思いますわ」


 メリーが言う。


「いいねいいね!サークル祭は夜までやるし、その時にバンってすれば映えそう!」


 サーシアが手を叩く。


 そうそう。ちょうどそういう予定だ。


「僕の魔力量じゃ小さいのしかできませんが、サーシア先輩やメリーさんの魔力量だったら大きいのができると思うんですよ」

「それを夜、校庭で打ち上げれば……」


「なるほど!綺麗ってだけじゃなく、花火という今までにない魔法。つまりは魔法創造というサークルの本質もアピールできる!採用だ!」


 サーシアはホワイトボードを気分良さそうに叩く。


「早速私に詳細な想像を教えてくれ!」


「はい。えーっと……」


 僕はなるべく鮮明な花火のイメージをサーシアに伝えた。




 数日後。サークル祭当日。


 僕はメリーとサークル室までやって来ていたのだが……。


「ごほっ……ご、ごめんね……」


 顔が真っ赤のサーシアが机の上に上体を乗せダラーッと寝ている。


「魔法の使いすぎて、熱が……」


 そして、苦しそうにそう告げた。


「大丈夫ですか……?」


 魔力は使いすぎると体調を壊す。魔力を出すのにはそこそこ体力を使うし、一気に魔力を放出しすぎたりするのは体に負担がかかるからだ。


 それだけじゃなく、魔力を魔法にするのにも頭をかなり使う。過度に練習を行えばこの二つのストレスのせいで体調は簡単に崩れるのだ。


 僕も魔法を練習したての頃は加減が分からなくて体調を崩しまくってた。


「熱で、魔力がうまく練れなくて……花火はできそうにないのであります……ごほっ。そのことを、お二人に伝えに……」


 サーシアが小さな炎の玉を作り出すが、すぐに霧散する。


「ごめんね、成功させようと頑張ったんだけど……頑張りすぎちゃったであります……」


 サーシアは涙目で辛そうにそう言う。


「じゃあ、私は寝てくるから……二人はサークル祭を楽しんで……」


 そして、サーシアはよろよろと歩いてサークル室を後にした。


「メリーさん、どうします……?」


 二人残ったサークル室。


 僕はメリーにそう聞いた。


「どうって、やるしかないでしょう。わたくしたちで花火を」


 メリーは当然のように答える。


 僕も同意見だ。


「そうですね。では、早速取り掛かりましょうか」


「はい」


 そして、僕たちの共同花火制作が始まった。

最後まで作品を読んで下さりありがとうございました!


面白かったらぜひブックマーク、高評価、感想をよろしくお願いします!


次話もお楽しみに!

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