第15話 目覚め
ここから第二章ですね。細かい変更点ですがアンナの相手を呼ぶ時の呼称などを変えています。
暗い暗い仄暗い道を歩いているみたいだった。意識もなくただ淡々と道を歩いている感覚。この道を真っ直ぐに行けば出口に出られると確証はないのに確信はあった。フラフラと今の現状に何も疑いもなく道を歩き進める。
すると前方に光が見えてきた。複数人の話し声がする。それも少し明るく賑やかな声。
段々と近づき、光が俺を包み込んだ瞬間…
ーうっ…
身体が痛いし重い…目を少しずつ開ける。眩しい…。目の前には木の板が見える…天井?背中に感じるのはフカフカな柔らかさ…布団…?
そして痛く重い身体を寝返りを打ちながら上半身を起こす。
ーここは…?
と思ったら横から誰かが覗き込む。
「あっ起きた〜?」
えっと…誰だろう…。栗色のボブカットで人懐こい笑顔。本当に誰だろう…と思っていると。
まだ意識がはっきりしないのかな〜?と、その少女は言う。
その後ろでカチャカチャと食器の音を立てながら、誰かが口を開く。
「もう、シャーロット。病室では静かにするのですわ。」
ーせっ…セシリア…?
口も何だか妙に重いが声を振り絞って声を掛ける。
カチャと食器を置くような音が聞こえた後、パタパタと音をたてながら近寄って来る。金色の髪に後ろ髪をシニヨンでまとめて、垂れ目な女性。セシリアだ。
小走りする際に大きな胸が揺れる。うむ…セシリアだな…なんて思っていると俺の横に来て手を握る。
安堵した顔になり
「タケノリ…良かったですわ…目が覚めたのですね…。貴方、あれから3日意識がなく眠っていたのですよ。覚えてますか?」
覚えて…とは…?と思いながら意識がなくなる前の事を思い出す。狒々と戦って…と思った瞬間、思い出す。
「アンナは…?!」
苦笑いをするセシリアと横でクスクスと無邪気に笑うシャーロットという女性。何が何だかで頭に?マークが思い浮かぶ。
「アンナは今、貴方の薬等を買いに行っておりますわ。それよりもまずは自分の事を気遣うべきですってよ…?」
と苦笑いしたままセシリアは言う。自分の事…と思い身体を見る。裸で包帯でグルグル巻きにされている。布団を持ち上げて下半身も見る。こちらもボクサーパンツは履いているが、それだけで…包帯でグルグル。そして、緑色をした葉っぱみたいな物が身体のあちこちに貼られていたのだった。思わず
ーキャー!
と両手で身体を隠して少女のように叫ぶ。綺麗なセシリアに可愛らしいシャーロットという2人の女性に身体を見られているかと思うと急に恥ずかしくなったのだ。
後ろからゲラゲラとシャーロットが笑う。ぐぬぬ…この恥ずかしさは…
セシリアは安堵のような呆れたかのような顔をしながら笑う。
「タケノリは狒々を退ける事は出来たのですが…重症により、この病院まで運ばれて来たのですよ。」
と俺が狒々と戦い力尽きた後の事を教えてくれる。ここは病院だったのか。清潔なベッドに白のパテーションで区切られておりベッドの隣には小タンスの上に花が飾られていた。病院でも凄く立派のような…個室なのかな…なんて思っていると。
「セシリアの知り合いという事でここを充てがわれたんだよ〜セシリアに感謝だね〜!まぁ…君の活躍もあっての事だと思うけどねん!」
と二ヒヒと笑いながらシャーロットは言う。活躍かぁ…けど、キュイ夫妻を守る事もできたみたいだし…と自分にほんのちょっとした誇りのようなものを感じていた。
ーはっ?!と気づく…
そうだ…俺は今、無一文。お金を稼ぐ為にキュイ夫妻の依頼を受けたのだった…恐る恐るセシリアに問いかける。
「せっセシリアさんセシリアさん…そっその…入院費とか…諸々とか…おっ俺…払えないんだけど…」
そういうとシャーロットはゲラゲラ笑い、クスクスとセシリアは笑いながら俺の目の前に袋を持って来てくれた。
頭1つ分ぐらいはあるであろう少し大きめな袋。ズシリと重い…
その中を見てみると良いですわ。とセシリアは言う。
袋を開けて中を見る…硬貨がギッシリと入っていた…うおおおおおおお!何だこれはあああああ!と歓喜していると続けてセシリアは言う。
「キュイ夫妻からの依頼報酬ですがキュイ夫妻から命の恩人との事で2倍の金額。ギルドからも特別な報酬が出ておりますわ。あと、騎士団からの特別報酬…これは、俗に言う頑張ったで賞みたいな形ですわね。それと、倒した猿から回収した魔石の金額。結構良い純度だったみたいで良い値が付いたそうですわ。それらの金額になりますわね。合計100万ゴールドになるそうですわ。」
と自慢げに胸を張るセシリア。その隣では良いな〜良いな〜今度、ご飯おごってよ〜と無邪気に言うシャーロット。
今日は甲冑は着ておらず、ぷるんと揺れる大きな胸。それと…と言い俺に黒光りした何かを渡して来る。
「これは、タケノリが倒れていた付近に落ちていたのですが。あの大きな猿の物なのでしょう?角のように見えますが…これは、貴方の戦利品という事で預かっておりましたがお返しいたしますわ。何か…そうですわね…武器にするとか防具にするとかすると良いと思いますわよ。」
あぁ…鉈で切り落とした角だっけ…?断面を見ると綺麗に切断されたようになっていた。
ーガチャリ
と扉が開く音がする。
「セシリア様…新しい薬草に包帯を買って来たであります…」
あまり覇気のない…元気のない声が聞こえて来て、こっちに歩いて来る音が聞こえる。
そして
ードサリ
たくさん入っているであろう籠を落とす音。両手を口にあてフルフルと震える。目元にはたくさんの涙が。
よっ!と右手をあげる俺。
うわああああああんと泣き叫ぶ声…アンナだ。
「タケノリ樣あああああああタケノリ様あああああああ」
こっちに走って来て俺に抱きつく。痛いけども構わず俺の胸に顔を埋めて擦り付けるアンナ。
そのアンナの頭を撫でる。
「心配掛けてごめんな。助け呼びに行ってくれて本当にありがとう。」
そう言うとウンウンと泣きながら頷くアンナ。そのアンナの頭を泣き止むまで撫でるのであった。




