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第22章:パパ、あそぼう!

柔らかな風が頬を撫でた。

木々の葉がそよ風に揺れ、さらさらと音を立てる。

何か明るいものが顔を温めている。

目を開けると――太陽だった。


『今何時だ、セバス?』あくびをしながら尋ねる。

【おはようございます、ご主人様。】

【午前9時でございます。】


周囲を見渡すと、オオカミたちはまだ眠っていた。

一方でヴォイドファングたちは東西南北に分かれて見張りについている。

リオラは、安らかな寝息を立てながら、俺の胸の上で眠っていた。


自分の胸に手を当て、鼓動を確かめる。

「……」

空っぽだった。


目は軽いのに、どこか重い。

普通だ――なのに、嫌だった。

「なくなった。」


懐かしい感覚。


胸の上で動きがあった。

小さな手がぴくりと動き、子猫のような頭がもぞもぞと持ち上がる。

周囲を確認するように視線を泳がせた後、眠気を追い払うように目をこする。

漆黒の虹彩に、白い瞳孔――そこには希望が宿っていた。


その希望は闇を押し退け、世界を明るく照らす。

――『俺の光』。


リオラは俺を見て、にっこり笑うと、突然首に飛びついて抱きしめてきた。

「パパぁ!」

「おはよう、リオラ。」俺も抱き返す。


しばらくして、シャドウウルフたちは目を覚まし、二体のヴォイドファングに連れられて走り出した。残りの二体は近くに残り、見張りを続けている。

『どこへ行くんだ? 朝の運動か?』


リオラは楽しそうに、横で丸まっているヴォイドファングを撫でていた。


そのとき、空気に乱れを感じ、上空を見上げる。

『ドラゴンか? 待て――リオラがいる。もしこの世界のドラゴンが竜語を使えるなら、俺にはどうしようもない。危険は冒せない。』


思考が次々と駆け巡る。

『ただの鳥か……いや、ドラゴンに会うなら金を貯めて仲良くするべきか?』

『いやいや、食べ物で釣れるかもしれない? アニメや漫画ではそういうの多いし。でも襲われるかも……リオラが危険に――』

それでも心のどこかで抑えきれない。

ドラゴンに会いたい、その気持ちは強く残っていた。


――ため息。

『考えすぎても仕方ない。まずは目の前のを処理するか。』


鳥を見直す。見覚えがある姿だった。

【スクラヴィクスです、ご主人様。夕食で召し上がった種と同じでございます。】

『やっぱり見覚えがあった。』

【すでにリトルミスには声が届かないよう遮断しております。】


『じゃあ朝食にするか……オオカミたちに食べさせてもいい。』


だが鳥は突然進路を変え、地面へ急降下した。墜落か着地か、判断できない。


『今度は土属性を――』


考える間もなく、地面から巨大な手が飛び出し、鳥を空中で捕らえた。

そのまま影の中に引きずり込み、姿を消す。


『……楽しみが台無しだ。』


しばらくして、影から手が再び現れ、鳥の残骸を投げ捨てた。

首は切断され、翼と足は外され、腹は裂かれていた。


『突っ込みたいことは山ほどあるが……まずは。セバス、片付けて、使える部分はインベントリに入れてくれ。』

【承知いたしました、ご主人様。】


リオラは惨状に気づくこともなく、ヴォイドファングと遊び続けていた。


「どうやってあんな大きな腕を? それに、他の者も影に入れるのか?」俺は影に潜む存在へと問いかける。


「私は影の世界に常に存在しています。そこから人形を現実に顕現させられるのです。形は自由。ただし損傷を受ければ、私自身にも一部が跳ね返りますし、本来の力より大きく制限されます。」

レックスが冷静に答える。


『偵察や囮に最適か……。』


「また、影の世界に他者を引きずり込むことも可能です。ですが時間制限があり、過ぎれば追い出されます。」


「影の世界はどんな場所なんだ?」


「……純粋な闇です、ご主人様。何も見えません。」


『敵は視界を奪われ、しかもレックスは中で回復できる……暗殺にも切り札にもなるな。』


【清掃と収納、完了しました。】


俺はインベントリを一瞥する。


「そういえば、オオカミたちはどこに?」


「若い個体に狩りを教えるため、伸びをしながら出かけました。」


『やっぱり朝の運動か……』


『戻るまで何をするかな。みんな一緒に食べたいし。』


インベントリを再び確認する。

『あまりないが、鳥を仕留めたおかげで後で買い足せる。準備は整ってるな。』


リオラに目をやったとき、ひとつの考えが浮かんだ。


『セバス、子供用の遊び場を作れるか?』

【最善を尽くしましょう、ご主人様。】


「リオラ、パパと遊ぶか?」にやりと笑って聞いてみる。


リオラは目を輝かせて手を挙げた。

「イェシ!」


俺が彼女を高く持ち上げた瞬間、大地が揺れ、土が盛り上がり、形を成していく。


やがてそびえ立つ遊具が姿を現した。

梯子の先に小さな入口があり、木の橋で小屋につながる。そこからは複数の滑り台が枝分かれしていた。


らせん状に渦を巻くスパイラルスライド。

一気に降りるストレートスライド。

波打つように揺れるウェーブスライド。

そして浅い子供用プールにつながるロングウォータースライド。


リオラは驚きつつも興味津々で眺めていた。


「さあ、遊ぼう。」俺は言って彼女を階段の前に下ろす。


「リオラ、あそこに行って滑ってみな。」ストレートスライドを指差す。


「オカウィ。」小さな声で返事し、ゆっくりと登り始める。


俺は身をかがめ、万が一に備えて構える。

『風で受け止められるが……体が勝手に動く。』


リオラは梯子を登りきり、入口から顔を出した。

「やったー!」と両手を広げて叫ぶ。


「パパ、来て!」


『はぁ!?』思考が固まる。


『子供用に作ったから、俺も入れるけど……ぎりぎりだぞ。』


「パパぁ! 来て!」リオラが呼ぶ。


俺は笑って心の中で呟く。

『セバス、頼む。』


【お任せください、ご主人様。】


気づいたときには、もう頂上にいた。入口も自然と広がり、通り抜けやすくなっていた。


「行こうか。」リオラに声をかけ、ストレートスライドへ。


俺が座ると、リオラも膝の上にちょこんと乗る。

二人で一気に滑り降りた。


「もう一回やる?」


「イェシ!」目を輝かせて答えるリオラ。


安堵しながら再び一緒に滑った後、今度はウェーブスライドへ。

波打つ滑りに、リオラは「うぉーしゅー! それでまたしゅー!」と大はしゃぎ。


「次はあのぐるぐるのに行こうか?」スパイラルを指差すと――


「やだ……こわい。」リオラは小さく首を振り、俺に寄り添う。


『無理に高いところはダメか。残念だが仕方ないな。』


「じゃあウォータースライドに行こう。」


「ボタースルワイド?」小首をかしげるリオラ。


『あぁ……かわいすぎる。』胸が温かくなる。


俺はリオラを抱えて水の滑り台へ。


「さぁ、来い。パパが受け止めるから。」


リオラはぎゅっと目を閉じて、ゆっくり滑り降りてきた。


俺の足にしがみつき、涙目で黙り込む。


「怖かったか?」と優しく尋ねると、こくりと頷いた。


『やりすぎたな……』胸が痛む。


「ごめんな、リオラ。もう一人にはしない。パパがずっと一緒だ。」抱き上げて強く抱きしめる。


やがてリオラも少し落ち着き、水遊びを楽しめるようになった。


そこへオオカミたちが加わり、セバスが遊び場をさらに拡張する。

輪をくぐったり、水中トンネルを走り抜けたり――オオカミたちも一緒に遊び始めた。


やがて全員が戻ってきて、朝食の時間となった。

俺はリオラを抱えてプールを出る。


衣服は自然に水が抜け、蒸発してすぐ乾いた。


【完了しました、ご主人様。】

『ありがとう、セバス。』


「遊んでていいぞ。俺は料理をする。」


夕べと同じ料理を作り、リオラにはセバスが焼き立てのパンとジャムを用意した。

レックスは食べなかったが、他のオオカミたちは満足そうに食べた。


そして、次の行き先を決める。


「レックス、リオラを最初に見つけた場所へ案内してくれ。」


『何があったのか知りたい。彼女の知り合いが見つかるかもしれない。』


「承知しました、ご主人様。ここから遠くはありません。」


影からアルファの姿が現れる。


「どうぞお乗りください。」


俺とリオラは乗り込む。リオラは前に座り、ふわふわの毛をぎゅっと握っていた。


「最初はゆっくり、徐々に速くしてくれ。リオラのために。」


「了解しました。」


――『さあ、行こう。』

- つづく...

読んでくださってありがとうございます!

最近コメントが増えてきて、本当にうれしいです。とても励みになります。

もちろん、静かに読んでくださっている方にも感謝しています。時間を割いてこの物語を読んでくれること自体が、すごくありがたいです。


実は今回、書いているうちに時間を忘れてしまって、少し遅れてしまいました。ごめんなさい!

楽しんでいただけたらうれしいです!

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