第313話 隕石の痕跡
封印されてた竜王のそばで、仮死状態だったラミーロ。
彼はナナさんの怒りの矛先として、激しい暴行を受けた。
これはナナさんがラミーロから受けた、暴行への復讐だった。
ナナさんはギルドに戻る。
サムとミーシャは、ホームと呼ばれる建物の表玄関の前に立つ。
ここは千尋峡谷の果てにあたる。
「まずは、廃墟群のはずれに行きましょ。」
と言ってミーシャは、サムと腕を組む。
「ああ、分かった。」
サムは転移魔法を発動させる。
ふたりは廃墟群のはずれに転移する。
乾いた風がねっとりとした魔素を含んだホコリを運んでくる。
「ここにはあまり、いい思い出はないのよね。」
ミーシャはサムから離れると、フルサイズのドラゴンに戻る。
「そうか?俺はおまえと出会えただけでも、よかったと思うぜ。」
サムもフルサイズのドラゴンに戻る。
「そう、」
ミーシャは軽く相づちをうつと、そのまま飛び上がる。
ミーシャもサムに出会わなければ、その身に受けた呪いも解ける事なく、今でもこの千尋峡谷を徘徊していただろう。
ミーシャもサム出会えてよかったのだが、サムもミーシャの体を狙ってる事にはかわりない。
だからミーシャは、サムも警戒対象として見ている。
そして、サムが自分に惚れてるのを利用するが、ミーシャはサムに心を許してはいない。
サムもミーシャの後を追って飛び上がる。
「覚えてる?私が教えてあげた、あの温泉。」
飛びながらミーシャは、サムに問う。
「ああ、あそこか。覚えてるぜ。」
その温泉で、サムは人間に変化する術を知った。
ミーシャの呪いを解いたのも、その温泉の前だった。
「おかしいとは思わなかった?」
温泉への入り口となる建物が見えてくる。
千尋峡谷の崖に半分地下に埋まってる建物。
廃墟群の中にあって、この建物だけは原形を留めていた。
「おかしい?」
ミーシャに聞かれて、サムは少し考えこむ。
サムは今まで、何も気にもとめてなかった。
「そういや、温泉が湧いてるのも不自然だな。近くに火山がある訳でもないのに。」
「え?」
ミーシャには、サムの言ってる意味が分からない。
「ん?違うのか?」
サムはミーシャの態度から、自分が何か間違ったと思う。
「はあ、何も分かってないのね。」
件の建物の上空で、ミーシャはため息をつく。
思わずカチンとくるサムを制して、ミーシャは続ける。
「他と比べて、この建物だけ壊れていない。それに半分地下に埋まってる。つまりこの地形に合わせて造られたって事でしょ。」
ミーシャは建物の前に降り立つ。
サムもミーシャに続く。
その建物は、半分地下に埋まっていて、崖にも半分食い込んでいる。
まるで、そこにあった何かを隠すかの様に。
「つまり、ここが廃墟になってから、こいつは建てられたって事か。」
「ええ。なぜそんな事をしたのかしら。誰も居なくなった廃墟に、こんな建物を建てるなんて。」
ミーシャはサムの理解に、新たな疑問を投げかける。
「そういや変だな。ドラゴンも入れるサイズなのも気になるな。」
この廃墟群の建物は、どれも人間サイズの建物だった。
だけどこの建物だけは、ドラゴンでも出入り出来る大きさだった。
半分地下に埋まっているので、見た目からは気づきにくいけれど。
「それにここだけ、魔素が薄い。」
とミーシャは付け加える。
ここ千尋峡谷の魔素は、他の場所より十倍は濃い。
だけどこの建物周辺は、ほとんど魔素を感じられないほど薄かった。
「普通のドラゴンなら耐えられない。だから私には都合が良かった。」
それがミーシャがここを拠点にしていた理由。
人間に変化できるミーシャにとって、ここはいわゆる安全地帯だった。
しかし、疑問が残る。
「なんで俺にここを教えたんだ?」
サムはその疑問を口にする。
そう、この場所が安全地帯なら、誰にも教えない方がいい。
「ふ、そんなの、ただの気の迷いよ。」
「気の迷い?」
「ええ。私も話しの通じないドラゴン相手に、気が狂いそうだったのよ。」
「ああ、前にも言ってたな。そんな事。」
「だからあんたと話せた時、ちょっぴり嬉しかった。」
ミーシャは千尋峡谷に来た新入りが、話しの通じるヤツではないかと、淡い期待を持っていた。
だけど人間に変化出来る可能性はない、理性の欠片もないドラゴンが大半だった。
残りは、外界に居られなくなってここへ逃げて来たヤツだった。
面倒ごとに巻き込まれそうなので、そいつらとは関わりたくなかった。
そこへサムが落ちて来た。
サムは他のドラゴンとは違った。
普通なら千尋峡谷の濃い魔素に当てられ、凶暴性を増す。
濃い魔素に慣れるにつれ、その凶暴性も収まってくる。
だけどサムは、凶暴性を発揮せず冷静に千尋峡谷を見渡していた。
メスのドラゴンであるミーシャを見ても発情せず、ミーシャ相手にビビってるのも、ミーシャにとっては新鮮だった。
ミーシャにとってサムは、かわいい弟の様な印象だったのだ。
ども(・ω・)ノ
さてスターダストサンドは、隕石の欠片。
と言う設定だったので、クレーター跡でも見つけさせるつもりでした。
でもこの千尋峡谷は廃墟群って事で、そんなスペースは元から存在しません。
それに目指す先は、温泉のある洞窟です。
一応廃墟がすり鉢状に崩れてる、とかって書いてみたのですが、消しました。
で、温泉のある洞窟と、隕石と。
どんな配置になるんすかね。
そのイメージがわかないので、ここでひと月くらい、執筆が止まってます。
(´・ω・)




